今年は例年よりやや早い10月11日に行われるプロ野球ドラフト会議。そこで今回は、今年のドラフト会議で誰が一番人気を集めそうなのか、1位指名で誰が名前を呼ばれそうなのかを探るべく、日本で一番ドラフト候補選手を見てきたであろう、おなじみ西尾典文さんと、ライターの菊池高弘さんに、8月末時点での「2021年プロ野球ドラフト番付」を作っていただきました。果たして、夏時点の横綱は誰だったか!?
——それではさっそく東の横綱から決めていきたいと思います。まずはお二人から候補選手を挙げていただけますでしょうか?
西尾 迷うんですけども、誰か1人と言われたら小園投手(市和歌山)ですね。
大学、社会人もいい投手がいますけど一番ピッチャーらしくて失敗しなさそうといいますか。高校生なんですけど完成度も非常に高いですし体のサイズもありますのでスピードもまだ速くなりそうな気もしています。
わりと早く先発ローテーションで投げてもおかしくないと思いますし、大学、社会人のピッチャーよりも早くでてきてもおかしくないと思います。そういうところの評価で東の横綱は小園かなと。
——菊地さんは小園投手の評価はいかがですか?
菊地 小園投手に文句はないんですけども、東の横綱は風間投手(ノースアジア大明桜)と言いたいような……。でもやっぱり、うーん……。個人的な好みでいうと森木投手(高知)になんですけど。
西尾 (今年のBIG3は)風間、小園、森木だと思いますね。
菊地 小園投手に関しては西尾さんがおっしゃったことに異論はないんですけども、ただ難癖をつけるわけではないのですが、気になる点があるとするとストレートの強さとボリューム感。秋、春と見て「ドラフトの目玉」と考えたときに少し物足りなさを感じることがあるにはあります。
ただ、あくまでも18歳の段階での話ですから、プロに入って本格的に力強さが出てきたら手がつけられないピッチャーになると思いますけど。その辺が気にはなりますけど、でも小園投手が東の横綱というのが一番間違いがないのかなと思います。
——森木投手についてはいかがですか?
菊地 個人的な話をさせていただくと、私は森木投手の高知中学時代に(雑誌の企画で)対戦させていただいたことがありまして、私と対戦する時点でMAXが146km/hというですね(笑)。
西尾 おかしいですよね(笑)。
菊地 そんな投手が私と対戦したときのラストボールがMAXを更新する148km/hを出したという。ちなみに最後のそのボールを空振りして三振しましたけども。
(そんな中学時代からすれば)正直、高校で伸び悩んだかなという感じがしていましたが、今年見た夏の大会では想像以上に良くなっていました。特に真っ直ぐのボールの質ですね。決勝戦は疲れでシュート回転したり抑えにいって引っかけてしまったりボールが暴れていたんですけど、準決勝ではボールの質がすごく良かったんです。
変化球が器用に扱えるという総合力で考えると、体格もいいですしドラフト1位に相応しいピッチャーに成長してくれたなと思いました。推したいピッチャーですね。
西尾 7月頭に大阪桐蔭との練習試合を見ることができたのですが、菊地さんのおっしゃるように良くなっていましたね。
中学時代に150km/h投げて、その後高校では甲子園に出れていなくて「どうなんだ?」という声がどうしてもあると思うんですけど、成長していることは間違いないです。
1年春の四国大会の映像と見比べても全然よくなっていますね。中学時代から元々変化球もいいと言われていましたし、変化球もちゃんと投げられる「ただ速いだけ」のピッチャーじゃない、絶対1位だろうなというピッチャーですよね。
強いて言うならば「なんで甲子園に出れなかったのかな?」という、ただただそれだけです(笑)。そこはもう明徳義塾が強いという話だと思うんですけども。
——小園と森木、どっちが凄いというよりはもう好みの問題になってきそうですが、今年は高校生投手が東西の横綱になるのは間違いないということですね。
西尾 ここにもう1人誰かいたら「おれは風間だ!」って絶対言ってると思いますね(笑)。
——それくらい難しいですよね。東の横綱と西の横綱、どうしましょうか?
菊地 東の横綱が小園、西の横綱が森木で収まりがいいと思います。
——それでは東西の横綱、今年の夏が終わった時点での最上位評価の二人が決まりました。
【東】横綱:小園健太(市立和歌山・投手)
【西】横綱:森木大地(高知・投手)
——続いて大関にいきましょう。
西尾 普通にいけば東の大関は風間なんですけどね。
菊地 私も風間でいいと思います。
——それでは東の大関は風間投手すんなり決定ですね。この夏のピッチングも含めて、西尾さんいかがでしょうか?
