コラム 2022.07.05. 06:44

“二刀流”に“157キロ右腕”…ドラフト候補が躍動! 侍ジャパン・大学代表の実力は?

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日本体育大・矢澤宏太 [写真提供=プロアマ野球研究所]

侍ジャパン・大学代表が始動


 7月8日から15日まで、オランダで行われる「第30回 ハーレムベースボールウィーク」。

 この大会に出場する侍ジャパン・大学代表のメンバーを決める選考合宿が6月18日から20日までバッティングパレス相石スタジアムひらつか(神奈川県平塚市)で行われ、最終日に代表選手24名が発表された。




 全国から精鋭が集結するとあって、スタンドには連日多くのプロ野球のスカウト陣や社会人野球の関係者も訪れていた。

 代表入りはもちろんのこと、今年のドラフト会議に向けてアピールに成功した選手は誰だったのか……。

 今回は2日目と3日目に行われた紅白戦を中心にレポートしたい。



“二刀流”・矢澤宏太が高い運動能力を見せつけた


 最大の注目選手といえば、日本体育大の二刀流・矢澤宏太(4年/投手兼外野手)になる。さすがのプレーを見せて順当に代表に選出された。

 まず投手では、紅白戦の第1試合に白組の先発投手としてマウンドに上がると、初回こそ先頭打者に四球を与えたものの、それ以降は走者を許さず2回を被安打0、1奪三振で無失点と安定したピッチングを披露した。


 ストレートの最速は149キロをマークした一方、それ以上にスライダーが素晴らしかった。

 紅組の3番に座った名城大の野口泰司(4年/捕手)から、このボールで空振り三振を奪っている。

 野手としては、第2試合の2打席目にライト前への適時打を放ち、その後に行われた50メートル走では全選手でトップとなる5.98秒をマークした(※タイムは光電管を使った計測で、スタートは自由なタイミング)。改めて、スカウト陣に高い運動能力を見せつけた格好だ。


ドラフト候補の4年生投手がアピール


 その他の投手でアピールに成功したのが、九州産業大・渡辺翔太と亜細亜大・青山美夏人、白鴎大・曽谷龍平、専修大・菊地吏玖、慶応大・橋本達弥の5人。いずれも4年生である。

 渡辺と青山の2人は、ともに2回をパーフェクトピッチング。渡辺はストレートこそ140キロ台前半が多かったものの、鋭く変化するスライダーを両コーナーに投げ分けて4三振を奪った。

 リーグ戦では惜しくもチームが2位となって大学選手権出場を逃しただけに、良いアピールになったはずだ。


 青山は大学選手権優勝の勢いそのままに、最速151キロのストレートを武器に堂々たるピッチングを披露した。

 2イニングで投じた球数はわずか20球。コントロールが光った。


 曽谷は2イニング目にヒットと2つの四球で満塁のピンチを招いたものの、2つの三振を奪い無失点。ストレートの最速も151キロをマークしている。

 メンバーに選ばれたサウスポーは矢沢と曽谷だけであり、貴重な存在となるだろう。


 また、菊地は四球、橋本は味方のエラーで出塁を許したもののノーヒットピッチング。ともにストレートは152キロをマークしており、打者を圧倒した。

 この5人は有力なドラフト候補であり、今後も高い注目を集めることになるだろう。


法政大・篠木健太郎が最速157キロをマーク


 一方、下級生で詰めかけたスカウト陣とファンだけではなく、参加選手をも驚かせたのが法政大・篠木健太郎(2年)である。

 マウンドに上がった最初の投球で、合宿参加者で最も速い157キロをマーク。

 その後も150キロを超えるストレートを連発し、全て空振りで4奪三振をマークした。

 2イニング目は少し単調になったところを打者にとらえられ、3失点と結果としてはいまひとつだったが、ボールの勢いが評価されて2年生ながら代表に選出された。

 起用法はどうなるか分からないが、1イニング限定であればストレートで外国人打者を圧倒することも期待できそうだ。


 野手に目を転じると、3試合で長打はわずかに1本。全体的に打撃が低調だったが、その中でも存在感を見せたのが早稲田大・蛭間拓哉(4年/外野手)だ。

 2試合目に右安打を放つなど、4打席で3度の出塁(残りの2出塁は死球と四球)。守備では右飛でセカンドからタッチアップを狙った走者をサードへの見事な返球で補殺を記録した。

 東京六大学で通算12本塁打の長打力に注目が集まる一方、守備と走塁でも高い能力があるところをアピールした。


守備で魅了した選手は…?


 リードオフマンタイプで光った選手は、駒沢大・林琢真(4年/内野手)と天理大・友杉篤輝(4年/内野手)だろう。

 林は参加選手で唯一となるマルチ安打を放つなど高いミート力を見せた(3試合で5打数2安打)。

 さらに50メートル走でも、参加選手で2番目となる5.99秒をマーク。守備でも本職のセカンド以外のサードに入り、軽快な動きを見せていた。


 一方の友杉は6人が守っていたショートの守備で圧倒的なフットワークを披露。スカウト陣へのアピールに成功した。

 名手が揃う中でも、その守備範囲の広さは圧倒的。スローイングにも安定感があった。

 本大会ではショートに入るかセカンドに入るかは微妙なところだが、内野の“守備の要”となることは間違いないだろう。


 昨年12月の代表合宿で見事なプレーを見せていた富士大・金村尚真(4年/投手)や、中京大・沢井廉(4年/外野手)、大学選手権でMVPに輝いた亜細亜大・田中幹也(4年/内野手)が新型コロナウイルスのワクチン接種の関係で不参加だったのは残念だったが、ハイレベルな選考会で多くの選手がスカウト陣にアピールしていた。

 国際大会でも見事なプレーを見せて、優勝を勝ち取ってくれることを期待したい。


☆記事提供:プロアマ野球研究所
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