コラム 2021.06.01. 06:44

交流戦で“石ころ事件”が再び…?思わず目が点になった「意外なルール」を巡る珍事件

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野球のルールは難しい…? (C) Kyodo News

打撃妨害をとるか、二ゴロをとるか


 連日各地で熱戦が繰り広げられている『日本生命セ・パ交流戦』。

 ベースボールキングでは、交流戦の開催に合わせて過去の“交流戦珍事件”を振り返る特集を展開中だ。




 今回のテーマは、「えっ、そんなルールがあったの…?」

 過去の交流戦では、ファンはもとより、監督・選手までもが目が点になるような珍場面も何度かあった。

 まずは、「どちらか好きなほうを選べ」と監督が審判から状況の二者択一を委ねられる“究極の選択”が話題になった試合から。



 2008年5月31日の中日-西武戦。0-0の2回、西武は安打と四球などで一死一・三塁の先制機に、次打者・細川亨のスイングしたバットが捕手・小田幸平のミットに接触した。

 打球は二ゴロになり、細川は一塁アウト。しかし、当然ながら打撃妨害で出塁が認められるケースである。

 ところが、三塁走者のG.G.佐藤がこの内野ゴロの間に先制のホームを踏んだことから、話がややこしくなった。


 打撃妨害の出塁か、内野ゴロ間の生還か。正解は…

(1)細川が「打撃妨害」で出塁。一死満塁で再開。
(2)細川の「二ゴロ」で1点先制。二死二塁で再開。

 このいずれかを選ぶことができる(野球規則6.08)だ。


 そして、渡辺久信監督が選んだのは、「二ゴロで1点」だった。

 「(先発した)岸(孝之)の調子がいいので、先に1点を取っておきたい」というのがその理由。中日の先発もエース・川上憲伸でロースコアの投手戦が予想されたことに加え、西武が2006年から中日に1引き分けを挟んで7連敗中と相性が悪かったことも、“先手必勝”の思いに拍車をかけたのかもしれない。


 一死と引き換えに1点を貰った形の西武は、3回に中村剛也の適時打、4回にも栗山巧のソロで1点ずつを加え、3-0と渡辺監督の思惑どおり優位に立ったが、皮肉にもここから試合は暗転する。

 6回に頼みの岸がウッズに2ランを浴び、7回途中で降板。さらに2番手・星野智樹が立浪和義に同点の犠飛を許したあと、3番手・大沼幸二も井端弘和に勝ち越しのタイムリー二塁打を浴び、終わってみれば、3-4の逆転負け…。

 結果論にはなるが、2回に二死二塁で試合が再開された直後、川上が2者連続四球と制球を乱していただけに、一死満塁も捨てがたかった気がしないでもない。


平成版「石ころ事件」


 つづいて、野球のルールの奥深さを実感させられる判定が下されたのが、2015年6月2日のDeNA-ソフトバンクだ。


 1点を追うソフトバンクは7回、先頭の高田知季が左前安打で出塁。二死後、中村晃と今宮健太が連続四球で満塁とチャンスを広げる。

 そして、次打者・柳田悠岐のピッチャー返しの打球は、渡田均二塁塁審に当たってセンターの前へ。三塁走者・高田に続いて二塁走者・中村もホームイン。ソフトバンクは4-3と逆転に成功…したかに見えた。

 ところが、渡田塁審は「アンパイアに当たりましたので、ボールデッドとして、押し出しの形で満塁で試合を始めます」と宣告。中村晃を三塁に戻してしまう。


 審判はよく“石ころ”にたとえられる。

 1982年の日本シリーズ、中日-西武の試合ではこんなことがあった。中日・平野謙の一塁線への打球が塁審の右足に当たったあと、二塁手の前にはね返ったことから、三塁を狙った二塁走者がタッチアウトに。通称・“石ころ事件”である。


 この伝でいけば、インプレーで2得点になるはずなのだが、あにはからんや、事実は違っていた。

 実は、「内野手(投手を含む)に触れていないフェアボールが、フェア地域で審判員に触れた場合、あるいは内野手(投手を除く)を通過していないフェアボールが、審判員に触れた場合はボールデッドとなり、走者は1個の進塁が許される」(野球規則5.09)と決められているのだ。

 つまり、平野のケースは打球が一塁手の脇を抜けたあとで塁審に当たっているので、石ころ同様の扱いでインプレーになるが、柳田の場合は内野内に位置していた審判に当たったので、「ボールデッド」というわけだ。

 だが、ソフトバンク・工藤公康監督は、前出の石ころ事件の際に当時西武の選手として一部始終を目撃していたこともあり、納得ができず激しく抗議。最後はルールブックを手に審判団に確認したが、判定は覆らなかった。


 打った柳田も「一瞬、何が起きたかわからんかったっす」と目を白黒。

 石ころと認定されない状況があることを初めて知ったファンも多かったはずだ。


ボールボーイが間違えて捕球


 最後に、ボールボーイの“勘違い”が得点に影響する珍事が起きたのが、2017年6月7日の楽天-DeNAだ。


 6-2とリードのDeNAは3回、一死一・二塁のチャンスにロペスが三塁線を鋭くゴロで抜く長打コースの打球を放つ。二者が生還し、これで8-2とリードを広げた…かに思われた。

 ところが、名幸一明三塁塁審が「フェア!」のジェスチャーをしていたにもかかわらず、左翼ファウルエリアにいたボールボーイがファウルと勘違いして捕球したことから、皆「エーッ!」と目を丸くした。

 ボールボーイのように、グラウンドに入ることを認められた人間がプレーに関与した場合、その後の処置はどうなるのか…?


 審判団が協議した結果、判定はボールデッド。

 「ボールボーイの妨害がなければ二塁打」(野球規則3.15)という判断に基づき、一度はホームを踏んだ一塁走者の梶谷隆幸が三塁に戻され、一死二・三塁でプレー再開となった。


 思わぬハプニングで2点適時打のはずがマイナス1になったロペスだったが、ボールボーイを責めることなく、「追加点が欲しかったので、適時打になり、うれしい」と紳士のコメント。

 ちなみに、梶谷も次打者・筒香嘉智の中犠飛で8点目のホームを踏んでおり、結果オーライになった。


文=久保田龍雄(くぼた・たつお)
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