今年2月に14年総額360億円の超大型契約
ダルビッシュ有が今季から所属していることで、日本国内での注目度も高まっているサンディエゴ・パドレス。
オフに敢行した補強策が実り、ここまで36勝25敗(日本時間6月7日時点)でナ・リーグ西地区の首位争いに加わっている。
60試合制で行われた昨季は、37勝23敗の好成績で地区2位。14年ぶりのプレーオフにも出場。今季掲げるのは15年ぶりの地区優勝とチーム史上初の世界一だ。
そんなチームを牽引するのは、今年2月に14年総額360億円という超大型契約を結んだフェルナンド・タティスJr.。同名の父も1990年代から2000年代にかけてメジャーで活躍した、メジャーでは数多い2世選手の一人である。
2019年に弱冠20歳でメジャーデビューを果たしたタティスJr.は、1年目から84試合に出場。いきなり22本塁打を放つ活躍を見せる。2年目の昨季はやや成績を落としたが、その将来性を買われ、先述の大型契約につながった。
大きな期待を背負って迎えた今季、プレッシャーもあったのか打撃は絶不調。打率は1割台に低迷し、開幕5試合目には空振り三振を喫した際に左肩を負傷。軽度の「関節唇損傷」という診断で、約10日間にわたって戦列を離れた。
しかし、故障が癒え、復帰戦でいきなり一発を放つと、その後は徐々に調子を取り戻し、5月は打率.353に9本塁打という好成績。チームが61試合を終えた7日時点の成績は、出場43試合、打率.292で17本塁打・39打点。
本塁打数はリーグトップタイで、さらに盗塁も同じくリーグトップタイの13個を記録している。
15年ぶりの快挙達成なるか…
打撃タイトルはもちろん、タティスJr.には期待したい記録が他にもある。
日本ではトリプルスリー(3割・30本・30盗塁)が有名だが、メジャーではパワーとスピードを兼ね備えた打者の目安は30-30クラブ(30本・30盗塁)というもの。
タティスJr.は、ケガなく“普通に”過ごすことができれば、30-30はあっさり達成してしまうだろう。
そこで狙ってほしいのが、一気に難易度が上がる40-40クラブだ。文字通り、40本塁打と40盗塁を同一シーズンに達成する選手に送られる称号である。
長いメジャーの歴史でも、過去に40-40を達成したのは4人だけ。
1988年にホセ・カンセコが初めて快挙を達成すると、1996年にバリー・ボンズ、1998年にアレックス・ロドリゲス、そして2006年には広島でもプレー経験があるアルフォンソ・ソリアーノが達成している。
今季は18試合に欠場しながら、45本塁打・34盗塁ペースのタティスJr.。15年ぶり快挙達成のチャンスは十分あるだろう。
もし今季40-40を達成すれば、その先にはパドレスにとって悲願の世界一も決して夢物語ではない。
文=八木遊(やぎ・ゆう)