コラム 2021.04.13. 07:09

かつてはイチローも魔の手に…球界の“絶滅危惧プレー”?「隠し球」を振り返る

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イチロー「もちろん初めて」


 突然ですが、最初にクイズを出題します。 

 オリックス時代のイチローを、隠し球でアウトにしたのは誰…?




 答えは現ロッテ監督・井口資仁である。

 1999年7月3日のオリックス戦。ショートを守っていた井口は、一死一・二塁でハービー・プリアムが左飛に倒れた直後、外野からの返球を隠し持ち、二塁走者・イチローが1歩、2歩とリードを取った瞬間…。背後から忍び寄り、背中を叩くようにタッチした。

 「相手の(一塁・三塁)コーチがどっちも見ていなかったので。投手の山田さん(=山田勉)もいい感じで間を取ってくれました」と、してやったりの表情の井口に対し、まんまとはめられたイチローは「(隠し球は)もちろん初めて。何回もやられたら大変です」と苦笑するばかりだった。


 そんな隠し球も、2009年にオリックス・山崎浩司が記録したのを最後に見られなくなり、今やプロ野球界の“絶滅危惧種”の感があるが、かつては「隠し球の名手」と呼ばれた男たちが何人も存在した。


1シーズンで4度も成功!


 1970年のシーズン中に4度も隠し球を成功させたのが、東映時代の大下剛史だ。

 5月8日のロッテ戦で榎本喜八を仕留めたのを皮切りに、6月2日の西鉄戦で乗替寿好、7月2日のロッテ戦で醍醐猛夫、7月31日の西鉄戦で三輪悟をアウトにしている。


 一体、どうしてそんなに決まるのか…?

 その“手口”はというと、送りバントの一塁ベースカバーに入って送球を受けたあと、何気なくボールを持ったまま二塁に戻り、二塁走者が離塁するやいなや、後ろからタッチするというもの。なんと大下は、4回中3回をこの方法で決めていた。

 ちなみに、7月31日の西鉄戦では、隠し球でピンチを救った直後の4回、自らのバットで決勝タイムリーも放ち、攻守にわたって勝利に貢献。“名人芸”をきっかけに、試合の流れを大きく変えた。


ユニフォームの袖の中にボールを隠せ!


 つづいて、1983年にシーズン3度の隠し球を成功させたのが、広島の二塁手ティム・アイルランドだ。


 7月31日の巨人戦の7回、レジー・スミスが中飛に倒れて二死になった直後、二塁走者の篠塚利夫をタッチアウトに仕留め、「巨人ベンチも篠塚もボーッとしていたから、しめたと思った」と会心の初お披露目。

 さらに9月9日の中日戦で谷沢健一、10月5日の中日戦で藤波行雄もまんまとアウトにしたが、“アイルランド流”の隠し球はちょっと変わっていた。


 「隠し球」といえば、グラブの中にボールを隠すのが一般的だが、なんとアイルランドはユニフォームの袖の中にボールを隠していた。

 何も入っていないグラブを見せて油断させるので、相手は面白いように引っかかる。同年9月25日の阪神戦では、吉竹春樹がショート・木下富雄の隠し球でアウトになっており、広島の二遊間コンビは油断も隙もなかった。


元木大介はやはり“クセ者”


 90年代では、巨人の“クセ者”こと元木大介が代表格だ。

 1994年7月26日の阪神戦で久慈照嘉、1997年6月26日の横浜戦では鈴木尚典と、計2度にわたって隠し球を成功させている。


 上宮高時代の1988年・春のセンバツでは、甲子園でも隠し球を成功させている男。

 90年代以降のプロ野球は、一塁・三塁両コーチが野手の動きに目を配り、いったんタイムをかけてボールを投手に戻させるなどの“隠し球対策”も浸透しつつあった。その中で2度も成功させたのは、やはりクセ者ならではだ。


 だが、残念ながらいずれも試合は負け。横浜戦では、隠し球アウトになった鈴木にサヨナラ打を打たれるという皮肉な結末に終わっている。

 また、1999年4月3日の阪神戦では、三塁走者の離塁を待っている最中に桑田真澄がうっかりプレートを踏んでしまい、ボークで生還を許すなど、せっかくの秘技もチームの勝利には結びつかなかった。


隠し球成功でファンから報復?


 隠し球を成功させたあとに“とんでもない災難”に見舞われたのが、横浜時代の佐伯貴弘だ。


 2001年4月13日の巨人戦。佐伯は4回二死一塁の場面で、一塁走者の清原和博を隠し球でアウトに。

 三ゴロ併殺を防ごうと必死で一塁を駆け抜け、間一髪セーフになった清原は、佐伯がボールを隠し持っていたとは夢にも思わず、「野球をやってて初めての経験や。ビックリしたわ」と苦笑い。


 一方の佐伯は「卑怯な手でやりたくなかったが、どうしても勝ちたかった」と言い訳したが、その3日後、自宅近くの駐車場に止めていた愛車が車上荒らしに遭い、タイヤが4つとも盗まれているのを発見してビックリ仰天。

 手際の良い犯行は明らかにプロの手口だったが、隠し球の直後とあって、「怒ったファンが報復したのでは…?」という声も出た。


セ・パ両リーグで成功


 最後に、2000年代を代表する名手といえば、冒頭で触れた山崎浩司。“最後に隠し球を成功させた男”は、セ・パ両リーグで隠し球を成功させたことでも知られる。


 まずは広島時代の2007年8月15日・巨人戦。7回一死二・三塁のピンチに二塁走者・阿部慎之助をアウトにしたが、内心はハラハラドキドキだった。

 というのも、前進守備を指示したはずが、山崎が二塁ベースに張りついているため、ベンチのブラウン監督がカリカリしていたから。その直後、阿部が離塁したため、見事に隠し球成功。この快挙を記念し、球団は“隠し球Tシャツ”を限定90枚で発売したところ、即日完売となった。


 山崎はその後、オリックスへと移籍。2009年6月30日のソフトバンク戦で、送りバントの直後の二塁走者・田上秀則をタッチアウトに仕留め、セ・パ両リーグで隠し球成功という珍記録を達成。奇しくも田上は大産大付高の1年先輩だったため、タッチしたあとには「すみません」と謝ったという。


 昨今はボールの交換が頻繁になり、その都度マウンドにボールが戻されるため、隠し球は至難の業となった。そんな困難な状況を乗り越えて、久々に「騙し」「騙され」の珍場面を見せてもらいたいものだ。


文=久保田龍雄(くぼた・たつお)

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