ブルージェイズのウラジーミル・ゲレロJr.

◆ 三冠王にまっしぐら?

 打者として、投手として、その一挙手一投足が注目されるエンゼルスの大谷翔平。

 特に打者としては、開幕から本塁打を量産中。現地30日現在の「15本塁打」は、ア・リーグトップと1本差の3位タイである。

 そんな大谷を上回る「16本塁打」を放っている選手が2人いる。元巨人でレンジャーズのアドリス・ガルシアと、ブルージェイズのウラジーミル・ゲレロJr.だ。

 今回取り上げたいのが、3月に22歳を迎えたゲレロの方。今季は開幕から全52試合に出場し、打率.323(ア・リーグ3位)、16本(同1位タイ)、42打点(同3位)と、三冠王も狙える数字を残している。

 このペースでフルシーズン(162試合)プレーすれば、49本塁打・130打点というすさまじい成績を残すことになるが、さすがにこのペースを維持するのは困難だろう。3割・40本・120打点あたりが現実的な目標となりそうだ。

◆ 偉大な父の存在

 そんなゲレロの父といえば、同名のウラジーミル・ゲレロ。息子と同じく、若くからメジャーで活躍した名選手だった。

 1996年にモントリオール・エクスポズ(現ワシントン・ナショナルズ)でデビューすると、翌年にはレギュラーに定着。3年目に38本塁打を放ちブレイクし、24歳で迎えた4年目に3割・40本・120打点をマーク。翌年にも同基準をクリアしている。

 メジャー生活16シーズンで、40本塁打超えはこの2回だけだったが、エンゼルスに移籍した2004年にはMVPに輝くなど、当時のメジャーで最も恐れられていた打者の1人だった。

 打つだけでなく、足と肩も一級品だった。

 26歳シーズンから2年連続で「30-30(30本塁打-30盗塁)」を達成。特に2度目となった27歳シーズンは39本塁打・40盗塁で、惜しくも「40-40」を逃してのものだった。

 右翼手としては、ポカも多く毎年のように2ケタの失策を記録していたが、その強肩は同じ時代に活躍したイチローと比較されるほど。結局、36歳までプレーをし、積み重ねた安打数は2590本。通算打率はイチローを上回る.318という数字を残した。

◆ 父は届かなかったタイトル奪取を…

ゲレロが主要打撃3部門のタイトルを獲得することはなかったが、引退後には対象2年目で殿堂入り。息子のJr.にもその血は受け継がれており、打撃に関しては「父以上」と高く評価されている。

 息子は20歳になったばかりの2019年に三塁手としてデビュー。60試合制で行われた昨季と2年連続でレギュラーとして出場したが、メジャーの一流投手相手に苦しんだ場面も多々あった。

 そんななか、今季は一塁に転向して大きく飛躍。父が無縁だった主要3部門のタイトル全てを奪取する勢いだ。ちなみに、父が22歳シーズンに残した成績は90試合で打率.302、11本塁打で40打点。息子は今季52試合を終えた時点でその数字を大きく上回っている。

 足と肩においては父に到底及ばないが、それを十分補うだけの打撃力を持つゲレロJr.。大谷はとんでもない選手と本塁打王のタイトルを争っている。

文=八木遊(やぎ・ゆう)
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※訂正とお詫び(2021年6月1日15時50分)
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初出時の今季打点数と想定打点数に誤りがございました。
訂正してお詫び申し上げます。大変失礼いたしました。

【八木遊・プロフィール】
1976年、和歌山県出身。大学卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。日本にファンタジーベースボールを流行らせたいという構想を持ち続けている。

この記事を書いたのは

八木遊

1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。

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