コラム 2022.09.06. 06:29

近江のエースに○○適性あり?「侍ジャパンU-18壮行試合」で活躍したドラフト候補

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近江・山田陽翔

アマ球界の注目株が集結!


 8月31日、ZOZOマリンスタジアムでは「侍ジャパンU-18壮行試合 高校日本代表 対 大学日本代表」が行われた。

 9月9日からアメリカ・フロリダ州で開催される「第30回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」に向けて、18歳以下の若き逸材たちが“先輩”の胸を借りるという一夜限りのドリームマッチ。近年はコロナ禍で見送られていたが、今年は2019年以来の開催が実現した。




 「夏の甲子園」のスターも多く登場するということで、会場には平日ながら1万6000人を超える観客が詰めかけ、大変な盛り上がりとなった。

 試合は、大学日本代表が先輩の貫録を見せて4-1で勝利を収めたが、今回は特に目立つ活躍を見せてくれた選手について、ドラフト候補を中心に紹介したい。


近江・山田陽翔はリリーフ適性あり


 侍ジャパンU-18代表の中でさすがのピッチングを見せたのが、4番手で登板した山田陽翔(近江)だ。

 8回からマウンドに上がると、一死から四球で出塁を許したものの、3つの三振を奪う圧巻の投球。その実力が大学生相手に通用することを証明した。

 最速148キロをマークしたストレートは勢い十分。カットボールやフォーク、ツーシームも打者の手元で鋭く変化しており、大学生の強打者にも満足にスイングすることを許さなかった。

 U-18・W杯では抑えでの起用が予定されているというが、勝負所でギアを上げることができ、空振りをとれる変化球も持っていることを考えると、クローザーとしての適性は高いように見える。プロでもリリーフであれば、比較的早くから一軍の戦力となる可能性がありそうだ。


 また、投手でもう1人存在感を示したのが宮原明弥(海星)だ。

 2番手として4回から登板すると、大学日本代表の中軸をわずか5球で三者凡退に打ちとる。続く5回は二死から3四死球で満塁のピンチを招くも、最後は山田健太(立教大)を3球三振に仕留めて無失点で切り抜けた。

 ストレートは最速145キロで、アベレージは140キロ台前半と驚くような速さはない。しかし、スライダーはスピードや変化にバリエーションがあり、的を絞るのが難しい。体格的なポテンシャルもあるだけに、まだまだスピードアップすることも期待できるだろう。


広陵・内海優太と履正社・光弘帆高のプレーにくぎ付け


 U-18代表の野手は全体で4安打に抑えられ、最も注目されていた浅野翔吾(高松商)も無安打に終わった。

 そんな中で光った選手が、内海優太(広陵)と光弘帆高(履正社)である。


 内海は4回、最速157キロを誇る篠木健太郎(法政大/2年)のストレートを完璧にとらえて右中間スタンドに叩き込み、観衆の度肝を抜いた。

 少しポイントが前にあるため、緩急などへの対応に課題が残るが、大学野球でもトップレベルのスピードボールを木製バットでしっかりとらえてホームランにできるというのは、やはり非凡な才能を持っている証拠だ。


 一方の光弘は、ショートで好プレーを連発。見事なフットワークとグラブさばきを見せた。

 7回に悪送球で1つエラーは記録したものの、それも普通のショートであれば抜ける当たりを追いついたものだった。

 打撃でも、内角高めの厳しいボールを上手く引っ張ってライト前に弾き返し、力のあるところを見せている。

 内海・光弘はともに今後の進路は大学進学と言われているが、4年後が今から楽しみな好素材である。


大学生のドラフト上位候補もアピール


 一方、大学日本代表の投手は、荘司康誠(立教大)や菊地吏玖(専修大)、曽谷龍平(白鴎大)といったドラフト候補がいずれも無失点と、さすがの投球を見せている。

 荘司は制球が不安定で、2回の段階で2四球を与えるも、2奪三振をマーク。ストレートの最速は、この日登板した投手で最も速い151キロを記録しており、U-18の打者は振り遅れることが多かった。

 菊地は最速146キロと少しスピードは抑えめだったものの、緩急をつけるカーブとブレーキ抜群のフォークで2回を投げて3三振を奪い、貫録を見せた。その安定感は、大学球界で屈指の存在と言えるだろう。

 9回に登板した曽谷は最速147キロをマークし、1奪三振。少し制球を重視したせいか余力を感じる内容だったが、それでもボールの勢いは圧巻だった。

 3人とも、このまま順調に行けば、上位指名の可能性は高そうだ。


プロ注目の早稲田大・蛭間拓哉はさすがの「マルチヒット」


 最後に大学生の野手で見事な活躍を見せたのが、4番に座った蛭間拓哉(早稲田大)だ。

 第1打席でレフトへ先制の適時打を放つと、同点で迎えた6回には勝ち越し点の口火となる二塁打でマルチ安打を記録。U-18のバッテリーもかなり慎重に考えながら攻めていたように見えたが、しっかりボールを呼び込んで弾き返し、対応力の高さを見せてくれた。

 秋のリーグ戦でも、春と同様に勝負を避けられることが増えそうだが、変わらぬ集中力でここ一番での本塁打、長打に期待したい。


 U-18代表が4安打、大学代表も6安打と、全体的に打撃が低調な感は否めなかったが、それでも随所に光るプレーもあった。

 高校代表のメンバーはW杯で、大学代表のメンバーは秋のリーグ戦で持てる力を十分に発揮して、10月20日のドラフト会議に向けて猛アピールを見せてくれることを期待したい。


☆記事提供:プロアマ野球研究所
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