コラム 2022.05.27. 06:29

ロッテ・佐々木朗希、栄光への“第一歩”は交流戦から始まった…

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ロッテ・佐々木朗希、2度目の交流戦が幕を開ける…(C) Kyodo News

“令和の怪物”が甲子園のマウンドへ


 “令和の怪物”、ロッテ・佐々木朗希のプロでの輝かしき第一歩は、交流戦から始まったと言っても良いだろう。

 2021年、ロッテ入団2年目の佐々木は5月16日の西武戦でプロ初先発初登板。5回を4失点に抑え、勝利投手の権利を手にして降板したが、8回に追いつかれて引き分けたため、プロ初勝利は次戦に持ち越しとなった。




 それから11日後、5月27日の交流戦・阪神戦。佐々木はプロ2度目のマウンドに上がった。

 高校時代に岩手県大会決勝で敗れ、あと一歩で甲子園出場の夢を断たれた佐々木。2年遅れで実現した“聖地”のマウンドについては「高校生にとっては特別な場所ですけど、今の僕にとってはそうではない」とあくまでクールだった。

 そして、プレイボール。セ・リーグ首位を走る阪神を相手に、佐々木は物怖じすることなく150キロ超の速球(MAX154キロ)を連発。真っ向勝負を挑んでいく。



 初回は近本光司を左飛、中野拓夢を遊ゴロ、ジェフリー・マルテを三振と三者凡退に切って取った。だが、1-0とリードした2回、虎の中軸打線につかまる。

 先頭の大山悠輔に初安打となる右越え二塁打を浴びると、ジェリー・サンズにも遊撃内野安打を許して無死一・三塁。

 次打者・佐藤輝明にも内角低め152キロを流し打ちで左前に運ばれ、同点に追いつかれた。

 ここから佐々木は気持ちを切り替え、梅野隆太郎と小幡竜平を連続三振に切って取ったが、二死から投手のラウル・アルカンタラに150キロを右前に打たれ、1-2と逆転された。


「勝利の女神」は佐々木を見放さなかった


 さらに3回と5回にもサンズに連続タイムリーを許し、5回を7安打5奪三振4失点で降板。

 「自分の納得いく球は投げられなかった」と唇を噛んだ。


 だが、勝利の女神はけっして佐々木を見放さなかった。

 2-4で迎えた直後の6回に味方打線が爆発。二死から中村奨吾が四球で出塁。ブランドン・レアードも中前安打で続き、角中勝也の左越え2点適時二塁打で4-4の同点に。

 さらにロッテは二死二塁、藤岡裕大の一塁内野安打で勝ち越し。これで勝ち投手の権利を手にした。


 そして、今度はリリーフ陣が頑張る。

 その裏からの4イニングを4投手が無失点リレー。11日前の西武戦で佐々木のプロ初白星を消してしまった唐川侑己も8回を無失点に抑え、きっちり前回の雪辱をはたす。

 6-4の最終回も、守護神・益田直也が三者凡退で締め、佐々木にプロ初勝利をプレゼント。球団で10代の投手が白星を挙げたのは、2009年の唐川以来で2人目の快挙となった。

 井口資仁監督も「要所要所でミスも重なったりしたので、失点は増えましたけど、しっかり投げてくれたんじゃないかと思います」と評価。


 試合後、お立ち台に上がった佐々木は「うれしいです」と喜びをあらわにし、「ウイニングボールは両親に渡したいと思います」と語った。

 2011年の東日本大震災のときに父・功太さん(享年37)と祖父母を津波で失った佐々木は、以来、大好きな野球をやることで勇気と希望を貰ったことに感謝し、恩返しの思いから口にした言葉だった。

 「この1勝で終わらないよう、積み重ねていきたい」。早くもその目は、次なる目標に向けられていた。


村上宗隆との“怪物対決”


 6月10日のヤクルト戦、佐々木はプロ3度目のマウンドに上がる。

 初回は青木宣親への初球にプロ入り後初めてチェンジアップを試投したあと、155キロで見逃し三振に切って取るなど、三者凡退に抑えた佐々木だったが、2回・先頭の村上宗隆にカウント1ボール・1ストライクから151キロの真ん中低め速球を右中間席に運ばれた。

 「ストレートに力がある投手なので、振り負けないようにコンパクトにいきました」という村上が、“怪物の先輩”の意地を見せた強烈なプロの洗礼だった。


 だが、佐々木はプロ初被弾のショックもなく、「まだ2回。この1点を最低限に粘ればいいと、試合を作ることを優先していきました」と、まるでプロで何年もプレーしているような落ち着きぶり。

 直後、安打で二人の走者を出したものの、追加点を許さなかった。

 4回、村上との2度目の対決では「甘いところに行かないように意識した」と際どいコースに球を散らし、低めのスプリットで空振り三振。見事リベンジをはたす。

 1回と3回を除いて毎回走者を許しながらも、要所を締めて自己最長の6回を4安打5奪三振の1失点。本人も「総合的に試合は作れたし、前回よりも1イニングですけど、多く投げられて、失点も少なく抑えられて、良かったなと思います」と自信を深めた様子だった。

 1-1で降板したため、2勝目こそ付かなかったが、チームは8回にレアードの15号ソロで勝ち越して2-1の勝利。これも佐々木が最少失点で試合を作ったからこそだ。

 井口資仁監督も「チームにとって、最高の投球をしてくれたと思います。投げるたびに良くなっているので、次回も楽しみ」と目を細めた。


 翌11日、佐々木は「疲労を取らせてから次回に向けたい」(井口監督)と登録を抹消され、交流戦登板は2試合にとどまった。

 今年の交流戦は、5月27日の阪神戦が初登板。阪神はプロ初勝利の相手でもあり、あれから1年経って大きく成長した佐々木が、本拠地・ZOZOマリンを舞台にどんな快投を見せるか楽しみだ。


文=久保田龍雄(くぼた・たつお)



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