地区最下位と苦しむツインズ
現地時間9月23日(日本時間24日)、ホワイトソックスとインディアンスがダブルヘッダーを戦い、第1戦にホワイトソックスが勝利。
この瞬間、ホワイトソックスの13年ぶり6度目となるア・リーグ中地区優勝が決定した。
対照的に、ア・リーグ中地区の最下位に沈んでいるのがツインズ。
前田健太が所属していることで日本の野球ファンからもお馴染みのチームであるが、地区3連覇を目指した今季は春先から絶不調。23日現在で68勝85敗と苦しいシーズンを送っている。
そんなツインズが今週、多くのファンから批判を浴びる事態に直面した…。
32歳のメジャーデビューのはずが…
事の発端は今月18日、傘下3Aのセントポール・セインツからドリュー・マッジという選手をメジャーに昇格させたことからはじまる。
内外野どこでもこなすユーティリティープレイヤーのマッジ。プロの一歩を踏みだしたのは2010年のこと。パイレーツからドラフト15巡目で指名を受けた。
それから11年、マイナーで1000試合以上に出場。打席数は4000以上に達し、ようやくメジャー昇格という夢をつかんだことになる。
5月に32歳を迎えた“苦労人”に対し、地元紙も「ついにメジャー昇格だ!マッジおめでとう」と祝福の言葉。昇格決定直後のインタビューでも、マッジはロッコ・バルデリ監督から直接「おめでとう、君はメジャーリーガーだ」という言葉を伝えられたことを明かしている。
それから、まずは両親に電話をかけて報告。父親とはいっしょに涙を流し、母親とは叫んで喜びを分かち合ったとのこと。こうして迎えた18日、トロントで行われたブルージェイズ戦でベンチ入り。ついにメジャーの舞台に立つ日が来た…と思われた。
ところが、その試合では出場機会に恵まれず。20日の試合でも監督から名前を呼ばれることなく試合を終えると、試合後に待っていたのは「マイナー降格」というニュース。
32歳のオールドルーキーはメジャーの空気を2試合味わうことはできたものの、代打はおろか代走、守備固めでも出場機会は与えられず…。この冷徹とも言える仕打ちに地元ファンからブーイングが起こったのは言うまでもない。
批判が“あの選手”に飛び火…?
「冗談だろ?一度も出場させないなんて…。あれだけ(メディアにも)取り上げられたのに?」
「プレーオフも争ってないシーズンで、彼には最後のチャンスだったかもしれないのに、あんまりだ」
「シモンズをクビにしてマッジを(メジャーに)戻せよ」
SNSでは、マッジのメジャーデビューを心待ちにしていたファンから球団に対し、容赦ない言葉が書き込まれた。
なかには、昨季までエンゼルスで大谷翔平とチームメートだった遊撃手のアンドレルトン・シモンズの名前を出したファンもいた。
シモンズはツインズに移籍した今季、開幕から打撃は低調。ブルージェイズとの3連戦は、米国永住権に関わる手続きの関係で現地カナダに入国できなかった。
そして、マイナーに降格したマッジに替わって昇格したのがシモンズだった。そういう事情もあって、怒り心頭のファンからシモンズがやり玉にあげられたというわけだ。
バルデリ監督は地元紙の取材に対し、「この2試合は出場させる場面がなかった。彼が最も失望していると思うが、私も同じ気持ちだよ。でも彼ならもう一度メジャーに這い上がってくるよ」と胸の内を明かしている。
3Aに降格後は2試合で8打数無安打と、ショックの色が隠しきれないマッジ。目の前にあったメジャーデビューをかなえる日は来るだろうか…。
文=八木遊(やぎ・ゆう)