初日の第3試合に登場!優勝候補の中心的存在
3月18日に開幕する『第94回選抜高校野球大会』。ドラフト戦線という意味では、主要カテゴリーで最初に行われる全国規模の大会だ。
ドラフト候補となる新3年生には、今年からプロの世界で戦う小園健太(市和歌山→DeNA1位)や達孝太(天理→日本ハム1位)、松川虎生(市和歌山→ロッテ1位)のような有力な1位候補は不在という印象だが、それでも今大会での活躍次第で浮上する可能性を秘めた好素材がいる。
開幕日の18日には、九州国際大付(福岡)がいきなり登場。第3試合でクラーク記念国際(北海道)と激突する。
秋の九州大会を圧倒的な強さで制し、続く明治神宮大会でも4強入りを果たすなど、今大会の優勝候補の一角にに挙げられている注目のチーム。
九州大会の4試合で計43得点を叩き出した打撃力が持ち味で、その強力打線を牽引するのが黒田義信だ。
▼ 黒田義信(九州国際大付)
・外野手
・180センチ/72キロ
・右投左打
<秋季九州大会/明治神宮大会成績>
7試 率.440(25-11) 本2 点5
打席33 二塁打1 三塁打3 四球7
出塁率.545 長打率.960 OPS1.505
<各塁へのベスト到達タイム>
一塁到達:4.08秒 ☆バント時:3.71秒
二塁到達:7.95秒
三塁到達:11.23秒
超攻撃的トップバッター
黒田のプレーを初めて見たのは、昨年春の九州大会・対大分舞鶴戦のこと。
当時は2年生ながら「4番・三塁」として出場すると、鋭い当たりを連発して2安打をマークした。
また、夏の福岡大会・3回戦の対小倉戦も現地で取材したが、ここでも黒田は4打数4安打の固め打ち。
とても下級生とは思えないバッティングを見せていた。
新チームではスピードを生かしてセンターに回り、また佐倉侠史郎(新2年/一塁手)の成長もあって1番バッターを任された。
その結果、さらに打撃に磨きがかかった印象を受ける。
昨年秋の九州大会・1回戦の鹿児島城西戦では、1点を追う3回に同点となるセンターへの適時三塁打。その後もしっかり見極めて2つの四球を選ぶなど、しっかりとボールを呼び込もうという意識が強く感じられた。
九州大会の4試合では、7安打を放つだけでなく7つの四球も選んでおり、1番バッターとしての役割を見事に果たしている。
一塁到達タイムはコンスタントに4.0秒台を記録。三塁打での三塁到達でも11.23秒をマークしているように、脚力もかなり高レベルだ。
しかし、決して当てにいくようなスイングにならず、全身を使って強く振り切ることができているのもポイント。前述した鹿児島城西戦の三塁打は、技巧派の左サイドスローを相手にしっかり体を残して対応したもので、技術の高さを示した。
「超高校級サウスポー」から見事な一発
迎えた昨年11月の明治神宮大会。黒田はさらに成長した姿を見せつけた。
初戦のクラーク国際戦こそ1安打に終わったものの、続く日大三島戦では2安打をマーク。大阪桐蔭戦では、新2年生ながら「超高校級サウスポー」として注目を集めている前田悠伍の137キロ速球を完璧にとらえ、打った瞬間に分かる本塁打をライトスタンドへ叩き込んだのだ。
夏までは少しヘッドが中に入る動きが気になったものの、神宮大会では体の回転が鋭くなっており、引っ張る打球も明らかに力強くなっていた。
将来的なタイプは中距離バッターに見えるが、長打力も高校野球では上位のレベルと言える。
唯一、気になったのがセンターの守備面。打球の判断に少し迷うケースがあり、スローイングも高いレベルではそこまで目立つものがないように見えた。
ただ、脚力は一級品。秋に三塁からコンバートされたことを考えると、まだまだ成長の余地はありそうだ。
外野手としての総合力は高校球界でもトップクラスの選手であることは間違いないだけに、春の活躍次第では、今秋のドラフトで一気に上位候補に浮上することも期待できる。
☆記事提供:プロアマ野球研究所