西尾 ストレートがとにかく凄い。毎回150km/hは出ますし地方大会では157km/h出たんですけども、単純なその数字よりも勢いもありますし角度も凄い。
甲子園の初戦は雨の影響もあってあまり良くなかったんですけど、明徳義塾戦では1点とられた後に4番打者を迎えて完全にギアを上げた場面がありました。150km/h以上を3球くらい続けて、最後はプロでも打てないんじゃないかなというくらいの内角のストレートで三振でした。
でも細かいコントロールや投球術、変化球も悪くはないんですが、小園、森木に比べるとバリエーションも含めてそこまですごくはないかなという感じがします。ストレートに関しては今年の大学、社会人を含めたピッチャーの中でも一番かなと思いますが。
菊地 馬力、エンジンが高校生離れしているというのが大きいのと思います。
でも個人的に気になるのは変化球の奥行きのなさというか、腕の振りが緩んだり肘が下がったりとか、「あ、これスライダーだな」って投げる瞬間にわかるところが気になりました。なので、ひょっとしたらプロだったら抑えかなと思うんですよね。
というのも変化球の中ではフォークが良かったというか、しっかり落ちた時は素晴らしかったので、プロでは真っ直ぐとフォークでかつての「大魔神・佐々木」のような感じで使われるイメージもありますね。スター性、魅力があるのは間違いないです。
西尾 好きなスカウトは大好きなピッチャーだと思いますね。風間の話をするスカウトも本当に多かったですからね。
——西の大関はいかがでしょうか?
西尾 僕は廣畑投手(三菱自動車倉敷オーシャンズ)ですね。
社会人ですし一番安心感がありますよね。去年の都市対抗も素晴らしかったですし、今年のスポニチ大会も抑えで短いイニングでしたけどしっかり抑えました。日本選手権は負けましたけど雨の中で投げづらい中でも流石の投球でした。「社会人ナンバー1」という評価がピッタリ当てはまると思います。
大学生に比べて2歳年齢を重ねている点をプロがどう評価するのか? この後の伸びしろ的な部分では割り引かれるかもしれませんけど、それでも一番安心して見てられるピッチャーだと思います。
菊地 個人的には大好きなピッチャーですし「即戦力」と純粋に言えるのは廣畑投手くらいなんじゃないかなと思う今年のドラフトなんですが、僕は敢えて西日本工大の隅田投手が対抗できるかなと思っています。
今年の大学選手権ですごく株を上げた左投手なのですが、わかりやすく言うとDeNAの今永投手のイメージですね。真っ直ぐのキレもいいですし変化球を含めて総合的にバッターを抑えられるピッチャーです。
廣畑投手と隅田投手どっちが上かと言われてもタイプが違いますし、難しいところですね。もしくは天理の達投手がここに入ってくるかもしれません。
西尾 センバツが終わったときは「高校BIG4」という感じでしたよね。
菊地 潜在能力で考えたら、ひょっとしたら達投手が一番かもしれないですよね。底が見えていないというか、計算が立たないというか、とんでもなくすごくなる可能性もあるし、出てこない可能性もあるという。
リスクはありますけどその分ロマンも大きいタイプのピッチャーですので、(西の大関には)この3人の誰かが入るかなと思います。
西尾 達投手は3月27日生まれで2年生に近いんですよね。それもちょっと(伸びしろ的に)魅力だと思います。
隅田投手は速いだけじゃなくて変化球もいいですし、いいときは左で150km/hくらい出てそれをコントロールできることを大学選手権でも証明しました。今年の大学生の中で一番評価を上げたのが隅田投手ですよね。
——3人の中で誰にしましょうか?
西尾 何度も見てきたのと、一番伸びてきた点を加味すると隅田投手でいい感じがしますね。
——それでは横綱、大関の最後の一枠は西日本工大の隅田投手に決定ですね。
【東】大関:風間球打(ノースアジア大明桜・投手)
【西】大関:隅田知一郎(西日本工大・投手)
——続いて関脇です。先ほど大関のところで漏れた2人がすんなり入りますか?
菊地 計算が立ちやすいという部分で廣畑投手が東、達投手が西ですかね。
西尾 そうですね。
【東】関脇:廣畑敦也(三菱自動車倉敷オーシャンズ・投手)
【西】関脇:達孝太(天理・投手)
——続いて小結です。
西尾 ここで佐藤投手(筑波大学)ですね。
本当はNo.1(横綱)になるかなという感じだったんです、春の開幕も良くて。でもそのあとに調子を落としてしまったんですよね、最後に(調子が)戻ってきましたけど。秋のリーグ戦でまた良ければ評価も上がってくるかもしれないですけど、そのあたりにちょっと不安を感じました。
でもフォームもいいですし見栄えも良くて、いいときは150km/hくらい投げるので左では隅田投手と双璧だと思います。去年の目玉だった早川投手(楽天)的な左腕ですよね。
菊地 筑波大学というスポーツ科学に基づいた、根拠に則った環境で大事に育てられているというのも魅力の一つだと思います。
大卒ピッチャーでありながらもまだまだ未完成な、25歳くらいでピークがくるんじゃないかなというイメージが沸くピッチャーですよね。
インコースに投げられるコントロールを持っているので今後体が本格的にできてボールが一段、二段強くなったらプロのバットをボキボキと折るような、そういうピッチャーになる可能性があると思います。
西尾 高校も公立(仙台高校)で大学も国立ですから、ゴリゴリの野球漬けの学校ではない環境でやってきたんですよね。
菊地 他人の家のご飯が食べられないという理由で、(寮のある私立ではなく)地元の公立高校に通っていたそうです。筑波大に入って克服したそうですが。ちなみに千葉学芸の有薗選手も同じ理由で地元に残ったそうです。
——そんなエピソードもあるんですね(笑)。菊地さんは誰を選びますか?
