一軍再昇格後の藤原は21打数9安打
一軍に再昇格した藤原恭大(ロッテ)が好調だ。昨季終盤に一軍昇格後、プロ1号・2号本塁打をいずれも初回先頭打者本塁打で記録するなど印象的な活躍を見せた藤原。チームからもファンからも大きな飛躍を期待され、今季は9番・中堅の開幕スタメンを勝ち取った。
しかし、開幕から一向に調子が上向かないまま4月22日に二軍へ降格。その時点での打率は「.161」と低迷していた。だが、7月3日に一軍へ復帰を果たすと5試合で2度の猛打賞と安打を量産。7月4日の対楽天戦では今季1号本塁打をマークするなど、再昇格後の5試合では21打数9安打1本塁打4打点7得点と存在感を示している。
チームにとっていい方向に出ているのが、打順だ。開幕して二軍へ降格するまでの藤原は、スタメン出場した全試合で9番に起用されていたが、復帰後の打順は「2番」。7月4日の対楽天戦では、初回から先頭の荻野貴司、藤原、3番・中村奨吾の3連打が生まれてあっという間に2点を先制し、ゲームの主導権を握った。
開幕直後から2番に君臨したマーティンの状態が落ち気味となった中、荻野と中村奨という3割打者の間に藤原がハマったことで、上位打線で得点を奪うことも、マーティン、レアードの前に走者を溜めてプレッシャーをかけることも可能となった。
つながる広がる「藤原-中村」ライン
藤原が一軍再昇格後の5試合では、その他にも藤原が塁に出れば中村も続くというシーンが目立っている。この5試合、本塁打や四球も含めて藤原が出塁したあとの中村の打撃成績は、なんと11打数9安打1本塁打7打点。
7月3日の同カードを振り返ると、ロッテの10安打に対して楽天は12安打と安打数で上まわっている。しかし、初回と逆転を許したあとの8回に、2番・藤原、3番・中村の連打で効率よく得点を挙げたロッテが勝利を収めた。
ソフトバンクとの2連戦でも、6日の試合の3回一死三塁から藤原と中村の連打をキッカケに一挙9得点を奪っての快勝。翌7日の試合も1点ビハインドの展開から、先頭の藤原が四球、中村がヒットで繋ぎ、レアードの逆転3ランを呼び込んだ。まさに打線のつながり、連打というものの強さ、そして重要性をあらためて感じさせられる1週間だった。
開幕からしばらくのあいだは首位争いをしていたロッテだが、6月以降は徐々に戦績が下降。開幕から5月までは5割以上の勝率を残していたものの、6月は7勝11敗4分と負け越し、それまでにつくった貯金を吐き出してしまった。
しかし、藤原が復帰してからの5試合で5連勝を飾り、一気に首位と2.5差の2位にまで浮上した。もちろん藤原のいまの調子が最後まで続くとは限らないが、コロナ禍に見舞われた昨季がそうであったように、スター性のある藤原はチームのムードを変える力を持っており、それこそ起爆剤にうってつけの選手でもある。
昨季終盤に披露したようなセンセーショナルな活躍を見せられるか――。前半戦を良い位置で終えるためにも、藤原のバットに要注目だ。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)
編集=平野由倫