打撃力向上でトップバッター定着を狙う楽天・辰己
プロ野球2021年シーズンのオープン戦は3月21日で終了。阪神が2016年以来となる「優勝」を飾り、個人成績も確定した。
打撃成績の上位を占めるのは、その多くが各チームの主力として活躍する選手たちだが、なかにはそうではないこれからの選手の名前もある。そんな「気になる選手」たちをピックアップしてみたい。
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まずは、打率.385で首位打者レースの2位となった辰己涼介(楽天)。いわゆる「はずれ1位」とはいえ、ドラフト1位で2019年に楽天入りした逸材だ。その守備力には入団当初から定評があったが、2年目の昨季は、1年目の4本塁打の2倍となる8本塁打を記録するなど、長打力に成長が見られた。しかし、打率は「.223」と低迷。オープン戦では出場試合の多くで1番に起用されており、持ち前の俊足に高い打率も加われば、対戦相手にとって怖いトップバッターとなる。
辰己同様に俊足を武器としているのが佐野皓大(オリックス)だ。佐野は打率.300で打率ランキング9位に食い込んだ。投手から野手に転向して3年目だった昨季は、その俊足によって出場機会を増やし、リーグ5位、チームトップの20盗塁をマーク。ただ、やはり辰己と同様に打率は「.214」と低迷。今季は打撃力向上によってレギュラー奪取を目指す。
長嶋茂雄以来の新人本塁打王に輝いた阪神・佐藤
6本塁打をマークして本塁打王となったのは、阪神のゴールデンルーキー・佐藤輝明。佐藤は打率ランキングでも「.302」で8位にランクインしている。
その新人らしからぬ打撃により、春季キャンプからオープン戦にかけて球界の注目をもっとも集めた選手のひとりと言っていいだろう。驚くべきは逆方向への打撃だ。オープン戦での6本塁打のうち半数以上の4本が左翼スタンドへのアーチであった。浜風によって左打者が苦労する甲子園で、浜風を味方につけ本塁打を量産する可能性もある。
また、チームの主砲である村上宗隆とともに4本塁打を放って本塁打ランキング2位となったのが濱田太貴(ヤクルト)。濱田は打点ランキングでも村上と並んで11打点で2位にランクインした。村上が21歳なら濱田はまだ高卒3年目の20歳。若き中軸打者候補として、このうえない滑り出しを見せていたが、残念ながら「上半身のコンディション不良」で一軍から離脱したことが報じられた。大きな飛躍の予感を感じさせていただけに、早期の復帰が望まれる。
そして、3本塁打で本塁打ランキング6位、7打点で打点ランキング9位となったのが野村佑希(日本ハム)。野村も濱田と同じ高卒3年目の若き長距離砲だ。はじめて一軍公式戦出場を果たした昨季は、21試合の出場で3本塁打をマークし、その片鱗を見せた。本拠地球場が広い札幌ドームということもあるが、日本ハムのチーム本塁打は2年連続でリーグ最少。チームにとっては中田翔に次ぐホームランバッターとして、その成長に期待したいところだ。
<オープン戦成績>
▼ 辰巳涼介(楽天/24歳)
2018年ドラフト1位(立命館大)
打率.385(39-15)/1本塁打/7打点/2盗塁
▼ 佐野皓大(オリックス/24歳)
2014年ドラフト3位(大分高)
打率.300(50-15)/2本塁打/7打点/3盗塁
▼ 佐藤輝明(阪神/22歳)
2020年ドラフト1位(近畿大)
打率.302(43-13)/6本塁打/9打点/0盗塁
▼ 濱田太貴(ヤクルト/20歳)
2018年ドラフト4位(明豊高)
打率.345(29-10)/4本塁打/11打点/0盗塁
▼ 野村佑希(日本ハム/20歳)
2018年ドラフト2位(花咲徳栄高)
打率.342(38-13)/3本塁打/7打点/0盗塁
文=清家茂樹(せいけ・しげき)