菊地 東は今名前の出た佐藤投手で西は鈴木投手(創価大)ですね。
同じ左ピッチャーですけど全然タイプが違うというか、鈴木投手は体はそんなに大きくないんですけどボールが強くてストレートで押し込めるピッチャーです。
去年の秋くらいから出てきて。春の開幕戦を見に行きましたがストレートは去年の秋の方が良かったかなと思いましたけど、でも変化球が使えるようになっていましたね。ただ春のリーグ戦で殆ど試合ができなかったんですよね。大学でコロナが発生して出場辞退してしまったので。
ですので、秋のリーグ戦の活躍次第でひょっとしたら評価が一気に高まる可能性もあるかなと思っています。創価大からプロに行った左と言ったらいま中日でスカウトをやられている八木智哉さん(元日本ハムなど)ですけども、タイプは多少違いますけど「鈴木の方が素材は上」という見方をされる人もいるくらいですから。
西尾 八木さんの現役の時も見ていますけど、ストレートの強さは鈴木投手の方があると思います。去年の秋は衝撃的でしたね「こんなに凄いのか!」と。
——では小結はこの2人に決定ですね。
【東】小結:佐藤隼輔(筑波大・投手)
【西】小結:鈴木勇斗(創価大・投手)
——残すは前頭筆頭と二枚目ですね。これで1位指名と同じ12人ということになります。
西尾 前頭筆頭の1人は、僕は椋木投手(東北福祉大)ですね。
大学選手権ではちょっと調子を落としていて短いイニングしか投げなかったんですけど、それでも154km/h投げましたし、右の大学生ピッチャーの中ではストレートの質がちょっと違うなという気がしています。
ややスリークォーター気味なんですが球持ちも長くてホップしてくるようなストレートを投げるピッチャーなんです。でも春のリーグ戦の最後で「なんで打たれちゃったのかな?」という、悪い感じはしなかったんですがちょっとそこが気になりました。でも秋にまたちゃんと投げれば評価はもっと上がる気がしますし、右の本格派なのにコントロールがいいんです。
記録を見ても四死球が少ないですし。リリーフだったら上手くハマって早く出てくる気がしますが、故障歴があるのをプロ側がどう見るかですよね。
菊地 僕はここで野手なんですが、中央大のキャッチャー古賀選手ですね。
西尾 あぁ!いいですよね!
菊地 正直1位になるかは分からないです、プロ側のチーム事情によりますので。「キャッチャーが欲しい!」というチームは1位もあるかもしれないですけど、ひょっとしたら2位になるかもしれない。
ただ番付ということで、いい選手を上から順に名前を挙げていこうとなると、小結あたりに古賀選手がいても不思議じゃないのかなと。ディフェンス型のキャッチャーですけどこの春のリーグ戦はバッティングもすごく成長しています。スローイングも安定していて、高校の途中までショートをやっていたのでフットワークもいいですし肩も素晴らしい。
長い目で見てプロの正捕手になってもおかしくないと思います。もっと評価が上がってもいいのかなという気もしますし。
西尾 僕も野手で一番はじめに名前を挙げるとしたら古賀選手かなと思っています。
去年まではディフェンス型だなと思って見ていましたけど、今年は「こんなに打てるんだ!」という感じですごくバッティングが良くなっています。
大学生のキャッチャーが1位となるとあまりいなくて、08年の大野奨太選手(東洋大→日本ハム)が最後なんですよね。それで大野選手と比べてどうかとなると古賀選手の方がむしろいいかなというくらいですし、大学から2位指名のキャッチャーが最近はけっこういるんですけど、その選手たちと比べても古賀選手の方がいいんじゃないかという気がします。
なので、キャッチャーが苦しいチームは1位でピッチャーを指名して外れたら古賀選手にいこうかとか、2位指名のはじめの方で指名しようとかは全然あるんじゃないですかね。「No.1キャッチャー」と言っていいと思います。
菊地 でも22歳前後の次世代の正捕手が欲しいというチームが実は今年はあまり見当たらないんですよね。「喉から手が出るほど古賀選手が欲しい!」というチームがひょっとしたら今年はないのかもしれない。純粋な能力で見れば古賀選手はそれくらい高いレベルにいるんですけどね。
西尾 そうなんですよね。
菊地 椋木投手は大学選手権を見たときに1球だけ印象的なボールがあって、右バッターのアウトローにキュルキュルー!ってすごい回転の、見ててエクスタシーを感じるような(笑)。あのボールがコンスタントにきたらすごい面白いですよね。
——それでは前頭筆頭が決まりました。
【東】前頭筆頭:椋木蓮(東北福祉大・投手)
【西】前頭筆頭:古賀悠斗(中央大・捕手)
——そして最後になります前頭二枚目です。
