新人王レースを展望【セ・リーグ】
交流戦も終わり、シーズンの“折り返し地点”も見えてきた2022年のプロ野球。
17日(金)のリーグ戦再開を前に、これまでの活躍をもとにセ・パ両リーグの新人王候補を本命・対抗・大穴に分けておさらいしておきたい。
本命:大勢(巨人)
もし現時点で投票があれば、巨人のドラ1・大勢が満票で選出されることになるだろう。
ルーキーながら開幕から巨人の守護神という重責を担い、すでに21セーブを挙げている右腕。このペースを維持できれば、2005年の岩瀬仁紀(中日)と2007年の藤川球児(阪神)が記録したセ・リーグのシーズン記録「46セーブ」に迫る計算だ。
恵まれた体格から投げ込まれる威力抜群の直球はまさに守護神のそれ。ウイニングショットのフォークボールはもちろん、ピンチを迎えても動じないメンタルの強さが何よりの武器といえるだろう。
首位を走るヤクルトに食らいついて行くためにも、大勢の活躍は絶対。シーズン最後まで守護神の座を守り抜けば、1年目から胴上げ投手の可能性も出てくるだろう。
意外にも、セ・リーグ6球団の中で最も新人王から遠ざかっているのは巨人。2011年の澤村拓一(現・レッドソックス)以来となるインパクト大の新人王は生まれるだろうか。
対抗:湯浅京己(阪神)
大勢に対抗するのは、阪神の「8回の男」湯浅京己だろう。
今季はここまで23試合に登板して防御率は0.82。16ホールドは今村信貴(巨人)を1個差で追うリーグ2位の好成績だ。
大勢とは同学年の22歳だが、湯浅は2018年のドラフト6位で入団したプロ4年目右腕。一軍定着は今季が初めてとなるが、すでにプロ野球選手として3シーズン過ごしてきたことは大きな強みとなり得る。
16試合連続無失点を継続中だが、6日に一軍登録を抹消された。これは疲労回復を目的とするもので、リーグ戦再開の17日(金)から一軍に戻って来ると見られる。
セの新人王争いをリードする2人の防御率を比べると、大勢が「2.19」で湯浅が「0.82」。その数字からも抜群の安定感が伝わってくる。
ただし、救援投手は投球回数が少ない分、1度や2度の“炎上”で一気に防御率が悪化する恐れもあるため注意が必要だ。
大穴:長岡秀樹(ヤクルト)
そこで大穴候補として名前を挙げておきたいのが、ヤクルトの長岡秀樹だ。
高卒3年目の遊撃手は、開幕戦で4安打を放つ大暴れを見せて定位置を獲得。ここまで全62試合でスタメン出場を果たしている。
4月上旬までは打率3割をキープしていたが、その後は2割台の前半まで急降下。6月は月間打率.135と苦しんでいるが、その中でも勝負強い打撃が光っている。
打率は.240ながら、得点圏打率は.294をマーク。特に満塁の場面では7打数4安打、8打点という無類の強さを誇る。
打点26は村上宗隆と山田哲人、塩見泰隆に続くチーム4位。守備には定評があるだけに、本塁打や盗塁といった数字を伸ばすことができれば、投手優位の新人王争いでも主役に加わる可能性は十分にありそうだ。
名前が挙がった3人以外にも、髙橋宏斗(中日)や西純矢(阪神)といった先発右腕にもまだチャンスが残っている。
ペナント争いとともに、今後の新人王争いからも目が離せない。
文=八木遊(やぎ・ゆう)