今春の実戦初登板で3回パーフェクトピッチング
2013年以来9年振りの優勝を目指す楽天。ここまでの対外試合を見る限りでは、投手陣が順調に仕上がってきたようだ。
先発の柱になる田中将大は、2月22日のヤクルト戦(練習試合)で3回ノーヒットに抑える好投を見せ、37歳の岸孝之も2月26日のヤクルト戦(オープン戦)で3回をパーフェクトに抑えている。
2月24日の巨人戦(練習試合)に登板した則本昂大は、ベースカバーに入った際に右足首を痛め、3回途中4安打1失点で降板したが、石井一久監督は大事を取っての投手交代だったことを強調。指揮官の言葉通りなら、大幅に出遅れることはなさそうだ。
そして、大卒2年目左腕・早川隆久も対外試合初登板となった2月24日の巨人戦(練習試合)で、3回パーフェクトピッチングを披露。打者9人に対し51球と、やや球数を要したものの、140キロ台中盤から後半のストレートにカットボールとスライダーといった変化球が冴え、投球回を上回る4つの三振を奪っている。アクシデントさえなければ、2年連続の開幕ローテーション入りは間違いないだろう。
昨シーズンの早川は開幕ローテーションに入り、137回2/3を投げ9勝(7敗)を挙げた。規定投球回と2桁勝利にはわずかに届かなかったが、鳴り物入りで入団したルーキーとしては十分な投球内容だったといえる。今シーズンの目標は、規定投球回に到達した上で2桁勝利に到達し、ローテーション投手として独り立ちすることだろう。
ベテランが多くなってきた楽天先発投手陣において、早川は次世代エースの筆頭候補。石井一久監督はじめ首脳陣も、早川のさらなる飛躍を期待しているはずだ。
だが、楽天の先発左腕で、これまでに確固たる成績を残した投手がひとりもいないのは少し気がかりだ。
生え抜きで「2桁勝利&規定投球回」同時達成は田中将大ら4人
楽天の歴史を振り返ってみると、規定投球回と2桁勝利を同時に達成した生え抜きの投手は田中、則本、永井怜(すでに現役を引退)、美馬学(現ロッテ)と4人いた。しかしこの4人はいずれも右腕であり、左腕での達成者はひとりもいない。
楽天の生え抜き左腕では、規定投球回到達者が辛島航(2014年)と塩見貴洋(2011年・2016年)のふたりだけで、2桁勝利を達成した投手はひとりもいないのである。
球団の創設が2004年オフとチームの歴史が浅いこともある。しかし、2010年以降だけで、パ・リーグの他5球団からは生え抜き左腕の規定投球回と2桁勝利の同時達成者が誕生しており、球団史の浅さを理由にするのも苦しい時期に差し掛かる。
早川は大卒2年目とまだ若いが、大学時代の実績や昨年の結果、そして今春の実戦を見れば規定投球回数と2桁勝利の同時達成も高望みな目標ではない。あくまでもひとつの節目となる数字ではあるものの、これからの楽天投手陣を牽引していく意味でも、早々にクリアしてほしい数字となりそうだ。
<パ・リーグ各球団の生え抜き左腕による規定投球回と2桁勝利の同時達成者>
※2010年以降
・オリックス
宮城大弥(2021年)
・ロッテ
小島和哉(2021年)
成瀬善久(2010年〜2012年)
・ソフトバンク
和田 毅(2010年・2011年・2016年)
大隣憲司(2012年)
杉内俊哉(2010年)
・日本ハム
吉川光夫(2012年・2015年)
武田 勝(2010年〜2012年)
・西武
菊池雄星(2016年〜2018年)
帆足和幸(2010年)
・楽天
不在