神奈川大学リーグに「ギータ」が…?
9月もゴールが近づき、いよいよ迫ってきた“運命の一日”──。
今年は10月11日(月)に開催されるプロ野球のドラフト会議。この時期は日々更新される「プロ野球志望届」の提出者が話題を集めている。
高校野球の夏が終わり、9月は大学野球の季節。秋のリーグ戦が各地ではじまり、NPB球団のスカウト陣も最後のチェックに足を運んでいる。
特に今年はドラフト会議の開催日が例年と比べて早いため、そう多くないチャンスをモノにして評価を上げる選手がどれだけ出てくるのか。プロアマ野球研究所では、ドラフト会議当日までなるべく数多くの選手について紹介したい。
今回は、神奈川大学リーグで高い注目を集めている「大型外野手」を取り上げる。
▼ 梶原昂希(神奈川大)
・外野手
・188センチ/83キロ
・右投左打
・大分雄城台高
<各塁へのベスト到達タイム>
一塁到達:3.97秒
二塁到達:7.78秒
三塁到達:11.46秒
元阪神・安藤優也は高校の先輩
梶原の出身校は大分県立大分雄城台高校。かつて阪神で活躍した安藤優也の母校で、県内では度々上位に進出しているが、甲子園出場はない。これまでにNPB入りしたのも安藤だけである。
高校時代は県内で評判の選手だったものの、全国的な知名度が高かったわけではない。しかし、神奈川大に進学すると1年の春からレギュラーに定着。秋には打率4割をマークして首位打者を獲得するなど、一躍リーグを代表する選手へと成長を遂げた。
そんな梶原の実力を探るべく、秋のリーグ戦初戦となる松蔭大との試合に足を運んだ。
梶原は「3番・中堅」で出場。まずシートノックから動きの良さが目立ち、センターからホームへ低く速い見事な返球を披露した。
ドラフト候補の大学4年生にしては少し細く見えるが、190センチ近い長身を誇り、ダイナミックに動く姿はそれだけで迫力がある。
「ゾクッ」とさせるスイング
打撃と走塁でも、この日の梶原は持ち味を存分に発揮する。
第1打席でライト前への安打を放って出塁すると、すかさず盗塁を決め、後続のタイムリーでホームイン。第2打席は緩いボールにタイミングを外され、ボテボテのサードゴロとなったが、これも俊足を生かして内野安打にしてみせた。
さらに第3打席は空振り三振に倒れるも、第4打席はセンターオーバーの三塁打。第5打席でも左中間へ二塁打を放ち、4安打1打点・1盗塁の大活躍。チームの勝利に貢献しただけでなく、視察した6球団のスカウト陣にも強烈なインパクトを残した。
梶原のバッティングの良さは、とにかく思い切りよくバットが振れるという点にある。
リストの強さに頼ることなく、全身を使ってスイングすることができており、たとえ空振りでも相手バッテリーや見ているものを「ゾクッ」とさせるような迫力がある。
この日放った2本の長打も、完璧にタイミングがあったわけではなかったが、それでも外野の頭を越えられるというのは、ヘッドスピードとインパクトの強さがある証拠だろう。
また、シートノックの部分でも触れたが、大型選手でありながらも脚力は抜群。一塁到達タイムは「4.00秒」を切ればかなりの俊足とされるが、第2打席の内野安打でのそれは「3.97秒」という数字をマークした。フルスイングしたうえでのこのタイムは価値が高い。
加えて、終日雨が降ったり止んだりの天気でグラウンド状態も悪く、かなり走りづらいコンディションだったことを考えると、破格のスピードと言っても良いだろう。
スケールが大きい外野手を求める球団におすすめ
一方で課題となるのは確実性だ。
この日は4安打を放ったものの、翌日の試合では4打数無安打で3三振。前日とはうって変わって結果を残すことができなかった。
豪快にフルスイングすることは長所ではあるとはいえ、タイミングを合わせる動きに少し余裕がなく、特に緩急への対応に不安が残る。もう少しゆったりとボールを呼び込めるようになれるか…。これが、上のレベルで成功できるか否か、大きなポイントとなりそうだ。
それでも、これだけの大型でありながら、脚力と振る力を兼ね備えた選手は貴重。長所が上手く伸びていけば、柳田悠岐(ソフトバンク)のような選手に育つ可能性を秘めている。
プロでは少し時間はかかるかもしれないが、スケールの大きい外野手が必要な球団は、ぜひ指名してもらいたい選手である。
☆記事提供:プロアマ野球研究所