西尾 僕は阪口選手(岐阜第一)ですね。ひょっとしたら低い順位になる可能性も全然あると思うんですけど、最大値を評価したいとなると阪口選手はちょっと外したくないですね。
やっぱり去年夏の岐阜大会で2発打ったのがあまりにも衝撃的だったので。あの後は公式戦ではさっぱりという状態が続いたんですけど、やっぱりモノが違うというか。他の有薗選手とか吉野選手(昌平)、正木選手(慶応大)も長距離タイプなんですけど、0か100かで100になったときのスケールのが一番大きいのが阪口選手だと思うので僕は12人には入れたいですね。
一巡目の入札で阪口選手に行くのは勇気がいるとは思いますけど。
菊地 公式戦で結果を残せば間違いなく1位だという位置づけにいて、春、夏って結果が出なかったんですよね。でも構えたシルエットは大谷翔平選手ですよね。
西尾 ピッチャーもやっていたというのがちょっと可哀想でしたね。絶対的エースでしたから。ピッチャーとしても評価する声もありますがモノになったときのスケールは絶対に野手です。
菊地 僕は千葉学芸の有薗選手です。
右の強打者というのがNPB全体で見ても枯渇していて需要が高いという状況で「じゃあ今年の右打者では誰だ?」 となると、有薗、吉野、正木、松川(市和歌山)といる中で総合的に見たら僕は有薗選手を買いたいなと思います。
高校通算70本打っているんですけど、彼のいいところというのはまず体が強いこと。そして意外とゴロもさばけて守備が上手い。プロでサードができる。遠投で120メートル投げれてピッチャーで148km/h出すくらい肩もいい。フィジカル、技術に加えて、怪我をしても試合に出たいというハートもある。そういう点を踏まえると僕は有薗選手を買いたいなと思います。
西尾 去年花咲徳栄から井上選手が外れ1位でソフトバンクに行きましたけど、有薗選手と比べてどうかとなると全然ひけをとらないですし、サードだということを考えればむしろ有薗選手の方が上だと思うんですよね。だったら全然12人に入ってきますよね。体は高校生じゃないですよね。
——それでは前頭2枚目は高校生野手2人に決まりということで、これで番付が完成しましたね。
<東>
【横 綱】 小園健太(市立和歌山・投手)
【大 関】 風間球打(ノースアジア大明桜・投手)
【関 脇】 廣畑敦也(三菱自動車倉敷オーシャンズ・投手)
【小 結】 佐藤隼輔(筑波大・投手)
【前頭筆頭】 椋木蓮(東北福祉大・投手)
【前頭二枚目】 阪口樂(岐阜第一・内野)
<西>
【横 綱】 森木大地(投手/高知)
【大 関】 隅田知一郎(投手/西日本工大)
【関 脇】 達 孝太(投手/天理)
【小 結】 鈴木勇斗(投手/創価大)
【前頭筆頭】 古賀悠斗(捕手/中央大)
【前頭二枚目】 有薗直輝(内野手/千葉学芸)
——番付に名前のない選手で気になる選手はいますか?
西尾 今年伸びたなという中ではセガサミーの横山投手ですね。
今年の日本選手権予選で凄いボールを投げていて、1位には入ってこないかもしれませんが、宮崎学園、国学院大の頃からずっと見てきて24歳にしてやっと凄い投手になってきたという気がするので。
あとは京都産業大の北山投手ですね。こちらも1位の12人は難しいと思いますけどこの春が良かったんです。この2人は戦力になりそうなのでどこかが獲ったら面白かなと思います。
菊地 気になるのは法政大の山下投手ですね。モノの良さでいったら番付上位12人に入っても全然おかしくありません。
この春のリーグ戦でもう少しアピールしてくれたらなという部分と、こちらも最近大学でコロナのクラスターが発生しているので、秋のリーグ戦に向けて調整が難しそうという点も考慮すると(今の時点では番付上位から)落とさざるを得ませんでした。
ただ馬力があってコントロールも良くていい変化球も持っているのでモノは素晴らしいです。左も右も苦にせず抑えられる大型左腕というちょっと珍しいピッチャーですし、ひょっとしたら彼がドラフトをかき回す存在になるかもしれないと見ています。
西尾 慶応大の正木選手も春に打ってMVPを獲りましたが、ただ(ポジションが)ファーストですし、レフトも守りましたけど守備で目立たないという点と、どうしてもちょっとドアスイングに見えるんですよね。
ただ当たったときは飛ばすので、佐藤輝明選手(阪神)、牧選手(DeNA)と大卒ルーキーが活躍している効果で、「飛ばす選手」ということで上位で指名される可能性もあるかもしれません。
——というわけでドラフト候補番付、横綱から前頭二枚目まで12選手の名前を挙げていただきましたけども、8月27日時点の番付です。
菊地 これから1カ月ちょっとでガラッと変わる可能性もありますからね。
西尾 急に大学生出てきたぞみたいなのもありますからね。
東西の横綱2人は高校生投手に!
