コラム 2022.05.30. 18:00

育成のソフトバンク、ここにあり【白球つれづれ】

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ソフトバンク・渡邉陸(右) (C) Kyodo News

白球つれづれ2022~第22回・ソフトバンクの新たな“育成の星”候補


 渡邉陸って、誰? よほどのソフトバンクファンでも、よもやの活躍だったに違いない。

 交流戦たけなわ。ソフトバンクのエンジンがかかってきた。

 27日からの対広島戦に3連戦3連勝。この間の総得点が26に対して失点はわずかに1だから爆発的な進撃である。

 28日の第2戦にはチームの勢いを加速させるスーパーヒーローが現れた。育成出身、4年目の渡邉陸選手だ。

 プロ初の先発マスクを被ると、打席では広島の森下暢仁投手から連続本塁打の離れ業を演じて3安打5打点の圧巻デビューを飾った。トラフト制後に初先発で複数アーチを記録したのは過去に4選手いるが、捕手に限ると1969年の阪神・田淵幸一以来53年ぶり。しかし、田淵氏と言えば東京六大学の花形スターとして鳴り物入りで入団した実力者に対して、渡邉は全く無名の叩き上げだから、ドラマチックな点ではこちらに軍配を上げたくなる。

 この試合では先発して4勝目を挙げた大関友久投手も育成出身、チームの好調の因はこうした戦力層の厚さにある。

 鹿児島・神村学園から18年の育成1位で入団、同期のドラフト1位は甲斐野央投手だった。187センチの大型捕手だが、将来性を買われての入団。1軍には侍ジャパンの正捕手である甲斐拓也選手がいる。昨季まではベテランの高谷裕亮選手が2番手に控えていたが、今季はその高谷の引退でつけいる隙が出来た。ワンチャンスをモノにして這い上がるのが、育成選手の生きる道である。

 広島との第3戦では牧原大成選手が2安打、交流戦から一軍復帰した周東佑京選手が今季初本塁打で揃ってお立ち台に立っている。彼らもまた、育成出身の苦労人たちだ。


一貫した育成法と激しい競争社会が成長を促す


 ソフトバンクの育成と言えば、前述の甲斐と千賀滉大投手の黄金バッテリーが代表格、他にも石川柊太投手らがエース格として成長している。

 今でこそ、各球団も育成システムに力を注ぎだしたが、ソフトバンクの育成枠は今季開幕前の時点で38選手を数えている。もはや、育成枠と言うよりも3軍の位置づけで、2軍とのは激しい競争社会が、成長を促し、そこで勝ち抜いた者だけが1軍へのチャンスを手にする。

 さらに、ソフトバンクの育成法の特徴は1軍から育成枠まで指導が一貫しているところに特徴がある。

 今季から1軍に昇格した藤本博史監督は長年にわたってファームの指導者を務めてきた。2軍、3軍の監督も歴任して、若手の特徴も把握しているから、思い切った抜擢も出来る。

 加えて、今季から特別チームアドバイザーの肩書が加わった王貞治球団会長の存在も大きい。

 まだ、支配下登録選手となったばかりの今春のキャンプで渡辺は自ら王会長のもとに出向いて打撃指導を受けている。それだけではない。捕手としてのイロハをコーチだけでなく、城島健司球団会長付アドバイザーからも指導されている。「世界の王」や、メジャーまで上り詰めたレジェンドの直接指導を受けられれば目の色も変わっていく。

「あと、何年か後には(甲斐と)肩を並べていくんじゃないか? それだけの力は持っている」と藤本監督が渡邉の将来性を評価する。あの甲斐だって、末端から這い上がってレギュラーの座を掴んだのだから、あながち夢物語とばかりは言えない。

 開幕から8連勝の快スタートを切ったチームはその後、主軸の栗原陵矢選手が左膝靱帯断裂の大けがや、柳田悠岐選手の一時離脱などで、勢いを失ったがここへ来て、再び上昇モードを取り戻しつつある。その原動力となっているのが育成出身の選手と言うのがソフトバンクらしい。

 30日現在、首位を行く楽天とは0.5差。再奪取も手の届くところまで来た。

 チーム内の競争が新たな活力を生む。昨年は交流戦優勝のオリックスがペナントレースも制した。今年はソフトバンクの番か。

 若鷹たちの躍動から目が離せない。


文=荒川和夫(あらかわ・かずお)

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