抜群のパンチ力とスピード
いよいよ本日、3月19日(金)に開幕する『第93回選抜高等学校野球大会』。「春はセンバツから」という言葉もあるが、今年のドラフト戦線もこの大会から大きく動いていくこととなる。
プロアマ野球研究所では、この春の大舞台に出場する有力候補も積極的に紹介していきたい。
今回は、小柄ながら抜群のパンチ力とスピードを誇る“強打の二塁手”を取り上げる。
▼ 小沢周平(健大高崎)
・二塁手
・170センチ/70キロ
・右投左打
<2020年・秋季関東大会成績>
10試合 打率.324(34-11) 本塁打3 打点17
44打席 二塁打1 三塁打1 四死球7 盗塁4 犠打3
出塁率.409 長打率.676 OPS1.085
<各塁へのベスト到達タイム>
一塁到達:4.34秒
三塁到達:11.76秒
評価が急上昇した関東大会の大活躍
2年連続で秋の関東大会を制した健大高崎。旧チームから不動のセカンドを任されているのが、小沢周平だ。
そのプレーを初めて見たのは、一昨年に行われた秋の群馬県大会・3位決定戦の樹徳戦。1年生ながら「3番・二塁」で出場すると、第3打席まではノーヒットに沈黙していたが、7回の第4打席に試合を決定づけるライトオーバーの2点タイムリースリーベースを放ち、チームの勝利に貢献した。
この時の三塁到達タイムは、ベース手前で速度を緩めながらも11.76秒というまずまずのタイムをマークしている。一方、セカンドの守備でも軽快な動きを見せ、下級生とは思えないプレーぶりだった。
続く明治神宮大会では、4試合で2安打に終わったものの、初戦の倉敷商戦では四死球で4度出塁するなど、相手からのマークの厳しさがうかがえた。
そして、小沢の評価が一気に上がることになったのが昨年秋の関東大会だ。
準決勝~決勝と2試合連続ホームランを放つ大暴れで、チームを連覇に導く大活躍。170センチ・70キロという、いかにもセカンドらしい体格なのだが、見る度に打撃の力強さがアップしているように見える。
打撃における長所と短所は…?
特に大きくレベルアップした点が、インパクトの強さだ。
関東大会の2本のホームランは、いずれも緩い変化球をライトスタンドへ運んだものだった。軽く合わせて、最後は右手一本で払うようなスイングになりながら、その飛距離は十分だった。
また、リストの強さも目立っているが、確実に下半身の強さがアップしており、簡単に軸がぶれないというのも大きな長所である。
逆に、チャンスメーカータイプに見えながら、打ち損じたようなフライとなるミスショットが目立つ点は課題のひとつか。
昨年秋の公式戦10試合で三振は0と、バットに当てる技術があり、この体格でホームランを打てることは大きな魅力ではあるが、高い確率でヒットにできるもう一段階上のミート力を身につけられるか。ここが今後のポイントとなりそうだ。
走塁面でもスカウト陣を唸らせたい
もうひとつ気になるのが走塁面。前述した三塁打のタイムの通り、脚力は十分持ち合わせているのだが、全力疾走が徹底されておらず、一塁到達タイムを計測しても、左打者としては平凡なタイムが多い。
健大高崎の野球といえば、かつては“機動破壊”なるキャッチコピーもあったように、機動力を重視したスタイルが有名だったが、近年は打撃で打ち勝つスタイルへと変化している。
そんなチーム状況はあるとはいえ、小沢の選手としてのタイプと将来を考えれば、もう少し足でも相手にプレッシャーをかけるようなプレーを見せたいところだろう。
ただ、セカンドの守備の動き、スローイングの正確さは、高校生では間違いなく上位。走攻守全てを高いレベルで備えている。
秋に残したインパクトから、選抜ではさらにマークが厳しくなることが予想されるが、こうした厳しい状況のなかで、打撃はもちろん走塁面でもスカウト陣を唸らせるようなプレーを見せてくれることを期待したい。
☆記事提供:プロアマ野球研究所