コラム 2022.08.03. 06:29

「ギータ2世」の呼び声も…佐伯鶴城のスラッガー・古川雄大に複数球団が熱視線

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佐伯鶴城・古川雄大 [写真提供=プロアマ野球研究所]

「右のギータ」になり得る逸材


 いよいよ8月6日に開幕する『第104回全国高等学校野球選手権大会』。

 7月31日には全49地区の代表校が出揃い、今年も甲子園の夏がやってくる。




 高校生のドラフト候補にとっては、この地方大会から甲子園というのが秋のドラフトに向けた最後のアピールの場となる。

 ここでは、残念ながら甲子園出場は叶わなかったものの、地方大会で良いアピールを見せた選手たちを紹介していきたい。

 今回取り上げたいのが、九州地区でプロのスカウト陣から高い注目を集める大型外野手・古川雄大だ。



▼ 古川雄大(佐伯鶴城)
・外野手
・186センチ/91キロ
・右投右打

<各塁へのベスト到達タイム>
二塁到達:8.08秒


ソフトバンク、ヤクルトのスカウト陣が熱視線


 元広島監督・野村謙二郎氏の母校で、夏の甲子園3度の出場を誇る大分県立佐伯鶴城高校。ただ、近年は明豊や藤蔭、大分商などの後塵を拝しており、甲子園や九州大会出場からは遠ざかっている。

 そんな大分の古豪に現れた注目株。中学では佐伯ボーイズでプレーをし、当時から大分県内では評判の選手だった。明豊など強豪校からの熱心な誘いも受けた中、地元でプレーすることを優先して佐伯鶴城に進学したという。


 1年秋から公式戦に出場すると、昨夏は背番号20だったものの、初戦では4番として出場。昨秋の新チームからは不動の中軸としてプレーしている。

 この夏の初戦(2回戦)となった大分国際情報戦では9球団・25人のスカウトが集結。地元のソフトバンクは「4人体制」で視察に訪れていたという。


 筆者が現地を訪れたのは、3回戦の大分南戦(試合は5-3で佐伯鶴城の勝利)だった。

 この日は初戦に比べると少なかったものの、それでも5球団・8人のスカウトが視察に訪れていた。

 特にヤクルトは、小川淳司GMも顔を見せるなど「3人体制」という熱の入れようだった。


 スカウト陣が熱い視線を送るなか、古川は試合前から高い能力をアピールする。

 シートノックでは、抜群の脚力を生かしてダイナミックな動きを見せると、サードやホームに勢い十分の返球を連発した。

 サードへの返球は、高く浮いてそのまま三塁側のフェンスに直撃するなど少しコントロールには課題が残るも、投手として140キロを超えるスピードを誇るだけあって、その肩の強さは高校生離れしている。


将来の「中軸候補」となりうる原石


 さらに、この日は最大の持ち味であるバッティングでスカウト陣に大きくアピールした。

 第1打席は低めの変化球に崩されて空振り三振に倒れるも、第2打席ではセンター右への二塁打。

 第3打席ではレフト前への安打を放てば、8回の第4打席では試合を決定づける2ランを左中間スタンドへ叩き込んだ。


 試合が行われた「別大興産スタジアム」(大分市)は両翼100メートルで、センターは122メートル。

 外野フェンスもかなりの高さがあるが、そんな広い球場でも打った瞬間のそれと分かる特大の一発だった。

 身長186センチ・体重91キロという堂々とした体格で、スイングの動きに鈍重なところがなく、鋭く体を回転させてヘッドを走らせることができる。

 この試合を訪れる前に、古川についてある球団の九州担当スカウトに聞いた際には「試合では会心の当たりは少ないが、練習での飛距離はとにかく凄い」と話していた。その言葉通りのバッティングだった。


 第1打席で簡単に空振り三振した時は確実性に課題があると感じたが、その後はストレートを右中間に運び、第3打席・第4打席では変化球をとらえたように、試合中に修正できるようになったのは大きな成長と言えるだろう。

 ちなみに、対戦相手だった大分南のエース・橋口翌麻(3年)は最速141キロをマークしており、変化球の精度も高い好投手だった。そんなピッチャーを相手にしっかりと結果を残したことは、スカウト陣に評価されそうだ。


 これだけのサイズがあって長打力だけでなく、運動能力も高いというのは、プロにとっても非常に魅力的な選手であることは間違いない。

 一部メディアでは「柳田悠岐2世」とも報じられている古川。将来の中軸候補が不足している球団には、うってつけの人材と言えるのではないだろうか。


☆記事提供:プロアマ野球研究所
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