打率・出塁率ともに物足りない結果
2020年にシンシナティ・レッズに加入した秋山翔吾。
3年契約の2年目を終えて、メジャー定着に暗雲が垂れ込めている。
西武時代にはシーズン20本塁打以上を3度記録するなど、長打も魅力のひとつだった選手だが、メジャーでの2年間は長打も少なく、本塁打に限っては0本。何より、自慢の打率自体も低迷している。
コロナ禍で迎えた1年目は打率2割前後を行ったり来たりしていたが、終盤に盛り返して.245でフィニッシュ。
ところが、2年目の昨季は2度の故障もあって、より厳しいシーズンに。なんとか1割台は避けられたものの、最終的な打率は.204だった。
そんな打率以上に深刻なのが、「出塁率」の急落である。
2020年は及第点の.357を記録していたが、2021年は四球の数が大きく減少。終わってみれば.282と3割を割り込んでしまった。長打が期待できないだけに、出塁率は最低でも.333前後は維持しないと、レギュラー争いどころではない。
左方向の意識と速球への対応がカギ
そして、出塁率だけでは生き残れないのがいまのメジャーだ。
勝負の3年目は持ち前の広角打法、特に左方向への打球を増やすことで成績向上につなげたい。三遊間に転がすことで、内野安打になる確率も上がるだろう。
昨季の「打球方向別の打率」を見ても、これは理に適っていると言える。
昨季、左打ちの秋山が右方向に引っ張った時の打率は.188(32-6)と低かった。ところが、センター方向に飛んだときは.239(46-11)で、左方向に流した時は.364(44-16)。打球方向によって、安打になる確率が大きく異なっていた。
この傾向は1年目もあまり変わらず、左方向に飛んだときの打率が最も高い。もちろん、状況に応じて右方向へ強い打球を打つことも必要だが、左方向への意識をより高めたいところだ。
また、「球種別成績」では、速球への対応に苦労していたことが分かる。
ストレートに対して、2020年は打率.247(85-21)だったのが、2021年は.175(97-17)まで落ち込んだ。
変化球に対しては、2020年が.243(70-17)、2021年は.246(65-16)とほぼ同じだった。つまり、打率を上げるためには“速球への対応”がカギとなる。
契約最終年の3年目。守備と走塁だけでは、メジャーで生き残ることは難しいだろう。最低でも打率.250、できれば.270から.280程度に引き上げることが求められる。
4月で34歳を迎え、同等の成績ならより若い選手にチャンスが与えられる可能性が高い。2015年にNPB歴代最多のシーズン216安打を放った希代のヒットメーカーが、このまま終わるわけにはいかない。
文=八木遊(やぎ・ゆう)