28日(金)の発表を前に状況をおさらい!
年が明けて2022年、気がつけば最初の1カ月の終わりが近づいてきている。野球界的にはシーズンオフの真っ只中であるが、2月1日・プロ野球のキャンプインを前に、徐々に野球の話題も増えてきた。
プロ野球の球春到来を目前に控え、今週はひとつ高校野球界でも大きな話題が。3月18日(金)に開幕する『第94回選抜高校野球大会』に向けて、その出場校・32チームを決める選考委員が1月28日(金)に開かれるのだ。
49の地方大会の優勝校がそのまま代表校となる夏の全国高校野球選手権とは異なり、春は前年の秋季大会での戦いぶりを参考に、選考委員によって文字通り“選抜”されたチームが出場するという点が最大の特徴だ。
直接の対戦がないチーム同士を比較検討することにもなるため、激しい議論となることもしばしば。果たして、どのチームが大舞台への切符を掴むのか…。
今回は、各地区の秋の戦いぶりを踏まえ、特に議論が白熱しそうな枠を中心に、32の出場校を予想してみたい。
21世紀枠の行方は…?
まず最初に決定されるのが、「21世紀枠」の3校。今年は以下の9校が最終候補として推薦されている。
▼ 21世紀枠候補・9校
札幌国際情報(北海道)
只見(東北=福島)
太田(関東・東京=群馬)
丹生(北信越=福井)
相可(東海=三重)
伊吹(近畿=滋賀)
倉吉総合産業(中国=鳥取)
高松一(四国=香川)
大分舞鶴(九州=大分)
このうち東日本(北海道/東北/関東・東京/北信越/東海)から1校、西日本(近畿/中国/四国/九州)から1校を選び、最後に東西関係なく1校が選ばれる流れとなる。
「21世紀枠」は野球の成績だけでなく、困難な環境の克服や学業との両立、創意工夫した練習、さらには地域に対する影響なども議論のポイントとなるため、予想が最も難しい枠でもある。
そんな中で、今回は只見・倉吉総合産業・大分舞鶴の3校を予想した。
只見は福島の豪雪地帯の学校で、過疎化も進んでいる中、県立高校でありながら県外からも生徒を募集するなど、環境面のハンデを乗り越えた点が高く評価されると予想。
過去のデータを見ても、東北は地区別でトップの13校が選ばれており、その点も考慮した。
大分舞鶴は県内屈指の進学校で、学業との両立が大きな強みとなることが予想される。
太田と高松一も同じ文武両道を売りとしているチームになるが、大分舞鶴は秋の県大会準優勝という好成績もプラスポイントとなりそうだ。
最後の1枠は、「特色のある学校」という点で倉吉総合産業を選んだ。
機械科、電気科、ビジネス科、生活デザイン科の4学科からなり、地元の産業に貢献する人材を多く輩出している。野球部も授業で学んだ技術を生かしてフェンスを作成したり、地域の子どもたちに対して野球振興の取り組みも行っているという。
過去10年を見ても、石巻工(宮城)や豊橋工(愛知)、由利工(秋田)、帯広農(北海道)、具志川商(沖縄)といった実業系の学校が多く選ばれている点も追い風となりそうだ。
「関東・東京」の6校目は…?
続いて一般枠だが、北海道(クラーク記念国際)と東北(花巻東/聖光学院)、北信越(敦賀気比/星稜)、東海(日大三島/聖隷クリストファー)、九州(九州国際大付/大島/有田工/長崎日大)はそれぞれ秋の地区大会で上位に進出したチームが選ばれることが予想される。
唯一逆転があるとすれば、静岡から2校となる東海だが、準優勝の聖隷クリストファーも東海大会の決勝で大敗したわけではないため、その可能性は極めて低いだろう。
一般枠で最初の大きな争点となるのが、「関東・東京」の6校目だ。
まず、昨年の関東大会の準々決勝で敗れた4チームの中から浮上してくるのは、唯一3点差以内の接戦を演じた東海大相模(神奈川)で間違いないだろう。
比較対象となるのは、東京都大会準優勝の二松学舎大付。敗れた試合の内容をみると、優勝した国学院久我山を8回終了時点でリードしており、1点差の逆転サヨナラ負けだった二松学舎大付に分があるように見える。
しかし、純粋な選手とチームの力を考えると、秋の時点では昨年のセンバツで優勝したメンバーも残る東海大相模が上回っていると感じた選考委員も多かったはずだ。わずかではあるが、東海大相模の可能性が高いと言えるだろう。
「近畿」は7枠でより難解に
次に激しい議論となるのが「近畿」地区だ。
通常は6枠だが、昨年の明治神宮大会で大阪桐蔭が優勝したことによる神宮枠が追加され、7枠となることも選考をさらに難しくしている。
準々決勝で敗れた4校の中では、初戦の勝ち上がりと敗戦となった試合の内容から考えて、まず京都国際は当確と見られる。また、強豪の智辯学園を完封で破り、優勝した大阪桐蔭を相手にもしぶとい戦いを見せた東洋大姫路がそれに続きそうだ。
そうなると、最後の1枠を市立和歌山と近江で争うことになる。県大会の結果とミスの少ない戦いぶりでは市立和歌山、準々決勝の得点差と他に滋賀の候補校がいないという地域性では近江に分があり、かなり選考は困難になりそうだが、トータルの戦力を考えて近江と予想した。
ちなみに、市立和歌山は米田天翼、近江は山田陽翔というプロ注目のエースを擁するだけに、どちらが出場しても高い注目を集めることになるだろう。
そして最後の焦点は、「中国・四国」の5校目だ。
中国大会4強の岡山学芸館と倉敷工、四国大会4強の明徳義塾と徳島商が候補になるが、準決勝でコールド負けを喫した徳島商はまず脱落と言えそうだ。
残る3校は地域性を考えると、四国は地区大会優勝の高知が確実だけに、同じ高知県の明徳義塾よりも、岡山学芸館と倉敷工の岡山2校の方が有利という見方もある。
ただ、敗れた準決勝の内容はやはり明徳義塾が最も接戦であり、昨年夏の甲子園でも好投したエースの吉村優聖歩を中心とした戦いぶりの安定感が光るだけに、明徳義塾が競り勝つと予想した。
ということで、予想した32チームは以下の通り。
今年は21世紀枠以外にも判断が難しい地区が目立ち、例年以上に議論が白熱することが間違いない。果たして選考委員はどのような決断を下すのか…。1月28日の発表にぜひとも注目してもらいたい。
『第94回選抜高校野球大会』出場校予想
<北海道>
クラーク記念国際
<東北>
花巻東(岩手)
聖光学院(福島)
<関東・東京>
明秀日立(茨城)
山梨学院(山梨)
浦和学院(埼玉)
木更津総合(千葉)
東海大相模(神奈川)
国学院久我山(東京)
<北信越>
敦賀気比(福井)
星稜(石川)
<東海>
日大三島(静岡)
聖隷クリストファー(静岡)
<近畿>
大阪桐蔭(大阪)
和歌山東(和歌山)
天理(奈良)
金光大阪(大阪)
京都国際(京都)
東洋大姫路(兵庫)
近江(滋賀)
<中国・四国>
広陵(広島)
広島商(広島)
高知(高知)
鳴門(徳島)
明徳義塾(高知)
<九州>
九州国際大付(福岡)
大島(鹿児島)
有田工(佐賀)
長崎日大(長崎)
<21世紀枠>
只見(福島)
倉吉総合産業(鳥取)
大分舞鶴(大分)
☆記事提供:プロアマ野球研究所