コラム

共通点の多い“あの左腕”を彷彿とさせる巨人斬りで初勝利 阪神・伊藤将司が踏み出した第一歩

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巨人を相手にプロ初勝利を挙げた阪神のルーキー・伊藤将司 (C) Kyodo News

球団史上初の快挙!


 堂々たるパフォーマンスで、宿敵の脳裏に「伊藤将司」の名を焼き付けた。

 今季初めて行われた“伝統の一戦”。グラウンドコンディション不良を理由に突然の7回コールドで初戦を快勝したタイガースは、カード勝ち越しをかけた4月7日の第2戦の先発マウンドを背番号27に託した。




 怪物・佐藤輝明に圧倒的な注目が集まる中、キャンプ終盤から状態を上げ、開幕ローテーション入りを決めたドラフト2位左腕。3月31日の広島戦に続くプロ2戦目の登板は、甲子園での巨人戦というこれ以上ない大舞台が用意された。

 初回は先頭の廣岡大志に左前打を浴びるなど、2安打・1四球と落ち着かない立ち上がり。

 それでも、女房役・梅野隆太郎の強肩「バズーカー」で二盗を阻止してもらい、最後は二死一・二塁で亀井善行を三ゴロに仕留めてピンチを脱した。



 この夜、三者凡退は一度もなかった。毎回走者を背負った…と言えば苦しい投球をイメージしてしまうが、追い込まれた様子はほとんど無かった。

 カットボール、ツーシームを丁寧に低めに集め、凡打を量産。4番・岡本和真をはじめとする中軸と対峙した時に、より低めへの意識を徹底したといい、「粘り強い投球ができたので良かった」とうなずく。ピンチでこそ力を発揮する粘り腰を印象付けた。

 打線の援護にも後押しされ、114球の力投で7回1失点。「プロ初勝利」と「巨人戦初登板勝利」が重なるのは球団史上初だった。


「隙を見せないように」淡々と…


 3安打・2打点で打のヒーローとなった糸原健斗と共に上がった、聖地でのお立ち台。

 左腕は終始、冷静な語り口で喜びを表現。思えばマウンドでも表情を変えることなく、黙々と腕を振っていた。

 「(感情を出さないのは)なるべく相手には隙とか見せないようにやってきたので、そういうとこですね」

 アマチュア時代から“鉄仮面”を貫き、淡々とアウトを積み重ねていくスタイルをプロでも体現。

 投球の際にグラブを大きく掲げる独特のフォームとともに、「強み」のにじむ価値ある1勝になった。


能見篤史と重なる姿


 社会人からのプロ入り、ローテ唯一の左腕、ポーカーフェイス、巨人戦での快投…。

 重ね合わせてしまうのは、昨年限りでタテジマのユニホームを脱いだ能見篤史の姿。伊藤自身も面識こそないが、動画などで先輩の投球を参考にしていることを明かしている。

 「真っ直ぐの質だったり、変化球で三振を奪う時にストライク(ゾーン)からボールが投げられるというところは、自分でもまだ甘いところがあるので参考にさせてもらってました」


 阪神時代に球団歴代3位の22勝をマークし、“Gキラー”として君臨した能見の後継者への期待も抱かせる1勝。

 「先発の役割はできていると思うんですけど、自分の甘いところはあったので、そこはもっと次の登板で修正していきたい」

 余韻に浸ることなく、次戦を見据える視線が頼もしい。


 入団以来、口にし続けているのは1年目からの10勝。佐藤輝と新人王を争うのはチームメートかもしれない。

 大きく高い目標に向けて、虎の背番号27は力強く第一歩を踏み出した。 


文=チャリコ遠藤(スポーツニッポン・タイガース担当)
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