コラム 2021.10.07. 07:08

金沢学院大の左右の両輪に熱視線…松井友飛と長谷川威展に8球団のスカウトが集結

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金沢学院大の松井友飛選手(左)と長谷川威展選手(右) [写真提供=プロアマ野球研究所]

金沢学院大が誇る「2人のドラフト候補」


 “運命の一日”まで、ついに1週間を切った。

 今年のプロ野球・ドラフト会議は10月11日(月)に行われる。




 高校野球の夏が終わり、季節は大学野球の秋へ。また、今年は都市対抗野球が11月に開催されるため、大舞台への出場権をかけた予選がドラフト候補にとっての最後のアピールの場にもなっている。

 プロアマ野球研究所では、目前に迫ってきたドラフト会議当日まで、なるべく数多くの選手を紹介していきたい。

 今回は、地方リーグでにわかに注目を集めている左右の投手を取り上げる。



無名選手から一気のブレイク


 富山・石川・福井の3県の大学で構成されている北陸大学野球連盟。

 今年の全日本大学野球選手権で準決勝進出を果たした福井工業大が頭一つ抜けた存在となっているが、今年のドラフト戦線で注目を集めているのが、金沢学院大の松井友飛と長谷川威展である。

 2人のドラフト前の最後のアピールを確かめるべく、9月10日に行われた富山国際大との試合に足を運んだ。


 松井は高校時代、全くの無名選手。所属していた穴水高校は、松井の在学した3年間は公式戦で1勝もしていない。

 しかし、金沢学院大に進学後は1年秋から先発を任されると、いきなりベストナインを獲得する活躍。2年秋にはチームの明治神宮大会出場にも大きく貢献している。


 最大の武器は、長身から投げ下ろす角度のあるストレートだ。

 190センチ近い長身だが身のこなしが軽く、フォームに躍動感があるのも特長。2年時には140キロ台前半だったが、今年は大きくスピードアップしてコンスタントに145キロを超えるようになっている。

 この試合でも7回からマウンドに上がり、最速は149キロをマーク。この日投じたストレートの平均球速(14球)は145.6キロと、アベレージのスピードも申し分なかった。

 この日は1イニングだけの登板ということで、変化球はカーブしか投げていなかったが、指先の感覚も決して悪くなく、以前の登板ではチェンジアップやフォークなど縦の変化球も上手く操っていた。


 課題となるのは投球術の部分。この日も相手は長打を捨ててコンパクトに振ることを徹底していたが、そこに力勝負を挑んで粘られるという場面が目立った。

 もう少し緩急を使って、打たせてとるような工夫ができるようになれば、角度のあるストレートがもっと生きてくるはずだ。


▼ 松井友飛(金沢学院大)
・投手
・189センチ/83キロ
・右投右打
・穴水高

<主な球種と球速帯>
ストレート:141~149キロ
カーブ:115~120キロ
スライダー:120~125キロ
チェンジアップ:123~125キロ
フォーク:130~136キロ

☆クイックモーションでの投球タイム:1.25秒


花咲徳栄時代は「ベンチ外」だった


 一方、長谷川は全国でも屈指の強豪である花咲徳栄で、3年夏には甲子園優勝も果たしている。

 ただし、チームには清水達也(現・中日)や綱脇慧(現・東北福祉大)という力のある投手がいたこともあって、長谷川は甲子園でベンチ入りメンバーにも選ばれなかった。


 それでも、大学進学後にリリーフとして頭角を現すと、2年秋の明治神宮大会での好投が評価され、大会後に行われた大学日本代表候補合宿にも選出されている。

 9月10日の富山国際大戦では、6回から2番手として登板。一死から四球で走者を一人出したものの、後続を抑えて1回を無失点の好投で松井にバトンを繋いでいる。


 この日のストレートの最速は143キロと驚くようなスピードがあるわけではないが、小さいテイクバックでボールの出所を上手く隠しているため、打者にとってはいきなりボールが出てくるように見える。

 さらに、サイドに近いスリークォーターで独特の角度があり、特に左バッターの外のボールはかなり遠くに見えているはずだ。


 そして、ストレート以上に素晴らしいのがスライダーだ。

 しっかりと腕を振って投げることができ、打者の手元で鋭く横に変化するため、ミートすることは簡単ではない。チェンジアップのブレーキも申し分なく、対になる変化球を操ることができるのは大きな武器だ。


▼ 長谷川威展(金沢学院大)
・投手
・179センチ/80キロ
・左投左打
・花咲徳栄高

<主な球種と球速帯>
ストレート:138~146キロ
スライダー:123~126キロ
チェンジアップ:120~123キロ

☆クイックモーションでの投球タイム:1.28秒


8球団・11人のスカウトが集結


 この日、スタンドには8球団・11人のスカウトが集結。中には編成トップが足を運んでいる球団もあり、2人に対する注目度の高さがよくうかがえた。

 松井は長身からの角度とスピード、長谷川は変則的なサウスポーとそれぞれ分かりやすい特長があり、また高校時代に実績がない分、今後の成長が期待できるというのも魅力だ。

 金沢学院大からNPB入りした選手は、長谷川潤(15年・巨人育成6位)だけだが、今年は2人目、3人目のNPB選手誕生が十分に期待できる。


☆記事提供:プロアマ野球研究所



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