関西大学球界が誇る“最速151キロ右腕”
関西六大学野球に所属している京都産業大学。
近年は大阪商業大の後塵を拝することが多く、現役のプロ野球選手は平野佳寿(オリックス)だけとなっている。
しかしながら、今年のチームにはプロから高い注目を集めている選手がいる。最速151キロを誇る本格派右腕の北山亘基だ。
チームは春季リーグの優勝こそ逃したが、北山は連日の好投を見せてアピール。日に日に評価は高まっているという。
その実力を確かめるため、最終節となった大阪商業大との試合に足を運んだ。
▼ 北山亘基(京都産業大)
・投手
・182センチ/80キロ
・右投右打
・京都成章高
<主な球種と球速帯>
ストレート:142~151キロ
カーブ:116~118キロ
スライダー:124~128キロ
フォーク:128~133キロ
チェンジアップ:113~116キロ
<クイックモーションでの投球タイム>
1.16秒
制球力と変化球が進化!
北山が評判となったのは、高校3年の時。春の京都府大会ではノーヒットノーランを達成し、続く夏もエースとして全6試合に登板するフル回転の活躍。京都成章高を19年ぶりの夏の甲子園出場に導いた。
甲子園の本大会では、初戦で神村学園にサヨナラ負けを喫したとはいえ、8回1/3を投げて3失点、11奪三振の好投を見せている。ストレートの最速は142キロと驚くようなスピードはないが、数字以上の勢いが感じられた。ただし、変化球やコントロールに関しては、まだまだという印象が残っていた。
北山のピッチングを現地で見るのは、その神村学園戦以来だった。
まずコントロールと変化球に大きな成長を感じた。試合開始直前から雨が降り始め、2回にはかなり強くなった影響もあって3安打を許し2点を失ったが、コンディションが悪いなかでも、大きく制球を乱すことがなかったのは立派の一言である。
最も雨が激しかった2回、この日の最速となる150キロを記録。終盤の7回にも149キロをマークするなど、常に145キロを超えるスピードがあったのも印象的だ。
フォームはテイクバックで右手が大きく下がり、さらに腕が背中に入るのも気になったが、引っかかることはなく、スムーズに肘が高く上がる点が高校時代からの長所。
少し癖がある点は気になったものの、本人の体にとってはこの投げ方がしっくり来ていることは確かだろう。指のかかりが良く、高めも低めも勢いがあり、ボールの角度も申し分なかった。
さらに感心したのが、変化球のレベルが格段に向上していたこと。110キロ台のカーブとチェンジアップで緩急を上手くつけていた。
決め球として使うことが多かったフォークは、130キロ台のスピードで鋭く落ちることから、空振りを奪うことができる。これに加えて、120キロ台中盤のスライダーを両コーナーに狙って投げ分けており、速さにバリエーションがあるのが大きな武器だ。
高校時代はストレートが走らなければかなり苦しい印象もあったが、この日の中盤には変化球主体の投球を見せるなど、試合を作る能力が格段に進化していた。
9球団・19人のスカウトが熱視線
試合はというと、味方の援護がなく、8回途中まで投げて3失点で負け投手となった。だが、全てにおいて高い実力を誇ることを証明するには十分なピッチングといえる。
リーグ戦終盤にもかかわらず、この日は9球団・19人のスカウトがスタンドに詰めかけていた。このなかには、スカウト部長クラスの姿も多かった。
なかには「この春に何度も見ている」というスカウトの話もあり、北山に対する注目度の高さを感じている。
関西の大学生と言うと、現時点ではサウスポーの黒原拓未(関西学院大)が高い評価を受けているが、右投手であれば北山がNo.1の存在と言えるだろう。
この春季リーグ戦の活躍で、一気にドラフト上位候補に浮上したことは間違いない。
☆記事提供:プロアマ野球研究所