オリックスは意外にもビジターで負け越し
2016〜2018年にかけてリーグ3連覇を果たした当時の広島は、ホームゲームにおける勝率が7割を超えることもあるなど、本拠地球場で無類の強さを誇ったことも注目を集めていた。ただ、慣れ親しんだ本拠地で強いというのは、ある意味では当然のこと。逆にいえば、ビジターゲームを取りこぼさないというチームも強いという見方もできるだろう。
以下に、12球団の2021年シーズンにおけるビジターゲームの成績を振り返ってみる。
【2021年シーズン12球団ビジター成績】※交流戦含む
セ・リーグ
<ヤクルト>71試合37勝23敗11分(勝率.617)
打率.260/67本/326得点/OPS.732/防御率3.37
<阪神>
72試合41勝25敗6分(勝率.621)
打率.254/66本/287得点/OPS.714/防御率3.15
<巨人>
71試合29勝32敗10分(勝率.475)
打率.238/79本/254得点/OPS.691/防御率3.26
<広島>
71試合33勝34敗4分(勝率.493)
打率.257/79本/303得点/OPS.725/防御率4.12
<中日>
72試合22勝44敗6分(勝率.333)
打率.236/38本/203得点/OPS.616/防御率3.96
<DeNA>
72試合27勝36敗9分(勝率.429)
打率.253/65本/265得点/OPS.697/防御率4.00
パ・リーグ
<オリックス>71試合32勝33敗6分(勝率.492)
打率.249/69本/279得点/OPS.689/防御率3.76
<ロッテ>
71試合34勝25敗12分(勝率.576)
打率.226/50本/275得点/OPS.650/防御率3.24
<楽天>
71試合35勝29敗7分(勝率.547)
打率.249/68本/284得点/OPS.723/防御率3.74
<ソフトバンク>
72試合29勝33敗10分(勝率.468)
打率.251/51本/285得点/OPS.687/防御率3.33
<日本ハム>
72試合30勝32敗10分(勝率.484)
打率.232/45本/240得点/OPS.652/防御率3.17
<西武>
72試合25勝36敗11分(勝率.410)
打率.234/59本/250得点/OPS.655/防御率4.00
少し意外だったのは、パ・リーグ覇者・オリックスの数字。ビジターゲームにおける勝率は「.492」と負け越している。逆にいうと、それだけホームゲームに強かったということ。オリックスのホームゲームにおける勝率は、12球団で唯一6割を超える「.633」。3連覇当時の広島にはやや劣るものの、本拠地での強さでペナントレースを制したのが今季のオリックスだった。
パ・リーグについては、その他は順当というところだろう。ペナント順位に連動した成績といえる。
ホームよりビジターでのほうが好成績を残したヤクルト
一方、セ・リーグに目を向けると、阪神が12球団トップの勝率を残している。得点力の高さもさることながら、やはり定評ある投手陣が安定していたようだ。その防御率3.15もまた12球団トップだ。
ただ、今季に限った話ではないが、阪神は本拠地・甲子園をやや苦手にしている傾向にある。今季のホームゲームでの勝率は「.537」と勝ち越したものの、やはりビジターゲームの「.621」とは大きな開きがある。甲子園での勝率アップは来季以降も阪神の大きな課題か。
そして、わずかな差で阪神に勝率トップの座を譲ったものの、やはりペナントレースを制したヤクルトもビジターゲームに強かった。ヤクルトというと、狭い神宮球場を有効に使う打撃のチームというイメージを持っているファンも多いが、今季のヤクルトはビジターゲームのほうが好成績を残している。
本塁打こそ8本差でホームのほうが多いが、打率はホームの「.248」に対してビジターは「.260」。盗塁数もビジターのほうが大幅に多く、勝率もホームの「.554」に対してビジターでは「.617」だ。ビジターゲームでの強さも、今季のヤクルトのリーグ制覇の大きな要因だったと言えそうだ。
一方、少し心配になる数字を残したのが中日。ビジターゲームの勝率は「.333」と、他球団から大きく引き離されている。また、課題の打力については広いバンテリンドームナゴヤに原因があるといわれることもあるが、ビジターゲームでの打率.236はリーグワーストであり、38本塁打、203得点はいずれも12球団ワーストと厳しい数字が並ぶ。現役時代に希代の好打者として知られた立浪和義新監督のもと、どんな打撃改革が行われるのか。中日の巻き返しにも注目したい。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)