コラム 2021.03.05. 07:09

優勝候補・大阪桐蔭が誇る大型左腕 松浦慶斗が“ドラ1候補”になるために必要なこと

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大阪桐蔭・松浦慶斗投手 [写真提供=プロアマ野球研究所]

高校球界の横綱・大阪桐蔭のエース


  3月19日(金)に開幕する『第93回選抜高等学校野球大会』。2月23日には組み合わせ抽選会も行われ、1回戦の対戦カードも決定した。

 「春はセンバツから」という言葉もあるが、今年のドラフト戦線もこの大会から大きく動いていく。プロアマ野球研究所では、この春の大舞台に出場する有力候補も積極的に紹介していきたい。

 今回は、優勝候補筆頭として名前が挙がる大阪桐蔭でエースを任されている大型サウスポーを取り上げる。


▼ 松浦慶斗(大阪桐蔭)
・投手
・185センチ/94キロ
・左投左打

<2020年・秋季近畿大会成績>
9試(48.0回) 防御率2.62 WHIP0.94
奪三振33 被安打37 与四死8 失点15(自責14)
奪三振率6.19 被安打率6.94 四死球率1.50

<主な球種と球速帯>
ストレート:135~150キロ
カーブ:106~113キロ
スライダー:118~126キロ
フォーク:124~128キロ

☆クイックモーションでの投球タイム:1.36秒


東海大相模を相手に快投


 毎年のように好素材を輩出している大阪桐蔭だが、その中でも最もプロから熱い視線を集めているのが、エースの松浦慶斗だ。

 中学時代から北海道では評判の投手で、当時から140キロ近いスピードをマーク。大阪桐蔭進学後も順調に成長し、1年秋には投手陣の一角に加わっている。


 そんな松浦の名前が一気に全国区となったのが、昨年夏に行われた『甲子園交流試合』の東海大相模戦だ。

 同点の8回からマウンドに上がると、山村崇嘉(西武3位)や西川僚祐(ロッテ5位)ら、強打者が揃う打線を相手に2イニングをパーフェクトと見事な投球。チームの勝利に大きく貢献して見せた。

 この試合での最速は145キロだったが、大阪府の独自大会では既に150キロをマークしており、今年の高校生サウスポーでは筆頭と言われる存在となっている。


ストレートを“より速く”見せられる


 そんな松浦のピッチングを直近で見ることができたのは、昨年10月24日に行われた近畿大会の長田戦のこと。

 勝ち進むと連戦となる日程だったこともあって、この日の松浦は甲子園交流試合と比べると明らかにスピードは抑えめ。最速は139キロにとどまったが、2回を投げて内野安打2本、無失点と貫禄の投球を見せている。


 まず目立つのが、サウスポーらしいボールの角度だ。

 テイクバックで肘を上手くたたみ、左肩を下げるような動作がなく、スムーズに上から腕を振り下ろすことができている。左打者の内角にも狙って速いボールを投げられ、シュート回転しないきれいな球筋も光る。

 秋季大会の公式戦の成績を見ても分かるように、大型サウスポーでありながら、コントロールに苦しむようなところがない。カーブやスライダーも楽に腕を振って投げられ、ストレートをより速く見せられるのも大きな武器である。


ドラフト1位指名の可能性も!


 その一方で、課題となるのがペース配分とピンチでの投球だ。

 甲子園交流試合では、終盤からのリリーフということもあって、どんどん腕を振って躍動感も申し分なかったが、近畿大会の天理戦では、2回から5回は完璧に抑えていたものの、5回以降はペースを上げようとして力みが出たのか、ピッチングが単調になり、6回と7回の2イニングで7安打を集中されて3点を失っている。

 決勝の智弁学園戦も、連投となった疲れはあったとはいえ、序盤からペースをつかめずに5回4失点で負け投手となった。成績を見てもWHIP(1イニングあたりに許した走者の数)が1を下回っているにもかかわらず、防御率が2点台中盤というのは、ピンチで踏ん張り切れていないという証拠である。このあたりが改善されているかどうかが、センバツでの注目ポイントとなりそうだ。


 ただし、これだけ大型でありながらスピードと制球力、さらに器用さも備えた高校生サウスポーはなかなかお目にかかれない。潜在能力の高さは、間違いなく全国でも屈指の存在だ。

 期待が膨らむ、春の大舞台。先述した課題を払拭するようなピッチングを見せることができれば、一気に1位指名の12人に入ってくる可能性も十分にあるだろう。


☆記事提供:プロアマ野球研究所
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