防御率0.90はチームトップでリーグ2位
開幕6連勝とド派手なスタートダッシュを決めた広島。
その後は3連敗を喫するも、19試合を終えた段階で12勝6敗1分の好発進。2位・巨人とはゲーム差なしとはいえ、勝率の差で首位に立っている。
打線は本塁打こそ12球団ワーストの4本だが、チーム打率.264と総得点86は12球団トップと絶好調。鈴木誠也(現・カブス)が抜けた穴をまるで感じさせないような得点力を誇っている。
一方の投手陣も、チーム防御率2.70はリーグトップ。特に先発陣は19試合中16試合でQS(6回以上投げて自責点3以下)を達成するなど、抜群の安定感でチームの快進撃を支えてきた。
なかでも圧巻の投球を見せているのが、6年目左腕の床田寛樹。ここまでの3戦すべてでQSを達成し、2勝負けなし。防御率0.90は大瀬良大地(3.38)や九里亜蓮(1.74)、森下暢仁(4.50)をしのいでチームトップで、リーグで見ても2番目という好成績。エース級の投球と言っていいだろう。
思えば初めて一軍に定着した2019年も、3月と4月の成績は良かった。
4月末時点では5試合・34.1回を投げて4勝1敗、防御率1.83と月間MVP級の活躍を見せている。
しかし、シーズントータルでは7勝6敗で防御率2.96。投球回も139.2回に留まり、規定投球回に惜しくも届かなかった。
2003年を最後に日本人左腕の規定投球回到達がない広島
広島の先発陣といえば、現在の大瀬良・九里・森下をはじめとして、近年は日本人右腕の活躍が目立つ。
少しさかのぼってみても、黒田博樹や前田健太(現・ツインズ)といった右腕がチームを引っ張っていた。
一方の左腕はというと、沢村賞を受賞したクリス・ジョンソンこそいたものの、日本人選手の名前はほとんど挙がってこない。
そこで、規定投球回に到達した日本人左腕を調べてみると、2003年の高橋建(現・投手コーチ)が最後となっている。
つまり、2004年から2021年までの18年間に渡って、日本人左腕の規定投球回到達者がひとりもいないのだ。
1980年代から1990年代前半にかけての広島には、大野豊や川口和久といった球界を代表する左腕がいた。
そこに入れ替わるようにして高橋建がチームに加入。3度の規定投球回到達など、先発ローテーションの一角を支えた。
しかしそれ以降は、河内貴哉や篠田純平といったドラフト1位指名の左腕でも、規定投球回に到達することがないままユニフォームを脱いでいる。
久しぶりに現れた日本人の左腕エース候補。左の先発の柱ができることは、チーム編成を考えても非常に大きい。
魔球パームボールとキレのいいストレートを駆使し、まずは規定投球回の到達を。
床田がその壁を乗り越えてキャリアハイの成績を残した時、2016年から2018年にかけてリーグ3連覇を成し遂げた“強い広島”が戻ってきているはずだ。