——それではさっそく東の横綱から決めていきたいと思います。まずはお二人から候補選手を挙げていただけますでしょうか?
西尾 迷うんですけども、誰か1人と言われたら小園投手(市和歌山)ですね。
大学、社会人もいい投手がいますけど一番ピッチャーらしくて失敗しなさそうといいますか。高校生なんですけど完成度も非常に高いですし体のサイズもありますのでスピードもまだ速くなりそうな気もしています。
わりと早く先発ローテーションで投げてもおかしくないと思いますし、大学、社会人のピッチャーよりも早くでてきてもおかしくないと思います。そういうところの評価で東の横綱は小園かなと。
——菊地さんは小園投手の評価はいかがですか?
菊地 小園投手に文句はないんですけども、東の横綱は風間投手(ノースアジア大明桜)と言いたいような……。でもやっぱり、うーん……。個人的な好みでいうと森木投手(高知)になんですけど。
西尾 (今年のBIG3は)風間、小園、森木だと思いますね。
菊地 小園投手に関しては西尾さんがおっしゃったことに異論はないんですけども、ただ難癖をつけるわけではないのですが、気になる点があるとするとストレートの強さとボリューム感。秋、春と見て「ドラフトの目玉」と考えたときに少し物足りなさを感じることがあるにはあります。
ただ、あくまでも18歳の段階での話ですから、プロに入って本格的に力強さが出てきたら手がつけられないピッチャーになると思いますけど。その辺が気にはなりますけど、でも小園投手が東の横綱というのが一番間違いがないのかなと思います。
——森木投手についてはいかがですか?
菊地 個人的な話をさせていただくと、私は森木投手の高知中学時代に(雑誌の企画で)対戦させていただいたことがありまして、私と対戦する時点でMAXが146km/hというですね(笑)。
西尾 おかしいですよね(笑)。
菊地 そんな投手が私と対戦したときのラストボールがMAXを更新する148km/hを出したという。ちなみに最後のそのボールを空振りして三振しましたけども。
(そんな中学時代からすれば)正直、高校で伸び悩んだかなという感じがしていましたが、今年見た夏の大会では想像以上に良くなっていました。特に真っ直ぐのボールの質ですね。決勝戦は疲れでシュート回転したり抑えにいって引っかけてしまったりボールが暴れていたんですけど、準決勝ではボールの質がすごく良かったんです。
変化球が器用に扱えるという総合力で考えると、体格もいいですしドラフト1位に相応しいピッチャーに成長してくれたなと思いました。推したいピッチャーですね。
西尾 7月頭に大阪桐蔭との練習試合を見ることができたのですが、菊地さんのおっしゃるように良くなっていましたね。
中学時代に150km/h投げて、その後高校では甲子園に出れていなくて「どうなんだ?」という声がどうしてもあると思うんですけど、成長していることは間違いないです。
1年春の四国大会の映像と見比べても全然よくなっていますね。中学時代から元々変化球もいいと言われていましたし、変化球もちゃんと投げられる「ただ速いだけ」のピッチャーじゃない、絶対1位だろうなというピッチャーですよね。
強いて言うならば「なんで甲子園に出れなかったのかな?」という、ただただそれだけです(笑)。そこはもう明徳義塾が強いという話だと思うんですけども。
——小園と森木、どっちが凄いというよりはもう好みの問題になってきそうですが、今年は高校生投手が東西の横綱になるのは間違いないということですね。
西尾 ここにもう1人誰かいたら「おれは風間だ!」って絶対言ってると思いますね(笑)。
——それくらい難しいですよね。東の横綱と西の横綱、どうしましょうか?
菊地 東の横綱が小園、西の横綱が森木で収まりがいいと思います。
——それでは東西の横綱、今年の夏が終わった時点での最上位評価の二人が決まりました。
【東】横綱:小園健太(市立和歌山・投手)
【西】横綱:森木大地(高知・投手)
大関は157キロ高校生右腕と大学生左腕
——続いて大関にいきましょう。
西尾 普通にいけば東の大関は風間なんですけどね。
菊地 私も風間でいいと思います。
——それでは東の大関は風間投手すんなり決定ですね。この夏のピッチングも含めて、西尾さんいかがでしょうか?
