目前に迫る金字塔
今年は現地時間4月7日(日本時間8日)に開幕することが決まったメジャーリーグ。
新労使協定をめぐる交渉の長期化により、当初の予定であった3月31日開幕は叶わなくなったが、その代わりに閉幕を3日遅らせ、ダブルヘッダーも行い、こちらは予定通り162試合を開催するという。
待ちに待った開幕を迎え、シーズン序盤戦からスポットライトを浴びる選手の一人がミゲル・カブレラ(タイガース)だろう。
2003年にマーリンズの一員として、弱冠二十歳でメジャーデビューを果たした右の強打者。類まれな才能はすぐに開花し、1年目から世界一も経験した。
その後も圧倒的なパワーと確かな選球眼を武器に「3割・30本」の常連に。タイガース移籍後の2012年には、メジャー45年ぶりの三冠王にも輝くなど、長らくメジャーで最も怖い打者の一人として相手投手を震え上がらせてきた。
そんな男も30代の後半を迎え、さすがに全盛期の打棒は衰えを見せている。それでも、今なおチームの中心的存在であることに変わりはなく、昨年8月には史上28人目の通算500本塁打を達成。そして、次に見据えているのが、「通算3000安打」という金字塔だ。
カブレラにつづくのは…?
昨季終了時点で、カブレラが積み重ねた安打は2987本。順調なら、39歳の誕生日(4月18日)を前に達成する可能性もあるだろう。
3000安打の大台に到達すれば、2018年5月に達成したアルバート・プホルス以来、4年ぶり史上33人目の快挙。2020年代になってからは初の「3000安打クラブ」入りとなる。
2010年代には、プホルスを含めて5人が3000安打を達成していた。
デレク・ジーター(2011)にはじまり、アレックス・ロドリゲス(2015年)にイチロー(2016年)も。さらにはエイドリアン・ベルトレ(2017年)、そしてプホルス(2018年)という錚々たる顔ぶれだ。
こうして見ると、10年代には2年に1人のペースで達成者が出ていたが、20年代は一転、カブレラだけになるかもしれない。
現役野手でカブレラに次ぐ安打数を誇るのは、今年10月に40歳を迎えるロビンソン・カノ(メッツ)で2624安打。昨季は2度目の禁止薬物違反のため162試合の出場停止となり、シーズンを丸々棒に振っていた。
年齢的にも、残り376本はハードルが高いと言わざるを得ないだろう。そうなると、続く候補は5月に32歳となるホセ・アルトゥーベ(アストロズ)だ。
カブレラと同じベネズエラ出身だが、こちらは小兵の二塁手。2014年から4年連続でシーズン200安打を記録するなど、昨季までの11シーズンで1777安打を積み重ねてきた。
3000安打を達成するためには、単純計算でシーズン150安打を9年間続けなければいけない。9年後はアルトゥーベが41歳を迎えるシーズンで、すでに2030年代に突入している。
まもなく迎えるであろうカブレラの金字塔……。その後はいつ、誰が達成することになるだろうか。
文=八木遊(やぎ・ゆう)