独自に「12人」をリストアップ!
6月29日に開幕する『社会人野球日本選手権』。
東京五輪が開催される影響で、例年の秋から夏前に開催時期が変更となっている。
昨年はコロナ禍で中止となったため、実に2年ぶりの開催となる。
プロアマ野球研究所では、日本選手権に出場するドラフト候補について2回にわたって紹介したい。
今回は野手編だ。
タイプが違う“ふたりのショート”
今年の社会人野手はと言うと、投手の広畑敦也(三菱自動車倉敷オーシャンズ)のような目玉は不在。全体的に少し候補となる選手が少ない印象は否めない。
だが、そんな中でも面白い存在になるのが中川智裕(セガサミー)と水野達稀(JR四国)。タイプの異なる遊撃手の2人だ。
中川は190センチ近い長身とたくましい体格を誇る、強肩とパワーが光る大型選手。
特にスローイングは圧巻で、三遊間の深い位置からも一直線でファーストに届き、この送球だけでも見る価値があるというレベルだ。
課題と言われていた打撃の確実性も間違いなく向上中。多少崩されてもヒットにできるようになったのは大きな進歩である。
日本選手権出場をかけた明治安田生命戦では、打った瞬間に分かる特大の逆転2ランをレフトスタンドに叩き込んだ。そのパワーも大きな魅力だ。
対して、水野はプレーのスピードが持ち味。高校卒1年目からショートのレギュラーを任されており、フットワークの良さを生かした守備範囲の広さは目を見張るものがある。
170センチと小柄とはいえ、バッティングは決して小さくなく、一昨年の都市対抗では一発を放つなどパンチ力も備えている。加えて、高校時代は甲子園、社会人に進んでからは都市対抗に日本選手権でも結果を残しており、大舞台で強さを発揮できるのも魅力のひとつだ。
さらに遊撃手ではもう一人、167センチと水野よりもさらに小柄ながら抜群の守備力とミート力が光る和田佳大(トヨタ自動車)も注目の候補だ。
外野手に有力ドラフト候補がズラリ
他のポジションでは、外野手に有力選手が揃っている。なかでも総合力で一歩リードしている印象を受けるのが藤井健平(NTT西日本)だ。
高校時代から、その強肩とパンチ力には光るものがあった。社会人1年目で迎えた昨年の都市対抗では、3試合で8打数6安打、1本塁打に4盗塁の大暴れ。大会の新人賞にあたる若獅子賞も受賞した。
昨年は下位打線を打つことが多かったが、今年は3番としてしっかり結果を残している。即戦力の外野手が欲しい球団にとっては、真っ先に名前が挙がる存在になるだろう。
3拍子揃ったタイプでは上西嵐満(JFE西日本)も面白い。宇部鴻城ではエースとして3年春の選抜にも出場していたが、日本体育大進学後に外野手に転向。抜群のスピードと強肩を生かした守備は圧倒的なものがあり、トップバッターとしても打線を牽引した。
社会人でも早くからレギュラーの座をつかみ、今年は強打の2番として活躍。欠点らしい欠点がなく、リードオフマンタイプとしては理想的な選手と言える。
このほか、北畠栞人(TDK)や火ノ浦明正(NTT東日本)、中村健人(トヨタ自動車)に船曳海(日本新薬)なども活躍が期待される外野の注目株だ。
大阪桐蔭「春夏連覇」の正捕手に注目
捕手では、高校卒3年目の若手で、大阪桐蔭の春夏連覇に貢献した小泉航平(NTT西日本)が注目されている。
同じチームには昨年からドラフト候補と言われている辻本勇樹がいるため、出番があるかは微妙なところだが、貴重な若手捕手として楽しみな存在だ。
既にドラフト指名解禁済の選手では、高校卒4年目の猪田和希(JFE東日本)が面白い。
もともとは捕手だったが、打撃を生かすべく今年から本格的にコンバート。主にレフトとして出場し、5月に行われたJABA北海道大会では4試合で4本塁打を放ち、大会の敢闘賞も受賞している。
外野以外にもサードを守るなど、複数のポジションをこなすユーティリティで、まだ今年で22歳と若く、貴重な右の強打者タイプと引きは十分。今大会での活躍次第では、リストアップする球団が増えることも十分に考えられるだろう。
☆記事提供:プロアマ野球研究所