コラム 2021.09.02. 07:07

出遅れを取り戻す“価値ある星”を…苦しむ虎に髙橋遥人が帰ってくる!

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虎の救世主候補


 今季初の4連敗を喫した8月31日・中日ドラゴンズ戦の数時間前…。

 二軍の鳴尾浜球場で、救世主がようやく“出陣”の準備を完了させた。




 ウエスタン・リーグ広島戦、先発マウンドに上がっていたのは髙橋遥人。

 6回途中まで1安打・無失点と格の違いを見せつけ、チームの同リーグ新記録となる14連勝に導く好投。

 二軍の快挙だけでなく、失速気味の一軍にとっても朗報になった。



無念のキャンプリタイアを経て…


 背番号29が一軍メンバーから離脱して、もう半年が経過した。

 沖縄・宜野座の春季キャンプ中に行われた2月16日の楽天戦に登板した際に右脇腹を負傷。キャンプ序盤から投球フォームの修正に苦心しており、「投球フォームが合わなかったのがずっと蓄積していたのかもしれない。思ったボールを投げられない部分があった。いろんなことで頑張ってたのが脇腹に来た感じ」と、無念の表情で帰阪の途に就いた。


 周囲の想像以上に復帰はズレ込んだ。

 リハビリに長い期間を要し、上肢のコンディション不良もあって7月下旬にようやく5カ月ぶりの実戦復帰を果たしていた。

 一方でチームは、“ハルトの穴”を感じさせない快進撃で開幕から白星を量産。筆者の知る限り、少し弱気な部分がある左腕だけに、チームの首位快走に“僕がいなくても…”と落胆していたことは想像できる。

 ましてや、1年目から周囲がうらやむポテンシャルを持ちながら故障に泣かされるキャリアを歩んできており、春先での離脱のショックは相当大きかったはずだ。


左腕が語った課題と収穫


 それでも、カレンダーは容赦なく翌月、また翌月へとページがめくられていき、試合数も減っていく。それは、髙橋に残されたチャンスの消失も意味している。

 だからこそ、もう後退はしたくない。順調にリハビリ登板を重ね、この日は6度目のマウンド。

 本人は「(課題は)まっすぐの質と、あとはランナーを背負ってからのピッチング」と不満げだったものの、チームメートが「えげつない」と吐露する直球の威力は確実に戻りつつある。

 走者を背負っての投球の質や、追い込んでから打者の見逃しが少なかったことを課題に挙げたことも、より緻密な投球が求められる一軍を意識してのことだろう。

 一方で、「6回まで球速が落ちなかったのは収穫」という確かな手応えもつかんでいる。

 快投を伝え聞いた矢野燿大監督は、「こっち(一軍)に来られる準備が整ったということ。(ローテーションの)どこに入れるかはまた考えます」と、近日中の昇格を明言。

 巨人・ヤクルトと三つ巴の争いとなっている優勝争いで、大きな戦力となることは間違いない。


 思い出されるのは、昨年10月5日の快投。自己最多の14三振を奪い、1失点完投した巨人戦だ。

 昨年だけで3勝(3敗)を挙げ、防御率2.02と相性の良さを示した宿敵との伝統の一戦に、重点的に投入される可能性も考えられる。

 残り試合数を考えても、髙橋の登板機会は数えるほどだろう。それでも、一戦の重み、緊張感は本人がこれまでに経験したことのないものになる。

 今秋、手にする1勝は、春の出遅れを取り戻すには十分すぎる価値がある。


文=チャリコ遠藤(スポーツニッポン・タイガース担当)



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