忘れてはならない独立リーグの注目株
週が明けると、いよいよやってくる“運命の一日”…。
今年は10月11日(月)に開催されるプロ野球のドラフト会議。これまでもカテゴリー別にドラフト候補をまとめてきたが、今回は近年多くのNPB戦士を輩出しているルートインBCリーグの注目株を紹介したい。
9月23日~24日の2日間、ジャイアンツ球場で行われたのが巨人三軍とBCリーグ選抜の交流試合。
BCリーグの選手たちにとって、迫ってきたドラフト会議に向けた最後のアピールの場となる。
スタンドには多くのスカウト陣も視察に訪れたが、今回はその中で特に目を惹いた投手を取り上げる。
石川・髙田竜星に指名の可能性
より多くの選手にアピールの場を与えるという意味もあって、試合では9人の投手が1イニングずつを投げる形で行われた。
その中で最も強いインパクトを残したのが、先発としてマウンドに登った石川の髙田竜星(19歳・遊学館)である。
石川県内では下級生の頃から評判の投手で、1年前は甲子園で行われたプロ志望高校生合同練習会にも参加している。
そして、石川ミリオンスターズに入団した今季は、高校卒1年目ながら先発の一角に定着。防御率2点台と安定した成績を残した。
1人目の打者には少しコントロール重視で入ったが、徐々にスピードアップし、最速は148キロをマーク。二死をとってから山下航汰に安打を許したものの、4番の菊田拡和を中飛に打ちとって1回を無失点・1奪三振にまとめて見せた。
130キロ台のスライダー、120キロ台中盤のチェンジアップは、いずれもストレートと変わらない腕の振りで投げることができ、特にチェンジアップのブレーキには光るものがあった。
昨年と比べても明らかにボールが力強くなっており、変化球のコントロールも向上したように見える。高校卒1年目という若さも大きな魅力だけに、指名の可能性は高いだろう。
栃木・手塚俊二と堀越歩夢が最速150キロ超
スピード面で髙田を上回ったのが、手塚俊二(23歳・純真)と堀越歩夢(23歳・東日本国際大)という栃木ゴールデンブレーブス所属の2人だ。手塚は最速150キロ、堀越は最速151キロをマークしてともに1回を無失点に抑えた。
手塚は日本経済大を2年で中退し、2019年に栃木に入団。1年目は体作りがメインだったが、昨年は先発で8勝をマークした。
今年はリリーフに回ったことで、さらにスピードがアップ。186センチ・75キロとまだまだ細身でフォームのバランスは少し不安定だが、豪快な腕の振りは大きな魅力だ。
130キロ台中盤のフォークも低めに決まれば、空振りを奪えるブレーキがある。1~2年プロで鍛えれば、リリーフとして面白い存在となりそうだ。
一方の堀越は、東日本国際大在学中の昨年夏に栃木に入団。昨年はリリーフ、2年目の今年は先発として結果を残している。
先発では140キロ台中盤が多いものの、この日は1イニング限定ということもあって151キロを2度マークするなど、ストレートで相手打者を圧倒。先頭打者の萩原哲には10球以上粘られたものの、コントロールを乱すことなく空振り三振を奪い、続く2人も打ちとって、登板した9人の投手の中で唯一の三者凡退と結果を残した。
186センチ・93キロという恵まれた体格でフォームに悪い癖がなく、スムーズに上から腕を振ることができる。スライダー、フォークとも少し変化が早く、見極められやすいのは課題だが、まだまだ速くなりそうな雰囲気があるのは大きな魅力だ。
“風間球打の先輩”も…
髙田と同じ高校卒1年目ながら注目を集めているのが、埼玉の長尾光(19歳・明桜)だ。
昨年は一学年下の風間球打とともに、夏の秋田県独自大会優勝に貢献。埼玉武蔵ヒートベアーズに加入1年目の今年は、リーグ戦で目立った結果を残すことはできなかったが、高い将来性が評価されて選抜チームに選ばれた。
この日の最速は141キロと目立った数字ではなかったが、120キロ程度のカーブに近いスライダーと、120キロ台中盤のフォークのコンビネーションは19歳とは思えない上手さを感じる。2本の安打を許すも、走者を背負った場面で変化球を低めに集める落ち着いた投球で無失点に切り抜けた。
ストレートの球威を上げることは必要だが、センスの高さは申し分ないだけに、将来性を買って指名する球団が出てくることも考えられるだろう。
思えば昨年も、ヤクルト二軍との交流戦で結果を残した小沼健太(BC茨城→ロッテ育成2位)が結果を残してそのまま指名を勝ち取っており、その小沼は1年目からイースタン・リーグで最多セーブに輝く活躍を見せている。
今年も小沼に続くような選手が出てくることを期待したい。
▼ 9月23日・交流戦で登板した投手の最高球速
151キロ 堀越歩夢(栃木/23歳・東日本国際大)
150キロ 手塚俊二(栃木/23歳・純真)
148キロ 髙田竜聖(石川/19歳・遊学館)
146キロ 利光康介(埼玉/24歳・桐蔭横浜大)
146キロ 日高拓海(神奈川/23歳・武蔵大)
145キロ 石井翔(神奈川/24歳・富士大)
141キロ 田代大輝(群馬/24歳・鶴見大)
141キロ 長尾光(埼玉/19歳・明桜)
137キロ 太田大和(埼玉/19歳・山形中央)
※選手の年齢はすべて満年齢
☆記事提供:プロアマ野球研究所