西尾 ストレートがとにかく凄い。毎回150km/hは出ますし地方大会では157km/h出たんですけども、単純なその数字よりも勢いもありますし角度も凄い。
甲子園の初戦は雨の影響もあってあまり良くなかったんですけど、明徳義塾戦では1点とられた後に4番打者を迎えて完全にギアを上げた場面がありました。150km/h以上を3球くらい続けて、最後はプロでも打てないんじゃないかなというくらいの内角のストレートで三振でした。
でも細かいコントロールや投球術、変化球も悪くはないんですが、小園、森木に比べるとバリエーションも含めてそこまですごくはないかなという感じがします。ストレートに関しては今年の大学、社会人を含めたピッチャーの中でも一番かなと思いますが。
菊地 馬力、エンジンが高校生離れしているというのが大きいのと思います。
でも個人的に気になるのは変化球の奥行きのなさというか、腕の振りが緩んだり肘が下がったりとか、「あ、これスライダーだな」って投げる瞬間にわかるところが気になりました。なので、ひょっとしたらプロだったら抑えかなと思うんですよね。
というのも変化球の中ではフォークが良かったというか、しっかり落ちた時は素晴らしかったので、プロでは真っ直ぐとフォークでかつての「大魔神・佐々木」のような感じで使われるイメージもありますね。スター性、魅力があるのは間違いないです。
西尾 好きなスカウトは大好きなピッチャーだと思いますね。風間の話をするスカウトも本当に多かったですからね。
——西の大関はいかがでしょうか?
西尾 僕は廣畑投手(三菱自動車倉敷オーシャンズ)ですね。
社会人ですし一番安心感がありますよね。去年の都市対抗も素晴らしかったですし、今年のスポニチ大会も抑えで短いイニングでしたけどしっかり抑えました。日本選手権は負けましたけど雨の中で投げづらい中でも流石の投球でした。「社会人ナンバー1」という評価がピッタリ当てはまると思います。
大学生に比べて2歳年齢を重ねている点をプロがどう評価するのか? この後の伸びしろ的な部分では割り引かれるかもしれませんけど、それでも一番安心して見てられるピッチャーだと思います。
菊地 個人的には大好きなピッチャーですし「即戦力」と純粋に言えるのは廣畑投手くらいなんじゃないかなと思う今年のドラフトなんですが、僕は敢えて西日本工大の隅田投手が対抗できるかなと思っています。
今年の大学選手権ですごく株を上げた左投手なのですが、わかりやすく言うとDeNAの今永投手のイメージですね。真っ直ぐのキレもいいですし変化球を含めて総合的にバッターを抑えられるピッチャーです。
廣畑投手と隅田投手どっちが上かと言われてもタイプが違いますし、難しいところですね。もしくは天理の達投手がここに入ってくるかもしれません。
西尾 センバツが終わったときは「高校BIG4」という感じでしたよね。
菊地 潜在能力で考えたら、ひょっとしたら達投手が一番かもしれないですよね。底が見えていないというか、計算が立たないというか、とんでもなくすごくなる可能性もあるし、出てこない可能性もあるという。
リスクはありますけどその分ロマンも大きいタイプのピッチャーですので、(西の大関には)この3人の誰かが入るかなと思います。
西尾 達投手は3月27日生まれで2年生に近いんですよね。それもちょっと(伸びしろ的に)魅力だと思います。
隅田投手は速いだけじゃなくて変化球もいいですし、いいときは左で150km/hくらい出てそれをコントロールできることを大学選手権でも証明しました。今年の大学生の中で一番評価を上げたのが隅田投手ですよね。
——3人の中で誰にしましょうか?
西尾 何度も見てきたのと、一番伸びてきた点を加味すると隅田投手でいい感じがしますね。
——それでは横綱、大関の最後の一枠は西日本工大の隅田投手に決定ですね。
【東】大関:風間球打(ノースアジア大明桜・投手)
【西】大関:隅田知一郎(西日本工大・投手)
——続いて関脇です。先ほど大関のところで漏れた2人がすんなり入りますか?
菊地 計算が立ちやすいという部分で廣畑投手が東、達投手が西ですかね。
西尾 そうですね。
【東】関脇:廣畑敦也(三菱自動車倉敷オーシャンズ・投手)
【西】関脇:達孝太(天理・投手)
秋に評価が上がるかもしれない大学生左腕二人
——続いて小結です。
西尾 ここで佐藤投手(筑波大学)ですね。
本当はNo.1(横綱)になるかなという感じだったんです、春の開幕も良くて。でもそのあとに調子を落としてしまったんですよね、最後に(調子が)戻ってきましたけど。秋のリーグ戦でまた良ければ評価も上がってくるかもしれないですけど、そのあたりにちょっと不安を感じました。
でもフォームもいいですし見栄えも良くて、いいときは150km/hくらい投げるので左では隅田投手と双璧だと思います。去年の目玉だった早川投手(楽天)的な左腕ですよね。
菊地 筑波大学というスポーツ科学に基づいた、根拠に則った環境で大事に育てられているというのも魅力の一つだと思います。
大卒ピッチャーでありながらもまだまだ未完成な、25歳くらいでピークがくるんじゃないかなというイメージが沸くピッチャーですよね。
インコースに投げられるコントロールを持っているので今後体が本格的にできてボールが一段、二段強くなったらプロのバットをボキボキと折るような、そういうピッチャーになる可能性があると思います。
西尾 高校も公立(仙台高校)で大学も国立ですから、ゴリゴリの野球漬けの学校ではない環境でやってきたんですよね。
菊地 他人の家のご飯が食べられないという理由で、(寮のある私立ではなく)地元の公立高校に通っていたそうです。筑波大に入って克服したそうですが。ちなみに千葉学芸の有薗選手も同じ理由で地元に残ったそうです。
——そんなエピソードもあるんですね(笑)。菊地さんは誰を選びますか?
