第13回:新天地にかける3投手の活躍は
新たに加入した3投手が、ヤクルト投手陣の起爆剤になるか――。廣岡大志との交換トレードで巨人から獲得した田口麗斗、楽天から移籍の近藤弘樹、日本ハムから移籍の宮台康平の3人は、同じ1995年生まれの25歳だ。
先発で1年を通して活躍が期待される田口は、巨人時代の16年に10勝(10敗)、17年に13勝(4敗)と2年連続で2ケタ勝利を達成している。しかし、翌年以降は思うように成績が伸びず、昨季も5勝(7敗)という結果に終わった。
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同じ広島出身の高津臣吾監督を「男にしたい」と、新天地で再起を誓う左腕。3月20日の西武とのオープン戦(メットライフドーム)では6回6安打2失点と好投し、開幕ローテーション入りを手繰り寄せた。
「要所要所で低めにしっかり投げることができ、全体的には調子よく投げることができました」と振り返ったが、「イニングの先頭を簡単に出してしまい、点の取られ方が悪かったと思います」と反省点も口にしている。
チームメイトとなった小川泰弘のものまねも披露し、明るいキャラクターで既にチームに馴染む様子もうかがえる背番号「34」は、プロ初登板・初先発の相手がヤクルトだった。2015年当時、2年目19歳の若武者は、ツバメ打線を7回1失点に抑えてプロ初勝利を挙げている。
ヤクルトで「すごく縁を感じてやらせてもらえる」という田口の加入は、先発陣が手薄なチームに頼もしい存在となるだろう。神宮球場でのお立ち台でどんな“初勝利”の報告をファンにするのか、今から楽しみだ。
近藤と宮台の起用法にも注目
楽天に17年ドラフト1位で入団した近藤は、昨年オフに自由契約となりヤクルトと育成契約を結んだ。一軍の春季キャンプに参加し、練習試合でも結果を残すと、オープン戦では6試合に登板して自責点0という好成績を収めた。
3月15日に早くも支配下登録が決まり、「まずは一軍の戦力にしっかりとなれるように、1年間戦い抜けるように、どんな場面でもしっかり腕を振って投げていくだけ」と活躍を誓った右腕。150キロ超えのストレートに加え、「自分の武器」と豪語する内角を突くシュートが持ち味だ。
そして、もうひとり。日本ハムを自由契約となり、ヤクルトへの入団が決まった宮台は東大出身の左腕だ。東京六大学リーグで6勝をマークしたが、プロでは未勝利。一軍に定着し、大学時代に慣れ親しんだ思い出の神宮球場で再起を図りたい。
3月14日の中日とのオープン戦では、ヤクルトのユニフォームを着て初めて神宮のマウンドに立った。3回2死満塁という緊張感のある場面だったが、京田から空振り三振を奪い、上々のデビューを飾った。
共に戦力外から這い上がり、リリーフでまずは結果を残した近藤と宮台。投手陣再建へ向けた高津監督の今後の起用法にも注目だ。さらに、田口が先発の柱を担うことができれば、上位浮上の可能性が見えてくる。まだまだ伸びしろのある95年世代。今後の飛躍に期待が高まる。
取材・文=別府勉(べっぷ・つとむ)