コラム 2021.11.05. 07:08

実力者が意外な低評価…今秋のドラフトで名前が呼ばれなかった選手たち【社会人・独立リーグ編】

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東芝・吉村貢司郎 [写真提供=プロアマ野球研究所]

“今年じゃなかった”シリーズ最終回


 今年は10月11日に開催されたプロ野球のドラフト会議。

 支配下77人・育成51人の選手たちが指名を受けたが、実力はありながらもめぐり合わせによって指名が見送られた選手や、事前に高い評価を受けながらもプロ志望届を提出しなかった選手というのも少なくない。




 プロアマ野球研究所では、来年のドラフト候補紹介と並行して、“今年は縁がなかった”有望選手たちもカテゴリー毎に紹介していく。最終回となる今回は社会人&独立リーグ編。

 指名がなかった有力投手のなかでも、特に今年素晴らしいピッチングを見せていたのが吉村貢司郎(東芝)だ。

 日大豊山時代から安定したフォームが魅力の本格派右腕として注目を浴び、国学院大を経ての社会人入りでさらなるスケールアップに成功。昨年の都市対抗野球でも最速152キロをマークしている。



 今年に入ってからはコントロールもレベルアップ。9月27日に行われたENEOSとの都市対抗・予選では、被安打4の10奪三振で完封と圧巻の投球を見せ、ストレートは昨年の都市対抗を上回る自己最速の153キロを計測した。その後、中1日で登板した29日の試合では、リリーフ登板して敗戦投手となったものの、それでも投球内容は素晴らしいものだった。

 ドラフト後に行われた神奈川企業大会でも、"指名漏れ"のショックを感じさせぬ投球で、再びENEOSを相手に2安打完封。これは見事というほかない。

 この調子が来年も続けば、東芝の先輩である岡野祐一郎(現・中日)のように、大学卒3年目での指名も十分に期待できるだろう。


ほかにも有力投手は多数


 来年以降もチャンスが多くありそうなのは、やはり高校卒の米倉貫太(Honda)だろう。

 今年は3月の東京スポニチ大会で好投してからなかなか調子が上がらず、公式戦で結果を残すことはできなかった。しかし、都市対抗前のオープン戦では150キロに迫るスピードをマークするなど、徐々に状態は上向きつつある。

 素材の良さは誰しもが認めるところで、必要なのは実績だけ。まずは11月に開幕する都市対抗で結果を残して、良い形で来シーズンに繋げたい。


▼ その他の社会人注目投手
・鈴木大貴(TDK)
・山本龍之介(SUBARU)
・前田敬太(日本通運)
・小孫竜二(鷺宮製作所)
・稲毛田渉(NTT東日本)
・八木玲於(Honda鈴鹿)


「若獅子賞」受賞者が…


 社会人野手で最も"指名漏れ"に驚かされたのは、藤井健平(NTT西日本/外野手)だ。

 昨年の都市対抗では安打を量産し、若獅子賞を受賞した注目株。強肩と俊足も十分プロで上位に入るレベルにある。

 ドラフト前の最後のアピールの場となった都市対抗予選で目立った結果を残せなかった点が、プロの評価を下げた原因と考えられるが、即戦力として期待できる選手だけに指名がなかったのは意外だった。

 今年の都市対抗では、プロ入りを目指して、さらなる飛躍を祈りたい。


▼ その他の社会人注目野手
・北川智也(セガサミー/二塁手)
・中川智裕(セガサミー/遊撃手)
・和田佳大(トヨタ自動車/遊撃手)
・向山基生(NTT東日本/外野手)
・船曳海(日本新薬/外野手)
・山本卓弥(Honda熊本/外野手)


来年こそ「ドラフト指名」なるか


 最後に、独立リーグの投手では、堀越歩夢(栃木ゴールデンブレーブス)や長尾光(埼玉武蔵ヒートベアーズ)、太田大和(埼玉武蔵ヒートベアーズ)、日高拓海(神奈川フューチャードリームス)、近藤壱来(香川オリーブガイナーズ)が残念ながら指名なし。

 野手でも、叺田本気(栃木ゴールデンブレーブス・捕手)や石川慧亮(栃木ゴールデンブレーブス・外野手)などが、今年の指名は見送られた。

 特に堀越は150キロを超える威力十分のストレートで、巨人三軍との交流戦でもアピールしていただけに、残念な結果となった。それでも、素材の良さは十分で、来年以降プロ入りのチャンスはあるだろう。

 また、長尾や太田、石川のように高校卒1年目の選手は、まだまだ若さがあるのは大きな魅力。今後も注目を集める可能性は高そうだ。


 今年は昨年でいう阿部翔太(オリックス)のような20代後半の選手の指名はなかったものの、野村勇(NTT西日本→ソフトバンク4位)や松本竜也(Honda鈴鹿→広島5位)、末包昇大(大阪ガス→広島6位)、小木田敦也(TDK→オリックス7位)、上川畑大悟(NTT東日本→日本ハム9位)と、指名解禁の年を過ぎた選手が5人も指名された。こうした結果は、指名漏れとなった選手に希望を与える結果ともいえる。

 年齢を重ねるごとにドラフト指名の可能性が低くなっていくことは確かだが、来年もまたここで取り上げた選手たちがドラフト戦線を大いに賑わせてくれることを期待したい。



☆記事提供:プロアマ野球研究所



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