即戦力候補No.1は…
月が変わって10月。“運命の一日”までついに2週間を切った。
今年は10月11日(月)に開催されるプロ野球のドラフト会議。これまでもカテゴリー別にドラフト候補をまとめてきたが、今回は社会人球界の注目株を紹介したい。
社会人の投手で目玉と言えるのが、廣畑敦也(三菱自動車倉敷オーシャンズ)だろう。
昨年の都市対抗野球で鮮烈なインパクトを残した右腕は、ドラフト指名解禁となる今年もここまで順調にアピール中。3月に行われたシーズン開幕を告げるJABA東京スポニチ大会では、抑えを任されて4試合で1失点と奮闘。チームの優勝に貢献し、自身もMVPに輝いている。
7月に行われた日本選手権でも、初戦で敗れはしたものの、雨でコンディションが悪いなかでも安定した投球を披露。都市対抗の一次予選でも最速153キロを計測するなど、格の違いを見せている。“即戦力”という意味ではトップクラスの存在であり、1位指名が期待される注目の投手だ。
アピールに成功した3投手
夏場以降に強烈なアピールを見せているのが、山田龍聖(JR東日本)・森翔平(三菱重工West)・吉村貢司郎(東芝)の3人。
山田は都市対抗予選前のオープン戦でJFE東日本、Hondaといった社会人でも屈指の強力打線を誇るチームを相手に、いずれも先発で無失点と好投。力を入れた時のストレートは150キロ前後をマークし、チェンジアップのブレーキも申し分ない。
都市対抗予選の東京ガス戦では負け投手となったものの、7回を2失点と試合を作っている。高校卒3年目という若さも魅力で、2位以内で指名される可能性が高そうだ。
山田と同じサウスポーの森も、ここへ来て調子を上げてきた。
都市対抗予選では3試合に先発。第3代表決定戦のパナソニック戦では最速150キロのストレートで圧倒し、3安打・10奪三振完封でチームを都市対抗出場に導いている。
7月の日本選手権では、スピードはありながら空振りを奪えないというのが課題だったが、ここへ来て三振を多く奪えているのは大きなプラス材料。貴重な先発タイプの本格派サウスポーだけに、こちらも2位以内で消える可能性は十分にありそうだ。
右腕の吉村は、日本選手権まではスピードはありながらも不安定な投球が多かったが、9月27日に行われた都市対抗予選のENEOS戦では被安打4の10奪三振完封。これまでの不安を払しょくする快投を見せた。
ストレートは終盤の8回に自己最速を更新する153キロを計測。もともとコントロールは安定しているだけに、この日の投球で評価を上げた球団も多いはずだ。
リリーフタイプで注目は…?
リリーフタイプとしては、八木彬(三菱重工West)も有力候補だ。
たくましい体格から投げ込むストレートはコンスタントに150キロに迫り、数字以上の威力を感じる。
また、昨年指名が見送られた選手では、Honda鈴鹿の森田駿哉と松本竜也もまだまだ注目度は高い。
特に森田は、都市対抗予選の初戦となった日本製鉄東海REX戦で2安打完封と圧巻のピッチングを見せており、アピールに成功している。大学時代から故障が多く、好不調の波は気になるものの、貴重なサウスポーだけに指名を検討している球団はありそうだ。
そして、最後までリストに残すか迷っている球団が多そうなのが、横山楓(セガサミー)と小孫竜二(鷺宮製作所)の2人だ。
横山は日本選手権予選で好投。本選でも5者連続三振をマークするなど見事な投球を見せたが、都市対抗予選の明治安田生命戦では1回2/3を投げて5失点と崩れた。
一方の小孫も、都市対抗予選のJPアセット証券戦では6回1失点と好投したものの、続く東京ガス戦では序盤で崩れて負け投手となっている。
ともに好調時は150キロを超えるスピードで圧倒できる一方、変化球を中心とした組み立てがもうひとつで、ストレートが走らない日は苦しい投球となることが多い。大学卒2年目で来年25歳という年齢を考えると、もう少し投球の引き出しが欲しいと感じているスカウトは多いだろう。
10月から都市対抗予選が本格化する地域では、鈴木大貴(TDK)や小木田敦也(TDK)、山本龍之介(SUBARU)、柴田大地(日本通運)、三谷育海(オールフロンティア)なども注目度は高い。
今年のルーキーでは栗林良吏(トヨタ自動車→広島1位)や伊藤将司(JR東日本→阪神2位)が抜群の存在感を見せているだけに、彼らに続くような存在が今年のドラフトでも現れることを期待したい。
☆記事提供:プロアマ野球研究所