OPSもオースティン、鈴木誠也らに次ぐリーグ5位相当
広島期待の若鯉・坂倉将吾が絶好調だ。9月5日の対ヤクルト戦、チームは2回に主砲・鈴木誠也の3戦連続となる22号ソロ本塁打で先制。続く5番・坂倉が二塁打を放って菊池涼介の適時二塁打を呼び込んだことで、1点に終わらず畳みかける攻撃となった。
これで坂倉はスタメン出場を果たした14試合連続で安打を記録。この間には6試合連続打点もマークしている。また、この日の2打数2安打によって打率は「.330」にまで上昇。規定打席にはあと「1」足りないが、いきなり首位打者争いトップに躍り出る可能性も出てきた。
もちろん、坂倉には巧打だけではなく長打力もある。そのため長打率も高く、得点との相関関係が非常に強いといわれる打撃指標・OPS(出塁率+長打率)は「.905」。これは、オースティン(DeNA/1.039)、鈴木(.991)、村上宗隆(ヤクルト/.987)、岡本和真(巨人/.951)というそうそうたるメンバーに次ぐリーグ5位に相当する数字だ。
坂倉の5番定着によってチームが復調
今季開幕直後は主に5番、あるいは6番・捕手として起用されていた坂倉だが、6月下旬頃から完全に5番に定着した。高い打撃力を誇る坂倉を首脳陣が使いたくなるのは当然であり、會澤翼らが捕手に起用されるときには一塁での出場も増えている。もちろん対戦相手の警戒もどんどん強まっており、この日のヤクルト戦の7回には、一塁走者が二盗した時点で即座に申告敬遠をされた。
広島の課題のひとつというと、やはり鈴木のあとの打者だろう。そこに若い坂倉が完全にハマった。今季は交流戦で最下位に終わるなどシーズン序盤に負けが込んだ広島だが、7月以降に限ると17勝14敗1分と勝ち越している。チームの復調と5番・坂倉が結果を残し続けていることは無関係ではないはずだ。
もちろん本来のポジションは捕手のため、若い坂倉にはまだまだ課題もあるだろう。それでも、2年連続でBクラスに甘んじている広島にとって坂倉の成長は大きな希望であることは間違いない。今季の広島は、栗林良吏など投手陣の他、野手でも小園海斗や林晃汰ら将来が楽しみな若手の活躍が目立っている。そのなかでも、坂倉は今後のチームの中心を担う選手になっていきそうだ。
※数字は9月5日終了時点
文=清家茂樹(せいけ・しげき)