抜群の安定感でチーム最多8勝
8月に入ってから、DeNAが調子を上げてきた。11日終了時点で貯金3の2位につけ、首位のヤクルトとはまだ7ゲーム差があるものの、6月22日時点で14.5ゲーム差の最下位だったことを考えると大躍進といっていいだろう。
そんなチームを支えているひとりが、先発ローテーションの一角を担う大貫晋一だ。大貫は今シーズン初登板となった3月26日の広島戦こそ4回7失点(自責6)と打ち込まれたが、それ以降は15試合連続で5回以上を投げ自責点は2以下と安定した投球を披露。ここまでチームトップの8勝(4敗)をマークしており、先発ローテの柱としてチームを牽引している。
わずかに規定投球回には届いていないものの防御率2.40は立派な数字。このままの調子を維持できれば、2020年以来となる自身2度目の2桁勝利到達も時間の問題だろう。
複数回にわたり2桁勝利を達成することは、先発ローテーション投手としてしっかりと活躍した証である。そう言葉にすると簡単ではあるが、実際に複数回達成することは、なかなかハードルが高いものでもある。
右腕の2桁勝利複数回達成なら“番長”以来
現在のDeNAの投手で、複数回にわたり2桁勝利を達成している投手は、今永昇太たったひとり。右腕に限れば2010年代以降の期間において、複数回達成した投手は外国人投手を含めても誰ひとりいない。三浦大輔現監督が、2009年に自身7回目となる2桁勝利(11勝)を挙げたのが最後となっている。
それ以降、大貫以外では、清水直行、久保康友といった移籍組。現在は巨人でプレーしている山口俊と井納翔一。外国人選手ではジョー・ウィーランドが2桁勝利を達成しているが、いずれもDeNA所属中では1度の達成にとどまっている。
また、2010年代以降で複数回達成した右腕がいないのは12球団でDeNAのみとなる。先発右腕に関しては、新人の育成、または外国人投手の獲得においても、うまくいっていないというのがDeNAの実情なのである。
事実、DeNAの現在の先発投手は、今永、濵口遥大、石田健大、坂本裕哉と左腕の名前がずらりと並ぶ。まもなく復帰する東克樹も左腕だ。
DeNAにとって大貫は、まさに待望の先発型右腕。これから終盤にかけて上位争いに食い込んでいくためにも、大貫の2桁勝利達成は絶対条件になるだろう。
▼ 大貫晋一の今シーズン成績
登 板:16試合(93回2/3)
防御率:2.40
勝 敗:8勝4敗
WHIP:1.11
K/BB:3.76
奪三振率:7.59
※数字は2022年8月11日終了時点