好スタートを切るも…
2020年オフ、ポスティングシステムを利用してメジャー挑戦を果たした有原航平。
レンジャーズと2年契約を結ぶと、オープン戦でも結果を残し、開幕ローテーション入りを果たした。
初勝利を挙げたのは、自身3試合目の登板となったレイズ戦。
続くエンゼルス戦では、大谷翔平とも対戦。元同僚を2打数無安打に抑えている。この試合で2勝目を記録し、シーズン成績を2勝0敗とした。
開幕から4試合に登板した時点で防御率は2.21。幸先良く1年目のスタートを切った有原だったが、ここから大きく崩れてしまう。
次のホワイトソックス戦で2回5失点と崩れたのを皮切りに、3試合連続で序盤にノックアウト。この3試合でシーズン防御率は2.21から6.59まで一気に悪化した。
さらに、5月上旬に右手中指を痛めて負傷者リスト入りすると、後に右肩に動脈瘤があることが判明。手術を行い、復帰に3カ月以上を要した。
9月1日に復帰したが、3試合いずれも5回を持たず、計9失点を喫した有原。その後、40人枠から外されてシーズンを終えた。
結局、移籍1年目は10試合に登板して2勝4敗、防御率6.64。6イニングを投げきることは一度もなかった。
いかに投手有利なカウントを作っていくか
シーズンを通しての被打率は「.281」だったが、球種別の被打率はフォーシームが「.406」、カットボールが「.370」と直球系が悪く、被本塁打も11本中6本がこの2つの球種だった。
一方で、変化球はスライダーが「.219」で、スプリットが「.208」、チェンジアップは「.150」。決め球とも言えるこの3つの球種は、メジャーでも十分通用するレベルだった。
つまり、直球系でカウントを整える段階で痛打されていたことになるが、それは「カウント別成績」を見ても明らかだ。
まず、初球の被打率は.474(19-9)で、被弾も3本に上った。ただし、初球にボール球を投げておけばいいというわけでもなかった。
初球がボールだった場面はシーズンを通して85回あったが、被打率は.333(72-24)。被出塁率も.435に上った。
一方、初球でストライクを取った場面は74回で、被打率は.174(69-12)。被出塁率も.216と抑え込んでいた。
基本的にはどの投手にもいえることだが、有原にとって「初球にストライクを取れるかどうか」が重要だったといえるだろう。
また、40回2/3を投げて24奪三振という数字からも分かるとおり、とにかく相手打者から空振りを奪うことが少なかった。
昨季の空振り率は7.3%だったが、これは40投球回数以上投げた398投手中386位。2年目の今季はウイニングショットに磨きをかけたい。
契約最終年となる今季は、まず40人枠を勝ち取る必要がある。
1年目の経験を糧に、有原は再びメジャーの舞台に這い上がることができるだろうか。
文=八木遊(やぎ・ゆう)