コラム 2022.06.28. 06:44

日本航空石川の“巨漢スラッガー” 内藤鵬に西武、中日などが熱視線

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日本航空石川・内藤鵬 [写真提供=プロアマ野球研究所]

180センチ・100キロの恵まれた体格


 6月18日、全国49地区の先頭を切って、沖縄で開幕した高校野球の地方大会。

 7月に入ると、各地で甲子園出場をかけた熱闘が本格的にスタートする。




 今回は、その地方大会で大きな注目を集めることが予想される“巨漢スラッガー”を紹介したい。

 2018年の選抜高校野球では準々決勝に進出、2020年のドラフト会議では嘉手苅浩太がヤクルトから6位で指名されるなど、近年北信越で着実に存在感を増している日本航空石川。

 そんなチームにあって、いま高い注目を集めているのが内藤鵬だ。



▼ 内藤鵬(日本航空石川)
・三塁手 
・180センチ/100キロ 
・右投右打

<春季北信越大会成績>
3試 率.636(11-7) 本1 点7
打席14 二塁打2 三塁打0 四死球3
出塁率.714 長打率1.091 OPS1.805

<各塁へのベスト到達タイム>
一塁到達:4.68秒


1年秋から4番に抜擢


 愛知県名古屋市出身の内藤。中学時代は軟式の強豪クラブチームとして知られる、東山クラブでプレーしていた。

 日本航空石川に進学後は1年秋から4番を任されると、その年の北信越大会でも2試合で5安打・5打点の活躍を見せている。


 その名前が一躍広まるキッカケとなったのが、翌年春の県大会だ。

 初戦の金沢錦丘戦で2本の本塁打を放つと、その後もアーチを量産。チームは決勝で小松大谷に敗れて準優勝に終わったものの、5試合で5本塁打の大活躍を見せたのだ。


 筆者が初めてプレーを見たのは1年秋の北信越大会・上田西戦だったが、当時から1年生離れしたスイングスピードと打球はひと際目立つものがあった。

 そんな内藤の最終学年での成長を確かめるべく、6月4日に行われた春季北信越大会・敦賀工戦に足を運んだ。


 内藤は4月に守備練習で左肩を痛め、県大会では決勝戦1試合のみの出場だったが、この日は元気に「4番・三塁」で先発出場を果たす。

 まず、1年秋と比べて大きく成長が感じられたのが三塁の守備だ。

 身長180センチ、体重100キロというプロフィールからも分かるように巨漢選手だが、打球に対する反応は決して悪くない。

 グラブさばきや持ち替えの速さなどには課題が残るものの、緩いゴロを処理する際の細かいステップワークもかなり練習してきたことが伺えた。

 また、スローイングも少し上半身の力に頼るところはあるが、投手としても140キロ近いスピードを誇るだけあって、強肩と形容できるレベルである。

 上のレベルでもしっかり鍛えれば、三塁で勝負できる潜在能力は十分に持っていると言えるだろう。


ヘッドスピードと打球の速さは高校生でトップクラス


 さらに素晴らしかったのが、やはり最大の持ち味であるバッティングだ。

 第1打席は、実戦不足からか緩いボールにタイミングを外されて空振り三振に倒れた。

 だが、第2打席では内角低めのボールをとらえて左中間への二塁打を放つと、ストレートの四球を挟んだ第4打席では外寄りの変化球をレフト線へ引っ張っての適時二塁打。

 さらに、最終打席となった第5打席は緩い変化球をライト前に落とし、3安打・2打点と4番として十分な結果を出したのだ。


 2本の二塁打はいずれもあっという間に外野の後ろへ到達する当たりで、その打球の速さは圧倒的なものがある。

 この日は少し打球に角度がつかなかったが、いつでもスタンドを超えそうな雰囲気は十分だった。ヘッドスピードと打球の速さは間違いなく、高校生ではトップクラスだろう。


西武は「4人体制」、中日は「3人体制」で熱心に視察


 そして、内藤の長所は決してパワーだけではない。安定して打てるだけの高い技術力を備えている。

 巨漢でスラッガータイプの選手の場合、体を回転させるのに大きな力が必要になる。このため、どうしても反動をつける動きが大きくなり、体の開きが速くなることが多い。

 しかし、内藤はそのようなことが全くない。しっかりとボールを近くまで呼び込んで、体を残したまま鋭く振り出し、スムーズに引っ張ることができるのだ。


 前述したように第1打席こそタイミングを外されたが、最終打席には緩いボールにも何とかついていってヒットにできるところにも、対応力の高さがよく表れている。

 日本航空石川の中村隆監督に話を聞くと、これまで見てきた高校生の中でもバッティングに関しては圧倒的なものがあると話していた。


 この日のスタンドには8球団・20人以上のスカウトが集結しており、西武は「4人体制」、内藤の地元・名古屋に本拠地を置く中日は「3人体制」という熱の入れようだったが、その前で大きなアピールとなったことは間違いない。

 この後の北信越大会2試合でもヒットを重ね、決勝戦では待望の一発も放つ大活躍。チームを優勝に導いている。

 夏の石川大会ではこれまで以上に厳しいマークが予想されるが、持ち前の打棒で夏の甲子園への切符を掴む活躍を見せてくれることを期待したい。


☆記事提供:プロアマ野球研究所
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