徐々にあたりが戻り本塁打も増加
西武のベテラン・中村剛也が連日の活躍を見せた。
9月10日の日本ハム戦に「6番・指名打者」でスタメン出場。1点のリードを許していた9回二死一・二塁という土壇場で打席に立つと、この回からマウンドに上がった石川直也の直球をとらえ、一時同点とする適時打をマーク。チームは延長の末に敗れてしまったが、ベテランの勝負強さを見せた。
翌9月11日の同カードでは、今度はゲーム序盤に見せ場をつくった。
今季生まれた5人のノーヒッターのひとり、相手先発・ポンセが投じた真ん中高めに入ってきた甘いツーシームに反応。中村らしい一見軽打のようにも見えるスイングから弾かれた打球は、バックスクリーン左へ飛び込む先制ソロ本塁打となり、チームの勝利に大きく貢献。シーズン最終盤にきて中村の存在感が増している。
今年がプロ21年目の39歳。年齢からの衰えもあるだろう。今季はここまで83試合の出場にとどまり、もともとアベレージヒッターではないものの、打率は2割を切る.197。代名詞の本塁打も11本と、少し寂しい数字が並ぶ。
今季の中村の月間成績を振り返ってみると、5月にこそ4本塁打を放ったが、3月と4月、6月と7月はノーアーチに終わっている。
しかし、夏場からは徐々に復調。8月以降は7本塁打とあたりが戻ってきた。
下位打線での起用が相手にはむしろ脅威か
現在、パ・リーグのペナントレースは、ソフトバンク・西武・オリックスの上位3球団が大接近中。さらに楽天も1.5ゲーム差の4位に位置するというまれに見る大混戦だ。
どのチームも来季を見越して若手に経験を積ませるなんてことではなく、なりふり構わず勝利を目指し、今後は総力戦となっていくだろう。
そんななか、経験豊富で実績十分の中村のようなベテランがいてくれることは、チームにとってこれほど心強いことはない。
また、シーズン序盤にはクリーンアップを任されていた中村だが、今季の不調を受けて現在は6番や7番という下位打線での起用が増えている。
クリーンアップとの対戦を終えたあとに、通算6度の本塁打王・中村を迎えなければならないことは、相手投手にとってむしろ脅威にちがいない。
果たして、今季のパ・リーグを制するのはどのチームなのか。西武を引っ張るベテランの姿とともに注目したい。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)