コラム 2021.07.02. 08:08

一気にドラフト上位候補へ…?社会人で急成長を遂げたセガサミー・横山楓に熱視線

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セガサミー・横山楓選手 [写真提供=プロアマ野球研究所]

最速150キロの快速右腕


 6月29日に開幕した『社会人野球日本選手権』。

 東京五輪が開催される影響で、例年の秋から夏前に開催時期が変更。さらに今年はほっともっとフィールド神戸で1回戦が行われ、2回戦から京セラドーム大阪に舞台を移すという日程で熱戦が繰り広げられる。




 7月2日、1回戦の第3試合に行われるのがNTT西日本(大阪)とセガサミー(東京)という一戦。

 セガサミーは昨年の都市対抗野球でも創部以来2度目となる準決勝進出を果たしているように、伝統あるチームの多い東京のなかでもすっかり強豪の一角として定着している。

 これまでも宮﨑敏郎(DeNA)をはじめ、多くのプロ野球選手を輩出しているが、今年もまた秋のドラフトで指名が期待できる候補が複数在籍。そのなかでも、急激な成長を見せてプロからの注目を集めている“150キロ右腕”をご紹介したい。



▼ 横山 楓(セガサミー)
・投手
・180センチ/83キロ
・右投両打
・宮崎学園高→国学院大

<主な球種と球速帯>
ストレート:145~150キロ
カーブ:110~116キロ
スライダー:123~126キロ
フォーク:138~141キロ


変化したフォームと体つき


 宮崎学園高時代は甲子園出場こそなかったとはいえ、県内では評判を集めた好投手。3年の夏には宮崎大会で準優勝も果たしている。

 国学院大進学後は3年春からリリーフとしてリーグ戦に出場。4年時に先発に転向すると、春秋の2シーズンで合計5勝をマーク。ただ、高校時代の評判の高さからすると、6勝5敗という4年間の通算成績には少し物足りなさが残ったことは否めない。


 社会人1年目の昨年は、都市対抗予選に1試合登板したのみ。本大会での出場もなく、話題にあがることも少なかったが、今年は春先から好調を維持。日本選手権の代表の座をかけた6月3日の明治安田生命との大一番では、1点ビハインドの5回からマウンドを任されると、この試合で社会人での成長ぶりをいかんなく発揮してみせる。

 立ち上がりの先頭打者にヒットを許すも、続く打者は自らの軽快なフィールディングで併殺に打ち取り、このイニングはわずか9球で無失点。7回に1点を失うも、4回を投げて被安打3、無四球の4奪三振。見事なピッチングでチームの逆転勝利に大きく貢献した。


 大学時代と大きく変わったのが投球フォーム。特にテイクバックだ。

 以前はオーソドックスな動きだったが、今は早めに肘をたたんで、かなりコンパクトになった印象を受ける。テイクバックがコンパクトになったことで、打者からはボールの出所が見づらくなったようだ。肘はきれいに高く上がり、ボールの角度も申し分なかった。

 さらに変化したのが体つき。以前はどちらかと言えばスラっとした細身の投手だったが、かなり上半身も下半身もたくましくなった。社会人の中でも体格面では引けをとらない。

 体が大きくなったことに比例して、ストレートの勢いも確実にアップしている。この日も立ち上がりから145キロを超える直球を連発し、最速は150キロをマーク。これはフォームとボールの両方が進化した結果だ。

 一方、変化球は緩急をつけるカーブで上手くストライクをとり、決め球となる140キロ前後のフォークはブレーキがよく効いている。この日投げた変化球はカーブとフォークが大半だったが、スライダーやカットボールといった横の変化球をもう少し使えれば、さらにピッチングが楽になるだろう。


大舞台でアピールなるか…


 一般的に、高校時代は“本格派投手”と呼ばれていても、大学や社会人とキャリアを歩んで行くにつれて、ボールの勢いがなくなるという例は少なくない。

 しかしながら、横山は大学卒2年目の24歳となる年にストレートが劇的に良くなっている。このようなケースは珍しいことだ。


 前述したように、フォームは一見するとコンパクトになったものの、ピッチングのスケール自体は逆にアップした印象。あとは大きな舞台でインパクトを残す活躍ができるか、ここにかかってくる。

 『社会人野球日本選手権』でも、注目の投手のひとりである横山。予選で見せたようなピッチングを大舞台で見せることができれば、一気に上位候補に浮上してくることも十分に考えられる。


☆記事提供:プロアマ野球研究所
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