コラム

進撃のルーキー・秋広も名を連ねるか…「高卒ルーキーの開幕スタメン」を振り返る

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原監督も大きな期待を寄せる秋広優人 (C) Kyodo News

巨人に彗星のごとく現れた大型ルーキー


 プロ野球の開幕まで、あと2週間…。オープン戦のラインナップを見ても、徐々に“本番モード”となりつつある中、若手選手たちも開幕一軍やスタメンの切符を掴むべく、サバイバルレースに挑んでいる。

 なかでも連日大きな話題となっているのが、巨人の大型ルーキー・秋広優人だ。昨年のドラフト会議で巨人から5位で指名を受けた、身長200センチの18歳。当初はさほど大きく報道されることもなかったのだが、春季キャンプがはじまるとそのスケールの大きさが話題となり、また高卒1年目ながらバッティングでしっかりと爪痕を残したことから、このオープン戦でも積極的に起用されている。





 キャンプからオープン戦と一軍でアピール中。となれば、当然これから期待されるのは“開幕スタメン”の座となる。

 チームの現状としては、今季の一塁の有力候補と見られていたジャスティン・スモークの来日が遅れており、開幕戦には間に合わないことが決定的。ポジション争いはベテランの中島宏之やゼラス・ウィーラーとの比較となってくるが、秋広が開幕スタメンの座を射止める可能性も十分にあり得るだろう。

 ちなみに、巨人の高卒ルーキーで開幕スタメンに名を連ねると、1959年の王貞治氏以来となり、なんと62年ぶりという快挙。あの松井秀喜や坂本勇人、岡本和真ですら達成できなかったのだから、球団史にその名を刻む偉業となる。


レジェンドの名前がズラリ…


 では、巨人以外の球団も含めた、歴代の高卒ルーキーたちの開幕スタメンを振り返ってみよう。

 今回は、1950年以降の開幕戦でスタメン出場を果たした高卒ルーキーを調査。70年以上もの歴史があるが、該当したのはわずか14名しかいない。


▼ 中西 太(西鉄/1952年)
[開幕戦の成績] 4打数1安打
[1年目の成績] 111試 率.281 本12 点65 ☆新人王
[通算成績] 1388試 率.307 本244 点785

▼ 榎本喜八(毎日/1955年)
[開幕戦の成績] 3打数無安打
[1年目の成績] 139試 率.298 本16 点67 ☆新人王
[通算成績] 2222試 率.298 本246 点979

▼ 谷本 稔(大映/1955年)
[開幕戦の成績] 2打数無安打
[1年目の成績] 87試 率.251 本0 点33
[通算成績] 1099試 率.257 本46 点360

▼ 並木輝男(阪神/1957年)
[開幕戦の成績] 3打数無安打
[1年目の成績] 98試 率.250 本8 点32
[通算成績] 1116試 率.255 本81 点380

▼ 王 貞治(巨人/1959年)
[開幕戦の成績] 2打数無安打
[1年目の成績] 94試 率.161 本7 点25
[通算成績] 2831試 率.301 本868 点2170

▼ 張本 勲(大映/1959年)
[開幕戦の成績] 1打数無安打
[1年目の成績] 125試 率.275 本13 点57 ☆新人王
[通算成績] 2752試 率.319 本504 点1676打点

▼ 矢ノ浦国満(近鉄/1960年)
[開幕戦の成績] 3打数2安打・1打点
[1年目の成績] 110試 率.256 本3 点30
[通算成績] 913試 率.249 本57 点264

▼ 山崎裕之(東京/1965年)
[開幕戦の成績] 3打数無安打
[1年目の成績] 71試 率.190 本2 点14
[通算成績] 2251試 率.265 本270 点985打点

▼ 飯田幸夫(近鉄/1966年)
[開幕戦の成績] 4打数無安打
[1年目の成績] 59試 率.177 本0 点0
[通算成績] 828試 率.224 本37 点132

▼ 立浪和義(中日/1988年)
[開幕戦の成績] 4打数1安打
[1年目の成績] 110試 率.223 本4 点18 ☆新人王
[通算成績] 2586試 率.285 本171 点1037


 ご覧のように、球史にその名を残すレジェンドプレイヤーばかり。“怪童”と呼ばれた中西太をはじめ、安打製造機の元祖・榎本喜八、世界のホームラン王こと王貞治に、通算3000安打の張本勲など、昭和を代表する強打者がこぞって名を連ねているのが特徴的だ。

 続いて、現役選手を見ていこう。


現役選手では…?


▼ 炭谷銀仁朗(西武/2006年) ※現・巨人
[開幕戦の成績] 4打数1安打
[1年目の成績] 54試 率.181 本3 点14
[通算成績] 1283試 率.213 本38 点304

▼ 後藤駿太(オリックス/2011年) ※現役
[開幕戦の成績] 2打数無安打
[1年目の成績] 30試 率.100 本0 点1
[通算成績] 822試 率.222 本14 点137
※新人時代の登録名は「駿太」

▼ 大谷翔平(日本ハム/2013年)※現・エンゼルス
[開幕戦の成績] 4打数2安打・1打点
[1年目の成績]
(打)77試 率.238 本3 点20
(投)13試 3勝0敗 防4.23
[NPB通算]
(打)403試 率.286 本48 点166
(投)85試 42勝15敗1ホールド 防2.52

▼ 藤原恭大(ロッテ/2019年) ※現役
[開幕戦の成績] 4打数1安打
[1年目の成績] 6試 率.105 本0 点2
[通算成績] 32試 率.235 本3 点12


 こうして見ると、全14名のうち、セ・リーグの選手は3人だけ。パ・リーグの11人と大きな差があった。とくに2000年以降を見ると、パ・リーグの選手だけになっている。

 やはり多くの選手がチームの中心となってレギュラーを張っており、スター選手の証とも言える「オールスター出場」で見ても、14名中10名が球宴への出場を記録していた。


 また、開幕戦の成績も見ておくと、その試合で記念の初安打を放ったのは6人。ノーヒットに終わった選手が半数以上となるわけだが、当然ながらその試合だけがプロ野球人生ではない。

 たとえば、あの張本勲氏も第1打席は三振からのスタートで、それも直後の守備で打球を後逸して途中交代という散々なデビュー戦だった。しかし、その後の活躍は言うまでもなく、NPBの最多安打記録となる通算3085安打をマーク。偉大な選手に成長した。

 秋広はこの“15人目の男”となり、レジェンド選手への歩みを踏みだすことができるのか…。2週間後、巨人の開幕戦のスタメン発表が今から楽しみだ。


文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)
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