コラム 2022.08.16. 06:44

一夜限りの「プロアマ記念試合」 スカウト陣にアピールした選手は…?

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日体大・矢澤宏太 (C) Kyodo news

“異例の二刀流”がプロ相手に見事な結果


 8月1日、神宮で行われた『野球伝来150年 プロアマ記念試合』。

 対戦したのはU-23 NPB選抜と大学生・社会人選抜チーム。NPB選抜は今季途中から投手に転向した根尾昂(中日)が先発マウンドに立ち、清宮幸太郎(日本ハム)が4番で出場したことなどが話題となった一方で、プロのスカウト陣が注目したのは、もちろん大学生・社会人選抜のドラフト候補たちだ。




 年齢も近いプロの選手と直接勝負で実力を比較することができるとあって、ネット裏には全12球団のスカウトが集結した。今回はスカウト陣が熱い視線を送るなかで、アピールに成功した選手をピックアップしたい。

 この試合で最も強いインパクトを残した選手といえば、大学生としては“異例の二刀流”として注目を集めている日本体育大の矢澤宏太だろう。

 投手としては、7回からマウンドに上がると、投球練習からストレートは150キロを超え、最速は151キロをマーク。正木智也(ソフトバンク)に適時二塁打を浴びて1点は失ったものの、1イニングで2奪三振とさすがのピッチングを見せた。



 特に素晴らしかったのが決め球のスライダー。手元で鋭く変化するボールに、プロの打者も度々体勢を崩されていた。

 適時打を浴びるまではあえてストレートにこだわっていたように見えただけに、最初から変化球を混ぜていれば無失点で抑えていた可能性は高いだろう。


 また、打者としては、最初の打席でライト線への適時打を放って2打点をマーク。

 追い込まれてからの低めの難しい変化球に対応したもので、打撃でもプロを相手に見事な結果を残した。

 つづく小川晃太朗(Honda鈴鹿)の右安打では、快足を飛ばしてサードまで進塁。そのスピードに、詰めかけた観客から大きなどよめきが上がっていた。

 投手・野手どちらで評価するかは球団によって判断が分かれそうだが、プロでも二刀流の可能性を感じさせたことは間違いない。


投打で注目候補が躍動


 大学生・社会人選抜は6人の投手が登板したが、最も素晴らしいピッチングを見せたのが、最後に登板した慶応大の橋本達弥だ。

 チームが2点差に追い上げた8回裏からマウンドに上がると、藤原恭大(ロッテ)とブライト健太(中日)から連続三振を奪うなど、三者凡退に抑える好投を見せた。

 ストレートの最速は矢澤と並ぶ151キロをマーク。さらに、打者の手元で鋭く落ちるスプリットのブレーキも素晴らしく、それまで2安打を放つなど快音を連発していた藤原のバットがあえなく空を切った。

 リリーフであれば早くからプロでも戦力になる可能性は高そうだ。


 一方の野手でさすがの存在感を見せたのが、目玉候補の1人である早稲田大の蛭間拓哉である。

 第1打席は根尾の前に中飛に倒れたものの、第2打席では森木大智(阪神)の150キロを超えるストレートに振り負けることなくレフトへ運ぶ安打。さらに第3打席でもセンターオーバーの二塁打を放ち、マルチ安打を記録した。

 8.00秒を切れば俊足と言われる二塁到達タイムは、少し流しながらも7.99秒をマーク。普段は蛭間のプレーを見ていないプロ野球ファンからも、たくましい体格での迫力あるベースランニングに歓声が起こっていた。


 野手で矢澤と蛭間を上回る活躍を見せたのが、「6番・二塁」で出場した三菱重工East・中山遥斗だ。

 第1打席は当たり損ないのラッキーな安打だったが、見事だったのが第2打席。4番手で登板したカーター・スチュワート・ジュニア(ソフトバンク)の154キロを完璧に弾き返し、中前安打にして見せたのである。

 NPB選抜の投手陣の多くは150キロを超えるストレートを投げ込んでおり、そのスピードに押される選手も多かった。そんな中でも、最速・平均球速ともに最も速かったスチュワート・ジュニアのストレートを一振りで仕留められるというのは、高いミート力とヘッドスピードの速さの証明である。

 さらに第4打席でもレフトへ引っ張って二塁打とし、計3安打を記録。二塁の守備でも堅実なプレーを見せた。所属チームは都市対抗予選で敗れ、自身も補強選手に選ばれなかっただけに、この試合への思いも強かったようだ。


 試合は8-6でNPB選抜が勝利した。プロ側の若手選手たちも、同世代のアマチュア選手とプレーすることで得られた刺激は大きかったはずだ。

 アマチュア選手のアピールの場として、今後もこのような試合が継続的に行われていくことを望みたい。


☆記事提供:プロアマ野球研究所


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