首位ソフトバンクにマジックが点灯も順位争いは熾烈
まさに歴史的な首位争いが演じられているパ・リーグだが、ついにソフトバンクに優勝へのマジックナンバー11が点灯した。だが、2位のオリックスとのゲーム差はわずか2である。17日からは京セラドームで両チームの3連戦が組まれていることもあり、まだまだ流れはまったくわからない。
3位・西武は首位のソフトバンクと4ゲーム差と優勝争いから一歩後退し、4位・楽天とのゲーム差も0.5しかなく、クライマックス・シリーズ出場権をかけた争いも激しい。9月17日から両チームの4連戦があり、こちらもまたどうなるか見当もつかない状況だ。
優勝やクライマックス・シリーズの出場権がかかっている状況であれば、いままで以上に「1点」の重みが増す。特に僅差の試合終盤に登板する、いわゆる勝ちパターンの投手たちにかかるプレッシャーは想像を絶するものがあるだろう。
4チームの勝ちパターンやそれに準ずる投手を見ると、実績のある選手たちがずらりと並ぶ。ソフトバンクのリバン・モイネロや、楽天の松井裕樹らが任されているクローザーは最たるものだろう。
しかし、それら全員が“実績”のある投手かといえばそんなことはない。いずれのチームも、育成を含むドラフト下位指名や戦力外から這い上がってきた投手たちが名を連ねている。
真っ先に名前があがるところでは、藤井皓哉(ソフトバンク)、阿部翔太(オリックス)、水上由伸(西武)、宮森智志(楽天)の4人だろうか。彼らはこのシーズン終盤戦でも大事な場面を任されているが、昨シーズンもこの役割を担っていたわけではない。いや、昨シーズン29試合に登板した水上を除いては、一軍の戦力でもなかった。
藤井、阿部、宮森の3人は防御率0点台
今シーズンのプロ野球で、最もブレイクした中継ぎ投手の筆頭といえば、ソフトバンクの藤井ではないか。広島を2020年に自由契約となり、昨シーズンは四国アイランドリーグplusの高知でプレーした右腕。オフにソフトバンクと育成契約を結び、開幕直前に支配下登録されると、ここまでチーム2位タイの47試合に登板し19ホールド、防御率0.92と圧巻の数字を残している。
オリックスの阿部は2020年ドラフト6位でプロ入りした右腕。28歳のオールドルーキーとして臨んだ昨シーズンはわずか4試合の登板にとどまったが、2年目の今季は15日終了時点で40試合に登板し20ホールド、防御率0.67と藤井に劣らぬ好成績で存在感を発揮。特に、8月と9月は合計14試合で無失点と、オリックス躍進を支えてきた。
西武の水上は育成ドラフトから駆け上がってきた2年目。今年から勝ちパターンに定着し、リーグ最多56試合で29ホールド、防御率1.86とチームの上位浮上に一役買った。
楽天の宮森は育成ドラフト1位で入団したルーキーで、7月に支配下登録されたばかりだが、一軍昇格後はパ・リーグ記録となる19試合連続無失点中と絶好調だ。徐々に重要な局面で起用されるようにもなり、ここまで6ホールドを挙げている。
いずれの投手もここまでの成績は素晴らしいものがあり、チームに大きく貢献してきたことは間違いない。
だが、ここから先は1試合、1球がチームの順位を決めかねないプレッシャーのかかる厳しい戦いになる。経験の浅い彼らが平常心を保ち本来の投球を見せられるか…。熾烈な上位争いのカギを握るのは今季ブレークしたリリーバーたちかもしれない。
▼ 藤井皓哉(ソフトバンク)
【2021年】独立リーグ高知でプレー
【2022年】47試合(48.2回)4勝0敗2S19H 防御率0.92
▼ 阿部翔太(オリックス)
【2021年】4試合(3.2回)0勝0敗 防御率7.36
【2022年】40試合(40.1回)1勝0敗20H 防御率0.67
▼ 水上由伸(西武)
【2021年】29試合(27回)0勝1敗4H 防御率2.33
【2022年】56試合(53.1回)4勝4敗1S29H 防御率1.86
▼ 宮森智志(楽天)
【2021年】21年育成ドラフト入団
【2022年】19試合(17回)1勝0敗6H 防御率0.00
※数字は2022年9月15日終了時点