今年も注目!大学生の有望株
社会人野球の東京スポニチ大会、春の選抜高校野球につづいて、3月下旬から開幕したのが大学野球の春季リーグ。
プロアマ野球研究所では、各カテゴリーでドラフト指名が期待される有力候補を今年も積極的に紹介していきたい。
昨年のドラフト会議を振り返って見ると、1位で競合した早川隆久(早稲田大→楽天)、佐藤輝明(近畿大→阪神)など、大学生が注目の的に。
その2名をはじめ、ほかにも伊藤大海(苫小牧駒澤大→日本ハム)や牧秀悟(中央大→DeNA)、森浦大輔(天理大→広島)に大道温貴(八戸学院大→広島)などなど、多くの大卒ルーキーが早くもプロの世界で活躍を見せている。
今秋も期待がかかる“大学生”。今回は、総合力は大学球界でも1~2を争うと見られる、注目の捕手を取り上げる。
▼ 古賀悠斗(中央大)
・捕手
・174センチ/78キロ
・右投右打
・福岡大大濠
<2020年秋季リーグ戦成績>
10試合 打率.267(30-8) 本塁打1 打点5
36打席 二塁打1 三塁打0 四死球1 盗塁0
出塁率.361 長打率.300 OPS.661
<セカンド送球タイム>
1.88秒
<各塁へのベスト到達タイム>
一塁到達:4.46秒
二塁到達:8.48秒
三塁到達:12.13秒
高校時代から注目を集めた逸材
今年の大学生にも有力なドラフト候補が少なくないが、その中でも攻守の安定感でNo.1と見られているのが、中央大の古賀悠斗だ。
彼のプレーを最初に見たのは高校2年春に出場した九州大会。当時はショートを守り、3番を打っていた古賀。素早いフットワークと強肩を生かした守備、パンチ力のある打撃が目を引いた。
新チームになってから捕手に転向。秋の九州大会では三浦銀二(法政大)とバッテリーを組んで見事に優勝を果たしているが、古賀の名前が全国区となったのは、その後に行われた明治神宮大会だ。
チームは準決勝で清宮幸太郎(現・日本ハム)のいた早稲田実に敗れたものの、古賀は2試合でホームラン1本を含む5安打をマーク。守備でも秋から捕手になった選手とは思えないプレーを見せ、一躍ドラフト候補に浮上するも、プロ志望届は提出せずに大学進学を選んだ。
大学でも攻守ともにレベルアップ中
中央大では1年秋から正捕手の座をつかみ、2年春には打率.350をマーク。シーズンによってわずかに打撃成績の波はあったが、東都大学リーグを代表する捕手に成長した。
そんな古賀の今シーズン初戦となった3月29日の立正大戦。2.00秒を切れば強肩と言われるイニング間のセカンド送球で、計測できた7度全てで2.00秒未満のタイムをマークした。
それもタイムが速いだけでなく、スローイングの動きに丁寧さがあり、コントロールも安定。8回に盗塁をひとつ許したものの、これは完全に投手がモーションを盗まれたもので、捕手のスローイングで阻止できるものではなかった。
さらにリード面でも、立ち上がりからコントロールが不安定だった先発の皆川喬涼(前橋育英)の良さをうまく引き出し、同じ変化球を続けるなど、よく考えた配球で相手打線に的を絞らせなかった。その後の中継ぎ投手陣も巧みに操り、完封リレーに繋げている。
一方、打撃面はどうだったのか。
5番に入った古賀は、第1打席で内角低めのボールを上手く左手でバットをリードし、レフトフェンス直撃のツーベースを記録。パワーがあるところも見せた。
少しノーステップに近い打ち方で、やや緩急への対応には課題が残るも、無駄な動きがなく、下半身をしっかり使って強く振り切きれている。
昨秋と比べても、体の回転が鋭くなり、積極的にフルスイングする姿勢が目立った。この日のヒットは1本だったが、翌日の試合でも初回の第1打席でライトへの先制タイムリーを放つなど、クリーンアップに相応しい活躍を見せている。
また、ここからは編集部の追記となるが、この原稿をもらった後も古賀は好調をキープ。
4月16日の青山学院大戦では、同点の7回に決勝3ランを左中間へと叩き込み、チームの開幕6連勝に貢献。良いアピールを続けている。
高校時代から能力の高さが目立ち、さらに大学の4年間で攻守ともに着実にレベルアップを続けている注目株。高校で九州大会優勝、大学でリーグ戦優勝を果たしているように、“勝ち”を経験してきたという点も大きなプラス材料だ。
とくに若手捕手が手薄な球団にとっては、将来の正捕手候補として是非とも狙いたい人材だといえる。この春のリーグ戦の成績次第では、一気に上位候補に浮上する可能性も大いにありえるだろう。
☆記事提供:プロアマ野球研究所