課題とされる打撃でも上々の数字を残す
日本ハムのドラフト9位ルーキー・上川畑大悟が、その存在感を着々と高めている。
7月9日に行われたソフトバンク戦でも「2番・遊撃」で先発出場すると、“らしさ”を随所に発揮した。
打席では、5回無死一塁の場面でライトへの安打を放って一・三塁とチャンスを拡大。近藤健介の勝ち越し犠飛を呼び込んだ。
また、好調の1番・松本剛がことごとく出塁していたことにもよるが、3度の犠打を早いカウントできっちりと決めているところも勝ちが高い。
かつて日本大学時代には侍ジャパンの大学代表に選出されたこともあったが、自ら打撃に課題があるとしてプロ入りを断念した経緯がある。それから社会人・NTT東日本で打撃にも磨きをかけ、ここまでの打率は打率.290。規定打席には到達していないとはいえ、ルーキーイヤーから健闘を見せている。
また、身長167センチと小柄ながらパンチ力も兼ね備え、ここまで27安打で2本塁打をマーク。長打率は.419を誇っている。
さらに四球を選ぶ選球眼もあり、出塁率も.377。攻撃面での貢献が目を引く。
井端弘和、宮本慎也ら守備職人たちも絶賛
もちろん、もともと評価の高かった守備はさすがというところで、この日のソフトバンク戦でも好守備を連発。
社会人時代の恩師でもある井端弘和氏や、宮本慎也氏といった守備の名手として知られるOBたちも、上川畑の守備を絶賛しているという話もある。
加えて、ここまで決して成功率は高くはないものの、この試合でも1盗塁を決めるなど、盗塁できる足もある。まさに、打てて守れて走れる便利屋というわけだ。
翌7月10日の同カードでも、安打と盗塁こそなかったが、1四球・1犠打をマーク。ベンチが期待する役割をしっかりと果たしている。
さまざまな役割を器用にこなし、どのチームも「こんな選手がひとりは欲しい」と思うのが上川畑ではないか。
これだけの選手を、支配下選手としてはドラフトで全体最後である77番目の指名、ドラフト9位で獲得できたのだから、ファンからは「掘り出し物」という声も聞かれる。
もちろん、これからプロの壁にぶつかることもあるだろう。しかし、ここまでの活躍ぶりを見ている限り、そういった壁も持ち前の器用さで乗り越え、ゆくゆくは源田壮亮のような球界を代表する遊撃手に成長するのではないかという期待すら持たせてくれる。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)