コラム 2022.06.20. 20:50

無双状態、ヤクルト・村上がメジャーに行く日【白球つれづれ】

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ヤクルト・村上宗隆 (C) Kyodo News

白球つれづれ2022~第25回・日本一のスラッガーに成長した村上のメジャー挑戦を占う


 前パドレス傘下・エルパソからフリーエージェントになっていた秋山翔吾選手の退団と日本球界復帰が決定的となった。

 注目の去就は、現時点で古巣の西武が獲得オファーを明言、ソフトバンクも調査することを明らかにしており、どうやらこの2球団に絞られそうだ。

 あのイチロー以来の安打製造機として、海を渡った秋山だが、メジャーの剛速球と手元で動く変化球に対応できずに苦しんだ。

 秋山に限らず、今季からカブスに入団した鈴木誠也選手も開幕直後は大活躍したが、その後は不振と故障が重なってスタメンから外れている。パイレーツの筒香嘉智選手もマイナー落ち。投打二刀流の大谷翔平選手を除いては、日本人野手の評価は決して高くない。

 パワー全盛のメジャーリーグでレギュラーを張るには最低20本塁打以上の長打力が必要とされる。年齢的にも30歳を過ぎると若手有望株に取って代わられる確率は高い。日本人野手としてメジャーでも認知されたのは最高打率を残したイチローとワールドシリーズMVPに輝いた松井秀喜氏くらいか。それほど世界の壁は厚く、険しい。

 そこで、この先にメジャーで活躍できそうな野手は誰か?とイメージするとヤクルトの村上宗隆選手に行き着く。


 19日の広島戦では20、21号を連発して3打数3安打2打点。打率も3割台に乗せてベストテンの2位まで上昇、今、最も三冠王に近い男だ。

 22歳での2年連続の20号一番乗りは、リーグの最年少記録を塗り替えた。直前の交流戦ではMVP。ホームランのなかった18日の広島戦では3盗塁も決めている。チームは首位を独走、目下、向かうところ敵なしの無双状態である。

 球史に残る「怪童」中西太氏の記録に肩を並べ、抜いてきた。188センチ、97キロの巨体から放たれる打球はけた外れに凄い。21本の本塁打中、半数近くが中堅から左翼方向に叩き込む。広角な打撃術があれば、打率も残る。

 今季の三冠レースを占ってもライバルの岡本和真選手(巨人)は好不調の波が大きく、打率面は苦しい。牧秀悟選手(DeNA)は長打力の点で劣り、40ホーマー以上は期待薄。パ・リーグに目を転じても本塁打で独走する山川穂高選手(西武)は過去に3割マークしたことがない。今や村上が日本一のスラッガーと言っても異論はないだろう。

 今でもメジャー関係者の間で「ムラカミ」の名前は知れ渡っている。一部では今すぐメジャーに挑戦しても「3年3000万ドル」(約40億円)の高額提示まで予想されると言う。


村上のメジャー行きは26歳で現実味?


 そんな村上のメジャー挑戦にネックとなるのはプロ5年目、22歳の若さだ。

 現行のFA制度にあって、海外のFA権を取得するには、年間145日の一軍登録を取得したうえで9年とある。プロ1年目は権利を取得していない村上の場合は、今後最短で28年にフリーとなる計算だ。あと6年、28歳の年となる。

 ちなみに松井がヤンキースに入団したのは28歳、直近では鈴木誠也が27歳でカブスのユニホームに袖を通した。

 特例は大谷で日本ハムに5年間在籍後の2017年にはポスティングシステムを活用してエンゼルスに移籍している。24歳の若さだった。

 今春のテレビ番組で、メジャー志向を問われた村上は「そのステージに立ちたい思いはある」と語っている。そうなると、今後注目されるのは球団への貢献度と高額になる年俸問題である。

 昨年はチームを日本一に押し上げてシーズンのMVPに輝いた。今季もここまでの働きは文句なしの特A級。今季の推定年俸(以下同じ)は2億2000万円とされている。このペースで活躍を続ければ2年後には球団最高、山田哲人選手の5億円に肩を並べる勢いだ。

 球界全体を見ても最高年俸は田中将大選手(楽天)の9億円だが、これはメジャーから復帰した特例。次は柳田悠岐選手(ソフトバンク)の6億2000万円で、さらに千賀滉大(ソフトバンク)坂本勇人、菅野智之(いずれも巨人)各選手の6億円が続く。今の球界では6億が上限と言ってもいいだろう。

 これをもとに計算すると村上は3~4年後にはそのラインまで到達してもおかしくない。球団としても経営上はギリギリの高額、つまり村上のメジャー行きはポスティングシステムを使って、26歳あたりで現実味を帯びて来るはずだ。

 連覇に向けて視界良好、ご機嫌なツバメ党には「何を寝とぼけたことを」とお叱りを食いそうだが、一方でメジャーの日本人野手の評価が芳しくない昨今、せめて村上の豪打でそんな見方も吹き飛ばしてみたい気もする。

 それほどまでに22歳の若武者の存在感は圧倒的である。

文=荒川和夫(あらかわ・かずお)

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