ストライク先行で10K
現地時間4月1日に開幕したメジャーリーグの2021年シーズン。今年で3年目を迎えたマリナーズの菊池雄星投手(29)は、本拠地で行われたジャイアンツとの開幕2戦目のマウンドに登った。
前日の開幕戦で2ケタ・10安打、7得点を挙げている相手打線に対し、6回を投げて被安打は6、失点3とまずまずの成績。常にストライク先行の投球が光り、メジャー自己最多に並ぶ10個の三振を奪う力投を見せた。
この日は25人の打者と対戦したが、初球がボールだったのは6人だけ。与えた四球も1個で、この日投じた89球のうち、ストライクは67球にのぼった。ボールは22球で、ストライク率75.3%は渡米後2位の数字だ。
ちなみに、今回を上回る1位というのは、2019年4月26日に記録した77.8%というもの。ただし、この時は1イニング限定の投球だった。
9球中7球がストライクという内容の「77.8%」であり、実質的にはこの日の登板がマリナーズ加入後で最もストライクを取れた試合と言っていいだろう。
“一発病”が再発…?
ただし、ストライクをテンポ良く投げ込む菊池の投球には“弊害”もあった。それが、3回表の先頭打者バスター・ポージーに許したソロと、6回表にエバン・ロンゴリアに浴びた2ラン、この2発である。
菊池はメジャー1年目のシーズンにワースト3位タイの36被本塁打を記録。メジャーのパワフルな打者に圧倒され、6勝11敗で防御率5.46という成績に終わった。
ところが昨季、高速スライダーを習得したところで内容が一変。防御率こそ5.17と大きな改善はならなかったが、47イニングで許した本塁打は3本と、被弾を大きく減らすことに成功している。
被本塁打率(=9イニングあたりの被本塁打数)を見ても、1年目の「2.00」に対して昨季は「0.57」。その差は歴然。短縮シーズンの昨季は、“一発病”は影を潜めていたのだ。
そんな中で迎えたメジャー3年目の初登板。今季は「飛ばないボール」が採用されているにも関わらず、早くも2本の本塁打を供給してしまった。
初回から制球力が安定“しすぎていた”ことも裏目に出たのかもしれない。ポージーには初球、ロンゴリアには1ストライクからの2球目。どちらも不用意とも言えるカウントでの痛恨の被弾だった。
なお、次戦は来週末に行われるツインズとの3連戦で先発することが濃厚。2年前には歴史的な「シーズン307本塁打」を放った強力打線は今年も健在。難敵を相手に2戦目の菊池はどんな投球を見せてくれるのか、今から楽しみだ。
文=八木遊(やぎ・ゆう)