菊地 東は今名前の出た佐藤投手で西は鈴木投手(創価大)ですね。
同じ左ピッチャーですけど全然タイプが違うというか、鈴木投手は体はそんなに大きくないんですけどボールが強くてストレートで押し込めるピッチャーです。
去年の秋くらいから出てきて。春の開幕戦を見に行きましたがストレートは去年の秋の方が良かったかなと思いましたけど、でも変化球が使えるようになっていましたね。ただ春のリーグ戦で殆ど試合ができなかったんですよね。大学でコロナが発生して出場辞退してしまったので。
ですので、秋のリーグ戦の活躍次第でひょっとしたら評価が一気に高まる可能性もあるかなと思っています。創価大からプロに行った左と言ったらいま中日でスカウトをやられている八木智哉さん(元日本ハムなど)ですけども、タイプは多少違いますけど「鈴木の方が素材は上」という見方をされる人もいるくらいですから。
西尾 八木さんの現役の時も見ていますけど、ストレートの強さは鈴木投手の方があると思います。去年の秋は衝撃的でしたね「こんなに凄いのか!」と。
——では小結はこの2人に決定ですね。
【東】小結:佐藤隼輔(筑波大・投手)
【西】小結:鈴木勇斗(創価大・投手)
野手最上位はあのキャッチャー
——残すは前頭筆頭と二枚目ですね。これで1位指名と同じ12人ということになります。
西尾 前頭筆頭の1人は、僕は椋木投手(東北福祉大)ですね。
大学選手権ではちょっと調子を落としていて短いイニングしか投げなかったんですけど、それでも154km/h投げましたし、右の大学生ピッチャーの中ではストレートの質がちょっと違うなという気がしています。
ややスリークォーター気味なんですが球持ちも長くてホップしてくるようなストレートを投げるピッチャーなんです。でも春のリーグ戦の最後で「なんで打たれちゃったのかな?」という、悪い感じはしなかったんですがちょっとそこが気になりました。でも秋にまたちゃんと投げれば評価はもっと上がる気がしますし、右の本格派なのにコントロールがいいんです。
記録を見ても四死球が少ないですし。リリーフだったら上手くハマって早く出てくる気がしますが、故障歴があるのをプロ側がどう見るかですよね。
菊地 僕はここで野手なんですが、中央大のキャッチャー古賀選手ですね。
西尾 あぁ!いいですよね!
菊地 正直1位になるかは分からないです、プロ側のチーム事情によりますので。「キャッチャーが欲しい!」というチームは1位もあるかもしれないですけど、ひょっとしたら2位になるかもしれない。
ただ番付ということで、いい選手を上から順に名前を挙げていこうとなると、小結あたりに古賀選手がいても不思議じゃないのかなと。ディフェンス型のキャッチャーですけどこの春のリーグ戦はバッティングもすごく成長しています。スローイングも安定していて、高校の途中までショートをやっていたのでフットワークもいいですし肩も素晴らしい。
長い目で見てプロの正捕手になってもおかしくないと思います。もっと評価が上がってもいいのかなという気もしますし。
西尾 僕も野手で一番はじめに名前を挙げるとしたら古賀選手かなと思っています。
去年まではディフェンス型だなと思って見ていましたけど、今年は「こんなに打てるんだ!」という感じですごくバッティングが良くなっています。
大学生のキャッチャーが1位となるとあまりいなくて、08年の大野奨太選手(東洋大→日本ハム)が最後なんですよね。それで大野選手と比べてどうかとなると古賀選手の方がむしろいいかなというくらいですし、大学から2位指名のキャッチャーが最近はけっこういるんですけど、その選手たちと比べても古賀選手の方がいいんじゃないかという気がします。
なので、キャッチャーが苦しいチームは1位でピッチャーを指名して外れたら古賀選手にいこうかとか、2位指名のはじめの方で指名しようとかは全然あるんじゃないですかね。「No.1キャッチャー」と言っていいと思います。
菊地 でも22歳前後の次世代の正捕手が欲しいというチームが実は今年はあまり見当たらないんですよね。「喉から手が出るほど古賀選手が欲しい!」というチームがひょっとしたら今年はないのかもしれない。純粋な能力で見れば古賀選手はそれくらい高いレベルにいるんですけどね。
西尾 そうなんですよね。
菊地 椋木投手は大学選手権を見たときに1球だけ印象的なボールがあって、右バッターのアウトローにキュルキュルー!ってすごい回転の、見ててエクスタシーを感じるような(笑)。あのボールがコンスタントにきたらすごい面白いですよね。
——それでは前頭筆頭が決まりました。
【東】前頭筆頭:椋木蓮(東北福祉大・投手)
【西】前頭筆頭:古賀悠斗(中央大・捕手)
——そして最後になります前頭二枚目です。
