コラム 2022.09.26. 22:44

逆転連覇へチームを牽引 シーズン終盤にめっぽう強い吉田正尚

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オリックス・吉田正尚 (C) Kyodo news

首位打者獲得の可能性も


 10月を前にして、今季のプロ野球も最終盤に突入。

 各球団の残り試合数も1ケタ台になった中、パ・リーグのペナントの行方はまだ見えてこない。




 優勝マジックはソフトバンクに点灯しているが、背後をピタリと追走しているのがオリックス。諦めないチームを支えているのが吉田正尚だ。

 9月24日の楽天戦では、初回に相手先発・田中将大のスプリットをうまく拾って適時二塁打を放つと、5回には田中のチェンジアップに泳がされながらも右中間スタンドまで運ぶ2ラン。

 打ったのはいずれも低めにコントロールされたボールであり、田中は何度も首を傾げた。


 この日の吉田はこれで終わらない。

 二死満塁の場面で打席に立った8回には、右中間フェンスを直撃する走者一掃の適時二塁打。ひとりで先制・中押し・ダメ押し打を放つ大暴れで、1試合6打点の荒稼ぎ。

 直近4試合は18打数10安打、3本塁打・13打点と大当たりで、打点ランキングでも一気にリーグトップへと浮上した。


 もちろん、打率もぐんぐん上がっている。

 8月終了時点では.316だったが、1カ月経たない間に2分以上も上昇。9月の月間打率は.435(69-30)で7本塁打・22打点という驚異的な成績で、現在の打率は.337まで上昇した。

 今季の首位打者は松本剛(日本ハム)で間違いないと言われていたが、逆転での首位打者獲得という可能性も見えてきた。

 オリックスの残り試合数はわずか3試合。1試合あたり5打席回ってくるとした場合にも、15打数11安打でようやく松本の打率を上回ることができる。

 現実的に考えれば厳しいと言わざるを得ないが、それでも「吉田ならひょっとしたら……」と思わせるところが今の吉田にはある。


際立つシーズン終盤での頼もしさ


 そもそも、吉田はシーズン終盤に強い選手だ。

 昨季はケガの影響で9月は8試合のみの出場に留まったものの、月間打率は.522(23-12)という高い数字であった。

 また、新型コロナウイルスの影響でシーズン開幕が遅れた2020年には、10月に月間打率.348(92-32)を残している。


 吉田がプロ入りしてはじめて規定打席に到達した2018年から今季までのシーズン終盤の成績(※2020年は10月以降、それ以外の年は9月以降の数字)を見てみると、打率.374(369-138安打)、出塁率は.461で長打率.640と素晴らしい数字が並ぶ。

 シーズン終盤にめっぽう強い吉田は、個人タイトル争いでもファンを最後まで楽しませてくれることのほか、優勝争いやCS争いが決着する時期ということを考えれば、当然ながらチームにとってこれほど頼もしいことはない。


文=清家茂樹(せいけ・しげき)



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