宮城の被打率は過去10年でトップ
7月16、17日に行われた「マイナビオールスターゲーム2021」に初出場を果たした宮城大弥投手(オリックス)。先発投手部門のファン投票1位で選出されただけに、もちろん今季の成績は素晴らしい。そんな宮城の個人成績のなかで注目したいのが、被打数に占める被安打の割合を表す「被打率」である。
個人タイトルになっていない指標ということもあって注目度は高くはないかもしれないが、現在の宮城の被打率.178は、歴代級といってもいい数字だ。
通常、規定投球回に到達した選手のなかでは、被打率が2割を切ることもごくわずかであり、リーグトップの数字が「.210」以上といったシーズンも決して珍しくない。現在、宮城に次ぐパ・リーグ2位の伊藤大海(日本ハム)、セ・リーグトップの柳裕也(中日)の被打率がともに「.199」であることからも、宮城の数字がいかに抜きん出ているかは明白だ。
もちろんシーズンはまだ終わっていないが、宮城の「.178」という数字は、過去10年をさかのぼってもトップに位置する。
いわゆる「飛ばないボール」が使用された2012年に吉川光夫(日本ハム/現西武)が「.179」という数字を残したが、使用球が現在のボールになった2013年以降に限れば、シーズンの被打率が「.190」を切ったのは、「.180」だった2015年の大谷翔平(日本ハム/現米エンゼルス)、「.184」だった2017年の菊池雄星(西武/現米マリナーズ)、「.185」だった昨季の山本由伸(オリックス)のみ。後半戦次第ではあるが、このまま宮城が3人をしのぐ可能性も十分に考えられる。
投手に求められるあらゆる要素を高い次元で実現
2015年の大谷、2017年の菊池の活躍は鮮烈だった。2015年の大谷の成績は、22試合(5完投3完封)、15勝5敗、勝率.750、防御率2.24で、最多勝利、最優秀防御率、最高勝率の3冠を獲得。2017年の菊池は、26試合(6完投4完封)、16勝6敗、勝率.727、防御率1.97で、最多勝利、最優秀防御率の2冠に輝いた。また、昨季の山本も最多奪三振のタイトルを獲得した他、リーグ2位の防御率2.20を残している。
現在、宮城の防御率は「2.10」。完投・完封こそないが、3人にまったく引けを取らない数字である他、9勝1敗と大きく勝ち越し、「.900」という驚異的な勝率も誇る。また、1投球回あたりに許した走者の数であるWHIPは「0.88」。「0.92」でセ・リーグトップの柳と、「0.95」でパ・リーグ2位の山本をしのぎ、これまた12球団トップである。
つまり、「走者を出さない」「打たれない」「点をやらない」「負けない」という、投手に求められる多くの要素をハイレベルの次元で実現しているのが宮城という投手なのだ。
オールスターゲームのファン投票中間発表の際には、「間違いです。いてはいけないところに入っちゃっている気がする」と発言するなど控えめな性格で知られる19歳だが、投手としてのレベルは大谷や菊池になんら遜色なく、すでにメジャークラスと言っても過言ではない数字を残している。
※数字は前半戦終了時点
文=清家茂樹(せいけ・しげき)