コラム 2021.05.21. 09:09

将来性抜群の“大型右腕” 九州国際大付・山本大揮がドラフト上位候補に浮上する可能性

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九州国際大付・山本大揮選手 [写真提供=プロアマ野球研究所]

夏・秋を盛り上げる…?


 東海大相模の優勝で幕を閉じた今年の「春のセンバツ」。

 しかし、ひと段落する間もなく、その裏では“夏”に向けた戦いがスタートしている。




 全国各地で行われた高校野球の春季大会。9つある地区大会の先頭を切って開催されたのが九州大会と四国大会だった。

 九州大会は、センバツに21世紀枠で出場した具志川商業が優勝。大会を通じて好投手の存在感が光った。

 今回は、決勝戦で具志川商に破れたものの、この春季大会で良いアピールを見せた九州国際大付の“大型右腕”を紹介したい。



▼ 山本大揮(九州国際大付) 
・投手 
・184センチ/86キロ 
・右投右打

<主な球種と球速帯>
ストレート:138~145キロ
カーブ:115~120キロ
スライダー:120~128キロ
カットボール:134~136キロ

<クイックモーションでの投球タイム>
1.18秒


昨秋に最速145キロをマーク


 山本が注目され始めたのは、昨年夏の福岡独自大会だ。

 2年生ながら背番号1を背負い、北九州地区大会の優勝に大きく貢献。秋は九州大会の初戦でセンバツ準優勝の明豊に敗れたものの、8回を1失点と好投。最速145キロもマークしている。


 チームには柳川大晟というプロ注目の右腕がいることから、春の九州大会は背番号10となったが、初戦の大分舞鶴戦で先発を任される。

 その立ち上がり、一死から味方のエラーで走者を背負うも、続く打者から三振を奪い、4番打者を迎えた場面では、素早い牽制で一塁走者を刺して初回を3人で片付ける。

 3回には一死一・三塁と先制のピンチを迎えたが、ここでも続く上位打線を三振、中飛に抑えて無失点。4回以降は連打を許さず、最終的には被安打5で見事に完封勝利を飾った。


ストレート以上に目立った変化球の制球力


 昨年秋、そのピッチングを映像で見た時は見るからに体つきが細かったが、この冬で確実に一回り以上大きくなった印象だ。

 少し上半身の力が強いフォームで、時折力任せになっていたが、下半身の強さは申し分なく、大型の割に全体的なバランスも安定していた。

 この日の最速は144キロ。これは昨年秋と数字的には変わっていないが、体が大きくなってリリースが安定したことで、数字以上に打者の手元で威力を感じた。

 終盤は少し疲れが出たというが、8回・9回にも140キロを超えるスピードを記録。最後まで大きく球威は落ちなかった。


 さらに、ストレート以上に目立ったのが変化球である。

 スライダーは120キロ台前半から後半までスピードにバリエーションがある。左打者の外角(右打者の内角)を狙って、スライダーをコントロールできる能力も持っている。

 130キロ台中盤のカットボールは、ストレートと変わらない腕の振り、ボールの軌道で打者の手元で小さく鋭く変化していた。打者にとって厄介なボールだったに違いない。


一気に上位候補に…!?


 もう一つ感心したポイントが、走者を背負ってからのピッチングだ。

 前述したように、初回には自らの牽制で走者を刺し、さらにピンチの場面でも、ギアを上げてコントロールが乱れることなく、三振を奪えるのは大きな持ち味である。また、クイックのタイムも1.1秒台と速く、それだけフォームには無駄がない。


 高校生で大型の本格派といえば、スピードだけで、それ以外は未熟というケースも少なくない。

 だが、山本は変化球や投げる以外のプレーのレベルも高く、しっかり試合を作れるというのは得難い長所だ。この変化球の精度をしっかりとキープしたまま、スピードがよりアップしてくれば、一気にドラフトの上位候補となる可能性もあるだろう。

 夏には、さらに進化したピッチングを見せてくれることを期待したい。


☆記事提供:プロアマ野球研究所
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