コラム 2021.05.28. 07:02

“投高打低”に悩む中日の病巣【嬉しい誤算・思わぬ誤算】

無断転載禁止
中日の高橋周平
2021.05.27 17:45
中日ドラゴンズ 3 終了 3 福岡ソフトバンクホークス
バンテリンドーム

最終回:眠れる強竜打線


 与田中日の苦闘が続いている。25日から始まったセパ交流戦こそ、王者・ソフトバンクに連勝スタートで活気を取り戻しつつあるが、それでも27日終了時点(以下同じ)で、借金4のBクラスに沈んでいる。昨年は8年ぶりにAクラスの3位に浮上。今季こそ優勝を、と地元ファンも盛り上がっていただけに、シーズン序盤の戦いは期待外れと言える。

 “病巣”は明らかだ。深刻な打線の力不足に尽きる。

 交流戦前のチーム打率.236はリーグ最下位。同本塁打18本も、チーム総得点125もリーグワースト。投手陣はチーム防御率2.84でリーグトップどころか12球団でもトップだ。

 大野雄大、柳裕也、小笠原慎之介らの先発陣は投手成績の上位に名を連ね、又吉克樹、祖父江大輔、福敬登らの中継ぎ陣が絶対的守護神のライデル・マルティネスに繋げば盤石の勝ちパターンが出来上がる。ただし、打線が呼応しないことにはベンチの計算も成り立たない。

 ここまでの48試合消化時点で3得点以下のゲームが「34」。1点差試合は6勝8敗と競り負けている。極端な「投高打低」が元凶だ。


チームの描く未来予想図は?


 昨年も得点力、本塁打不足に泣いた。そんな反省から獲得した新外国人、マイク・ガーバー選手の誤算が痛かった。マイナーながら通算91本塁打の触れ込み、しかも今季から一軍打撃コーチに就任したアロンゾ・パウエルの推薦もあったという。開幕直後から3番に起用してダヤン・ビシエド選手とのコンビで破壊力アップを期待したが、長距離砲は看板倒れに終わり、5月中旬にはファームに姿を消している。

 元々、クリーンアップを打つビシエドにしても高橋周平選手にしても、ホームラン打者ではない。その穴を埋めるべき助っ人がメジャー実績もないガーバーで適任だったのか? 年俸5000万円の外国人ひとりにそれを求めるのは虫が良すぎる。コロナ禍という難しい状況ではあるものの、フロントの「本気度」にも首を傾げたくなる。

 チームの補強策には大きく分けて3つある。ドラフト、トレードと新外国人の獲得だ。もちろん、そうして獲得した選手をいかに育成していくかも大切になる。近年、中日ではどれを積極的に行い、チーム強化を図ってきたのだろう。このあたりのビジョンが見えてこなければⅤ奪回もあり得ない。これは与田剛監督以下の現場というよりフロントの責任が大きい。

 確かに3年前から地元出身の超高校級である根尾昂、石川昂弥選手、髙橋宏斗投手らを獲得して将来の王国づくりに腐心しているのかもしれない。だが、他球団の安田尚憲選手、佐々木朗希(共にロッテ)や奥川恭伸(ヤクルト)投手らを見ても、一軍で活躍するには時間がかかる。

 この間、レギュラー陣と有望株とのすき間を埋めるのがトレードであり、外国人の獲得である。長丁場のペナントレース、どの球団でも故障者や誤算は生まれる。その時に備えてどれだけの戦力を揃えておくのか。巨人、阪神らライバル球団との差はそこにある。


 要因は落合後遺症?


 かつて、星野仙一監督が中日を指揮していた頃、鉄拳制裁ばかりが話題を呼んだが、立浪和義、山本昌、中村武志ら若手を鍛える一方で、毎年多くの選手を放出・獲得して“血の入れ替え”を断行した。落合博満監督で黄金期を迎えたときには、荒木雅博、井端弘和の鉄壁二遊間を作り、打線の柱にはタイロン・ウッズやトニー・ブランコらの大砲がいた。

 近年の中日の低迷を「落合後遺症」と指摘する声がある。チームの勝利のためには徹底した管理と緊張を求めた名将の退陣後に、厳しさがなくなったという。

 さらに外国人獲得に際しては腹心である森繁和氏を中心に中南米ルートを開拓。同氏が退団後に後任の適任者がいない。

 中日は歴代、球団社長や代表は親会社の天下り組が占め、野球のことは門外漢というケースが多かった。そこで、星野や落合はオーナーの寵愛を受け、全権を掌握してチーム改革も断行した。だが、時代は変わり与田監督にそれを求めるのは酷。落合GM時代に結果が出なかったとはいえ、もう一度、フロントと現場の関係を強化する手立てが必要だろう。

 昨年、大黒柱の大野雄大がFAを取得した時、巨人他複数球団が獲得に動いたと報じられた。結局、本人が中日残留を決めたから良かったものの、仮に退団していればチームは崩壊の危機にさらされていたに違いない。王国づくりには時間がかかるが、転落はあっという間にやってくる。

 幸い、5月に入って高橋、京田陽太、阿部寿樹各選手らに当たりが戻り始め打線全体は上向いているが、控え層を含めまだまだ迫力不足は否めない。

 ここからは想像の域を超えないが、現場からはトレードも含めた打開策をフロントに求めているはずだ。本気で優勝を狙うなら、今こそ背広組が動く時期である。


文=荒川和夫(あらかわ・かずお)

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