西尾 僕は阪口選手(岐阜第一)ですね。ひょっとしたら低い順位になる可能性も全然あると思うんですけど、最大値を評価したいとなると阪口選手はちょっと外したくないですね。
やっぱり去年夏の岐阜大会で2発打ったのがあまりにも衝撃的だったので。あの後は公式戦ではさっぱりという状態が続いたんですけど、やっぱりモノが違うというか。他の有薗選手とか吉野選手(昌平)、正木選手(慶応大)も長距離タイプなんですけど、0か100かで100になったときのスケールのが一番大きいのが阪口選手だと思うので僕は12人には入れたいですね。
一巡目の入札で阪口選手に行くのは勇気がいるとは思いますけど。
菊地 公式戦で結果を残せば間違いなく1位だという位置づけにいて、春、夏って結果が出なかったんですよね。でも構えたシルエットは大谷翔平選手ですよね。
西尾 ピッチャーもやっていたというのがちょっと可哀想でしたね。絶対的エースでしたから。ピッチャーとしても評価する声もありますがモノになったときのスケールは絶対に野手です。
菊地 僕は千葉学芸の有薗選手です。
右の強打者というのがNPB全体で見ても枯渇していて需要が高いという状況で「じゃあ今年の右打者では誰だ?」 となると、有薗、吉野、正木、松川(市和歌山)といる中で総合的に見たら僕は有薗選手を買いたいなと思います。
高校通算70本打っているんですけど、彼のいいところというのはまず体が強いこと。そして意外とゴロもさばけて守備が上手い。プロでサードができる。遠投で120メートル投げれてピッチャーで148km/h出すくらい肩もいい。フィジカル、技術に加えて、怪我をしても試合に出たいというハートもある。そういう点を踏まえると僕は有薗選手を買いたいなと思います。
西尾 去年花咲徳栄から井上選手が外れ1位でソフトバンクに行きましたけど、有薗選手と比べてどうかとなると全然ひけをとらないですし、サードだということを考えればむしろ有薗選手の方が上だと思うんですよね。だったら全然12人に入ってきますよね。体は高校生じゃないですよね。
——それでは前頭2枚目は高校生野手2人に決まりということで、これで番付が完成しましたね。
<東>
【横 綱】 小園健太(市立和歌山・投手)
【大 関】 風間球打(ノースアジア大明桜・投手)
【関 脇】 廣畑敦也(三菱自動車倉敷オーシャンズ・投手)
【小 結】 佐藤隼輔(筑波大・投手)
【前頭筆頭】 椋木蓮(東北福祉大・投手)
【前頭二枚目】 阪口樂(岐阜第一・内野)
<西>
【横 綱】 森木大地(投手/高知)
【大 関】 隅田知一郎(投手/西日本工大)
【関 脇】 達 孝太(投手/天理)
【小 結】 鈴木勇斗(投手/創価大)
【前頭筆頭】 古賀悠斗(捕手/中央大)
【前頭二枚目】 有薗直輝(内野手/千葉学芸)
番付外の注目選手
——番付に名前のない選手で気になる選手はいますか?
西尾 今年伸びたなという中ではセガサミーの横山投手ですね。
今年の日本選手権予選で凄いボールを投げていて、1位には入ってこないかもしれませんが、宮崎学園、国学院大の頃からずっと見てきて24歳にしてやっと凄い投手になってきたという気がするので。
あとは京都産業大の北山投手ですね。こちらも1位の12人は難しいと思いますけどこの春が良かったんです。この2人は戦力になりそうなのでどこかが獲ったら面白かなと思います。
菊地 気になるのは法政大の山下投手ですね。モノの良さでいったら番付上位12人に入っても全然おかしくありません。
この春のリーグ戦でもう少しアピールしてくれたらなという部分と、こちらも最近大学でコロナのクラスターが発生しているので、秋のリーグ戦に向けて調整が難しそうという点も考慮すると(今の時点では番付上位から)落とさざるを得ませんでした。
ただ馬力があってコントロールも良くていい変化球も持っているのでモノは素晴らしいです。左も右も苦にせず抑えられる大型左腕というちょっと珍しいピッチャーですし、ひょっとしたら彼がドラフトをかき回す存在になるかもしれないと見ています。
西尾 慶応大の正木選手も春に打ってMVPを獲りましたが、ただ(ポジションが)ファーストですし、レフトも守りましたけど守備で目立たないという点と、どうしてもちょっとドアスイングに見えるんですよね。
ただ当たったときは飛ばすので、佐藤輝明選手(阪神)、牧選手(DeNA)と大卒ルーキーが活躍している効果で、「飛ばす選手」ということで上位で指名される可能性もあるかもしれません。
——というわけでドラフト候補番付、横綱から前頭二枚目まで12選手の名前を挙げていただきましたけども、8月27日時点の番付です。
菊地 これから1カ月ちょっとでガラッと変わる可能性もありますからね。
西尾 急に大学生出てきたぞみたいなのもありますからね。